秋山隆彦教授がアメリカ化学会賞を受賞
2016年9月
化学科の秋山隆彦教授が,2016年8月のアメリカ化学会(フィラデルフィア)において開催された授賞式と受賞記念シンポジウムに出席し,2016年のアメリカ化学会賞(Arthur C. Cope Scholar Award)を受賞しました。同賞は,有機化学の分野において卓越した業績を挙げた研究者に贈られます。
有機合成化学の分野において,触媒効率の高い優れた不斉触媒の開発は,極めて重要な研究課題の一つです。新たな不斉触媒をデザインし合成することができれば,光学活性化合物のより効率的な合成反応の開発につながり,農薬・医薬等の開発にも大きく貢献できる可能性があります。秋山教授は,ビナフトールより合成したキラルリン酸が,キラルブレンステッド酸触媒として,優れた不斉触媒作用を示す事を2004年にドイツ化学会誌(Angew. Chem. Int. Ed.)に発表しました。その後,イミンに対する求核付加反応,付加環化反応を始めとして,様々な不斉触媒反応へと展開しています。この報告を契機として,世界中の数多くの研究者がキラルリン酸の触媒作用に着目し,キラルリン酸を不斉触媒として用いた不斉合成反応が爆発的に発展しました。2004年のAngew. Chem. Int. Ed.に掲載された論文は,既に750回以上引用されています。
これらの成果に対し,アメリカ化学会よりArthur C. Cope Scholar Awardが授与されました。
過去の日本人受賞者(敬称略:括弧内は受賞当時の所属):
正宗悟(MIT, 1987),岸義人(ハーバード大, 1988),福山透(ライス大, 1993),尾島巌(ニューヨーク州立大, 1994),野依良治(名古屋大, 1996),柴崎正勝(東京大, 2002),小林修(東京大, 2006),山本嘉則(東北大, 2007),林民生(京都大, 2008),中村栄一(東京大, 2010),丸岡啓二(京都大, 2011),藤田誠(東京大, 2013),伊丹健一郎(名古屋大, 2015)
授賞式の写真
Arthur C. Cope Scholar Awardのサイト(アメリカ化学会):
Chemical & Engineering Newsのサイト(アメリカ化学会):
ACS2016 National Award Winnersのリスト(アメリカ化学会):