美術史の名著
 


『美術手帖』の「美術の本600冊」という特集号(1993年10月号)に、「学としての美術史の基礎付け問題」という4頁ほどの書籍紹介を書いたことがあります。学習院大学で教えはじめた頃のことです。この特集号は一年ほど後、『楽しい美術本ガイド』というタイトルで単行本にもなり、学生たちにも大いに利用されたようです。
そこには、他にも、当時の同僚であった千野香織氏が「日本美術を考え直すために」というテーマで、また、後に同僚となる高橋裕子氏が「美術史学の新しい動向」というテーマで、それぞれ書籍紹介を載せており、当時の学習院大学でのゼミの様子なども思い出させる、私にとって懐かしい本となっています。
私の担当した「学としての美術史の基礎付け問題」を読み返してみると、まず、内容の簡単な要約として、次のように記してあります――「内容的にも方法論的にも乗り越えられているという認識があるが、学としての基礎を考えるためにも、ぜひ古典的名著にも向かってもらいたい」。その思いは、それから四半世紀たったいまでも変わりません。いや、その思いはむしろ強くなっていると言ってもよいでしょう。
多くの学生にとっていまでは「美術史学史」の一項目にしか過ぎなくなっている先人たちの古典的名著を、いまあらためて手に取り、紹介してみたいと思います。


 

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