秋山隆彦教授がフンボルト賞を受賞
2015年12月
化学科の秋山隆彦教授が,2016年のフンボルト賞(Humboldt Research Award)を受賞する事になりました。フンボルト賞は,ドイツ政府の国際的学術活動機関であるアレキサンダー・フォン・フンボルト財団が創設した賞で,人文,社会,理,工,医,農学の各分野において,基本的な発見もしくは新しい理論によって後世に残る重要な業績を挙げ,今後も学問の最先端で活躍すると期待される国際的に著名な研究者に対して授与されるものです。これまでの受賞者のうち40名以上がノーベル賞を受賞しており,ドイツでもっとも栄誉のある賞とされています。毎年100人に授与され,秋山教授は有機化学分野での受賞となりました。授賞式は2016年3月18日にドイツにおいて行われ、さらに受賞者は、同7月にドイツ大統領官邸ベルビュー宮殿で行われる大統領主催のレセプションに招待されています。
有機合成化学の分野において,触媒効率の高い優れた不斉触媒の開発は,極めて重要な研究課題の一つです。新たな不斉触媒をデザインし合成することができれば,光学活性化合物のより効率的な合成反応の開発につながり,農薬・医薬等の開発にも大きく貢献できる可能性があります。秋山教授は,ビナフトールより合成したキラルリン酸が,キラルブレンステッド酸触媒として,優れた不斉触媒作用を示す事を2004年にドイツ化学会誌(Angew. Chem. Int. Ed.)に発表しました。その後,イミンに対する求核付加反応,付加環化反応を始めとして,様々な不斉触媒反応へと展開しています。この報告を契機として,世界中の数多くの研究者がキラルリン酸の触媒作用に着目し,キラルリン酸を不斉触媒として用いた不斉合成反応が爆発的に発展しました。2004年のAngew. Chem. Int. Ed.に掲載された論文は,既に700回以上引用されています。
これらの成果に対し,フンボルト財団よりフンボルト賞(Humboldt Research Award)が授与される事になりました。
フンボルト財団のサイト:
秋山研究室のサイト: