森啓二助教(化学科・秋山研究室):平成26年度「日本化学会進歩賞」を受賞

 化学科の森啓二助教は,「ヒドリド転位が拓く炭素ー水素結合変換反型環化反応の開発」に関する研究で平成26年度(第64回)日本化学会進歩賞を受賞しました。2015年3月28日,日本化学会第95春季年会で受賞講演が行われます。

  有機合成化学の分野において,炭素―水素結合の直截的変換反応は、環境問題が大きく取りざたされる現在において、大きな注目を集めています。これまでに様々な手法が開発されてきましたが、最も不活性なC(sp3)-H結合の変換は現在でもなお困難な課題であります。従来法では、高価格・毒性のある遷移金属触媒や反応後に廃棄物となる酸化剤の使用を要するため、これらの反応剤を用いないC(sp3)-H結合変換法の開発が強く望まれていました。

 森啓二助教はヒドリド転位を介する分子内での酸化還元系の利用により、遷移金属や酸化剤を必要としない合成手法を確立し、これを利用し機能性物質の構造単位である様々な多環式化合物合成に成功しました。これらの手法を活用することにより様々な有用化合物の効率的な合成が可能であり、独創的かつ先駆的な分子変換法として国内外で高い評価を受けています。

 これらの成果に対し,日本化学会より日本化学会進歩賞が授与されました。

 (なお,日本化学会進歩賞は,化学の基礎または応用に関する優秀な研究業績を挙げた37歳以下の研究者が授賞対象です。)

化学会の記事のサイトへ