レーザープラズマ真空紫外光源の製作

荒川研究室 95-041-010  伊東 聖晃

概要

 本研究室では、金属にレーザーを照射し発生させたプラズマから出る光より、 真空紫外光を取り出す光源装置(以下レーザープラズマ光源)の製作を行なってきた。前年度までに、 レーザープラズマ光源の大部分は完成し、真空紫外光を発生させることは可能になっていたが、 実験用の光源として長時間利用するために必要な装置を製作し、出射する光の波長をPCから コントロールするためのプログラムを作成した。

レーザープラズマ装置の概略

 1パルス当たりの最大出力210mJ、繰り返し周波数50HzのNd:YAGレーザーの 倍波(波長532nm)をレンズで集光し、金属ターゲットに照射する。レーザーが照射された 金属ターゲット表面では高温のプラズマが発生し、そのプラズマから出た光を、回折格子と 出射スリットを用いて単色化する。この装置では3つの回折格子《1800gr/mm(40_120Å)、 600gr/mm(120_360Å)、200gr/mm(360_1080Å)》を使い分けることで、40Å_1080Åの 範囲の、任意の波長に単色化が可能である。

研究内容

 長時間安定した真空紫外光を得るために、ターゲット部分を改良した。 従来は平面板のホルダーに厚さ0.1mmのターゲットを取付けていたが、レーザーの照射に1分程度しか 耐えることができず、ターゲットに穴が空いてしまう。ターゲットのその部分がレーザーの焦点として 使えなくなったら、その度に手動でターゲットの位置をずらさなくてはならかった。またレーザー照射に 伴い集光点にクレーターができるが、これがプラズマから出る真空紫外光の強度を弱める原因と なっていた。改良のため、円筒状のターゲットを使用するためのホルダーを製作し、モーターによって 下図のように縦方向と回転方向の動きを加える機構を付加することで、レーザー集光点に常に新しい面を 供給することが可能になった。これにより、一つの円筒状ターゲットを100時間以上使用することが可能に なった。

 また、モーターで駆動する回折格子をPCから制御するためのプログラムを作成し、 任意の波長の真空紫外光が出射するように回折格子を動かすことや、任意のスピードで任意の波長範囲を スキャンすることが可能になった。