第22回全国都道府県対抗女子駅伝(来年1月11日)に出場する各都道府県のメンバーが出そろった。郷土の誇りを胸に、都大路に集う47代表の戦力を、各ブロックごとに点検する。
愛媛は、全日本実業団駅伝優勝の三井住友海上の大平美樹と、黒沢奈美(四国電力)のふるさと選手2人が軸になる。高校生にはインターハイ1500メートルで日本人最高の4位になった山下郁代(三瓶高)や同1500メートル8位の清家恵(済美高)がおり、
倉田茂監督は「10位以内を」と8年ぶりの入賞に向け意気込む。
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第22回全国都道府県対抗女子駅伝。可能性を秘めた、伸び盛りランナーが今回も数多くそろった。注目の新星たちを紹介する。
愛媛 山下 郁代(三瓶高)
スピードが武器。 高校の総決算に!
8月のインターハイの1500メートルと3000メートルでともに4位に入った。1500メートルは外国人選手を除く日本人最高順位だ。スピードを生かした事実上の「日本一」だが、「優勝を狙っていたので、とても悔しかった」と、不満そうな顔を見せる。
地元の三瓶町は、四国西北の佐田岬の付け根に位置する人口約9000人のまち。過疎化で三瓶高の生徒数が236人に減ったなかで、12月の全国高校駅伝に記念大会の四国地区代表として初出場した。エース区間の1区で区間22位で終わり、チームも31位。全国女子駅伝で「恥ずかしくない走りを」と雪辱を誓う。
陸上は高校から始めた。小学校ではミニバスケットボール部、中学ではバレーボール部。愛媛チーム監督を務める同高の倉田茂顧問は「体をつくる時期に球技をしたことでバランスの取り方がうまく、走る時の重心移動にぶれがない」と、魅力のスピードの秘密を語る。高校で素質を開花させ、1年でジュニア五輪1500メートル優勝を果たした。
陸上部の練習は1日約2時間と短い。ジャズダンスなど毎回違う準備運動を取り入れ、週3回はバスケットやバドミントンのゲームでさまざまに動き、無駄のないフォームづくりに生かす。倉田監督は「25歳でピークを迎えるように練習メニューを組んでいる」と、長期的な視点からの指導を強調する。山下は練習を1日も休んだことはないが、故障もしたことがない。

卒業後は三井住友海上に入社の予定。「いつかはマラソンに挑戦し五輪を目指したい」と、新しい環境で世界への飛躍を狙う。3年連続出場で、過去2度と同じ2区起用の予定だ。実業団の有力ランナーらに交じって、どんなレースを見せるのか。将来性豊かなホープの高校最後の挑戦が注目される。
★やました・いくよ★ 愛媛県三瓶町出身。自己最高記録は3000メートル9分13秒51、5000メートル16分5秒49。3年連続出場で、これまで2度はともに2区に起用。高1の20回大会は区間29位、21回大会は同16位。157センチ、43キロ。
写真=全国高校駅伝の1区で力走する山下(12月21日・京都市)