2010年業績 (2009年度1〜3月を含む=2010年1月~2011年3月) 安部 清哉 業績
2011年4月18日
○晋萍・安部清哉,2011.9,「四川方言指示代词三分现象初探」『西南民族大学学报』外国語言文学与文化研究第32巻(2011.9)
○安部 清哉、2011.3、「形態と意味との相関関係をめぐる語彙論的諸相――『ク活用2音節対義形容詞の形態的対応』を添えて――」『学習院大学文学部研究年報』57、pp.1‐30、学習院大学文学会、審査あり、
○安部 清哉、2011.3、「日本語の味覚形容詞語彙の類型的構造および方言分布成立――「五味」とスイ・スッパイ・スッカイの語源(中国語「酢」)の再検討――」『人文』9、学習院大学人文科学研究所、pp.7−34,審査あり、
○安部清哉・黄 于榕(協力)、2011.3、「チュワン語の指示代名詞における3語形による二分法と日本語―――『近称・遠称・他称』による三語用法(壮語=僮語:チワン語北方方言)――」『学習院大学国語国文学会誌』54、横(59)〜(77)、
○
今昔物語集の研究 指導院生の業績
南波千春2011.3「『今昔物語集』の「飲」の訓釈「すする」「のむ」について」『学習院大学国語国文学会誌』54、pp.(1)−(18)、
要旨、英語版――――
○安部 清哉、2011.3、「形態と意味との相関関係をめぐる語彙論的諸相――『ク活用2音節対義形容詞の形態的対応』を添えて――」『学習院大学文学部研究年報』57、pp.1‐30,学習院大学文学会、審査あり、
A Study on the Features of Lexical
Structure as Seen from the Viewpoint of the Correlation between Form and
Meaning in the Japanese Language ABE, Seiya。
○安部 清哉、2011.3、「日本語の味覚形容詞語彙の類型的構造および方言分布成立――「五味」とスイ・スッパイ・スッカイの語源(中国語「酢」)の再検討――」『人文』9、学習院大学人文科学研究所、pp.7−34、審査あり、
【要旨】現代語では「五味」として扱われることがある「味覚形容詞語彙」およびその主要方言語形(カラシ・アマシ・ニガシ・シオカラシ・ショッパイ・スシ・スッパシ・スカシなど)の歴史と意味を検討し、古代における基本四語による語彙構造を明らかにして、それと色彩形容詞語彙(アカシ・アオシ・シロシ・クロシ)・温度形容詞語彙(アツシ・サムシ・ヌルシ・スズシ)各々の四語体系との共通点について考察する。味覚語彙としては、特に諸説ある酸味語彙の語源を再検討し、古代におけるアマシ・カラシ・ニガシ・*スハシ(異音スカシ)による特徴的四語体系を指摘する。特にスシの語原は、「酢+し」説を否定して*sukwa・siとし、中国語「酢」ほかアジア・太平洋の言語をその遡源と見る。さらに、上記の色彩・温度・味覚の3つの基礎形容詞語彙各四語の構造に、@語幹2音節、A第1音節母音と意味的強弱の関連性、B意味的形態的「語彙の階層性」 C優性語形がより基礎的古語、という類型を指摘し、それらを日本語基礎語彙の基本的構造と位置付ける。さらに、Dスカシと中国語「酢」([*dz‘a^g])・オーストロネシア語[*sem]との同源[*sək]の可能性を指摘し、アジア・太平洋の「酸っぱい」の言語地図を提示する。
On the Lexical Structure and Etymology of Several Basic Japanese
Adjectives Used to Express Sense of Taste and Other Senses-Amai,
Karai, Suppai, Nigai, and Others
Keywords: geographical distribution, Japanese adjectives, sense of
taste, Amai, Karai, Suppai, Nigai, etymology, “*Sukwa-shi (<suppa-i,
<sukka-i)” as for sour, “Su-shi (<su-i)” as for sour, “酢”, “酸”, prototype structure, basic adjectives.
This paper will examine features related to the geographical
distribution of Japanese adjectives used to express sense of taste, including Amai, Karai, Suppai,
Nigai, and others, that are problematic in a
historical linguistics context pertaining to the roots of Japanese language.In particular, it has been proven that the
etymology of “*sukwa-shi ( <suppa-i, <sukka-i)”
in the East-Japanese dialect, Chinese “酢”, and “*sem” of
Proto-Austronesian (PAN) language have the identical root and origin, and that
the etymology of “su-shi (< su-i)”
in the West-Japanese dialect is Chinese “酸”. It has also been demonstrated that the
roots of these adjectives have the same origin in Asian Language.
In addition, by examining the etymology of these adjectives, this
paper will describe that a cross structure composed of four words is the
prototype lexical structure of basic Japanese adjectives.