夏の俳句   2004年夏から 


2007年 夏の俳句   2007/09/10    2008/04/26追記

 

 今年は、本当に暑い夏でした

 

 今年は、HPのこの夏の俳句を見た学生との句のやり取りあったのが、楽しい思い出でした。家人からは、恥ずかしいほどの駄作だから俳句サイトは閉鎖せよ、と言われ続けてきた「夏の俳句」ですが、このように、反応があるのは楽しいことです。池甘菜(学部2年)さんに感謝します。(掲載許可いただきましたので、以下をご覧ください。)

 

加えてその池甘菜さんからいただいた俳句は、インターネットサイトの「華音(かのん)のしらべ」の「文芸投稿」欄で優秀作品として入選したのも、うれしい知らせでした。

 

   漫ろ雨に(そぞろうに) 藍流されて 山紫陽花    池 甘菜

 

さて、今年も、昨年同様に、中村汀女の俳句に、心打たれましたので、冒頭にかかげます。

 

風鈴の そろはぬ音なれ 二つ吊り    汀女

 

2007年11月5日の朝日新聞夕刊記事中に、たまたま出ていたものです。解説、鑑賞を超越しています。

下の去来は、まだ解説が、それらしく読める(書ける)。それすら寄せ付けないところ(いかようにも、そのそろはぬ音を想像できる)が、この句の超越した感覚というところでしょうか。

 

汀女の句集を買ってみようと思いました。

ついでに、音に関わる句を取り上げていた記事にいっしょに出ていた、去来の俳句です。

 

  一畦(ひとあぜ)は しばし鳴きやむ 蛙(かはづ)かな   去来

 

 これも、いくつもある田の畦から聞こえる蛙の鳴き声、理由もなく何かの拍子でたまたまなのでしょうか、それとも、誰が、その一つを歩いたのでしょうか、なにもそれを示さずに、聞こえてくる音の、立体的な空間の中での変化として、一つの空間が、すっぽり無音になる瞬間を示すことで、むしろ、蛙の鳴き声以外、周囲は、静寂であることまでを、感じさせる名句。

 なぜか、闇夜に(夜を想像してしまったのはなぜでしょうか)、すっぽりとその無音の空間が、いっそう奥深い底が見えないような暗闇として開くような、視覚的ですらあるような、音と視覚的感覚の連動している世界も味わえます。その意味ではこちらがやはり傑作なのかもしれません。

 

 ただ、個人的には、ふつうなら、2つの音色が偶然そろった時にむしろ目がいき(耳が向き?)、「そろう音なりや」とか詠みそうなものを、そろわない音を詠むところに、日常のむしろありふれた情景に目を向けるその魅力を感じています。

 

 俳句の奥の深さを前に、また今年も、駄作を並べて、寝酒を飲む晩秋です。 2007年11月5日に追記。

 

 2007/11/21 追記

 2年続けて、中村汀女の句を鑑賞したので、女史の句集を買うことにしました。ネットのサイトの「日本の古書店」のアカデミイ書店から、

『中村汀女俳句集成』全一巻 東京新聞出版社 昭和49411

を選びました。ご自身の撰でもあるというので選んだものでした。幸いだったのは、ウェブサイトでの書店説明には書いていなかったのですが、3000部限定品で、1776番の番号が、奥付に赤字で印字されているものだったことです。

 

    汀女女史の 句集とどくや 小春晴れ

 

 

 

―――――――――――2007年 夏の俳句 はじまりはじまりい〜〜〜〜〜い ――――

 

 庭先に、今年は、ゴーヤと瓢箪を植えて、家の南側の壁沿いにネットに這わせて、太陽光線の日よけにしました。去年は、ヘチマ、一昨年は青い朝顔でしたが、今年は、新しいもので、食べられるもの、何か楽しめるものということで、ゴーヤと瓢箪になりました。ゴーヤは去年売っていた小鉢5鉢とも失敗し、実がなりませんでしたので、種から苗床を作っての再挑戦になります。

 台風で、夏の9月途中に、ネットが半分以上切れてはずれしまったので、あきらめてはずしてしまいました。収穫は8つでした。しかもそれらは、いわゆる「瓢箪」を作成しようとしばし様子を見ながら腐らせるために置いていたら、どれも表面の皮も腐りはじめました。完熟前だったのです。完熟していて、作れそうなのは1つだけでした。瓢箪の作り方を家人にネットで集めてもらい、見よう見まね?で作成したら思いのほか、簡単に乾燥するまでできあがりました。その1つは見事なひょうたん型できれいです。水止めに、これまたネットサイトで、柿渋がよいというので、東急ハンズで500cc、約600円というのを購入し、家族から「臭いから外で塗って干してほしい!!」と言われながら、何度も、外と中(液を入れて振っては乾かす)とを重ね塗りして、できあがりました。

 形が見ていて飽きないのが魅力でしょうか。来年も、ヒョウタンに再度挑戦してみる気になりました。

 

なお、今年は、一覧のあとに、少し、夏の日記をかねて、解説を付しました。

 

○ 梅雨入りや 抜ける青空 光満つ    (71日松岡さんへの葉書き)

○ いまだ見ぬ 写ハガキ来るや 啓示載せ  (79日 杉本なおみ先生へのご挨拶状)

1         梅雨入りを 乞う曇天の 蝉しぐれ  (池甘菜さん宛 書中見舞い返事か?)

○ 夏乞ひの 湿りて重き 蝉しぐれ   (その改作)

○ 雨冷やす 夏のほてりや 雲細る (822日 池さんへのメールでの返事)

○ 雨冷やす 晩夏の熱(ほて)り 雲細る  

3         福助の くつ下勧めるや 新卒生 (82日 卒論指導した根本さんから源氏の切れの翻字へのお礼に、就職先の福助の靴下をいただく。)

4         墨や濃き 水茎太き 書家の弟子  (8月8日 松岡さん宛 書中お見舞い)

5         千成りの 瓢箪ならず 盆帰省  (8月8日 浅田さん宛 書中お見舞い、千成瓢箪を植えたにもかかわらず。)

6         ひょうたんも ゴーヤも実(な)らぬ 酷暑かな (817日 院生宛の連絡メールにて)

○ また飛ばず 延泊台湾 雨男 (919日 台風で18日の日本行き飛行機は全便欠航。また飛行機変更)

 

08年度   駅前は 変われど 雪の蔵王山  (2008419日同期会が山形であり、上山温泉に行くJR車中で蔵王を見ながら)

08年度   うぐひすの ♪OH! OKよ!♪ と鳴くや さつき晴れ (2008425日自宅より駅までの道で、その見事な初音を聞いて、心軽くなる。)

 

 

おそまつ〜〜〜〜

 

―――解説付きーーー

 

○梅雨入りや 抜ける青空 光満つ    (71日松岡さんへの葉書き)

 

  (梅雨入り宣言と同日に、梅雨明けの日のような真夏の快晴の青空になった71日でした。7月はその後気温が低かったのですが、梅雨明けの8月以降は反対に連日の猛暑の夏でした。各地で8月の平均気温を塗り替え、また、国内最高気温も40.9度?と何十年ぶりかで塗り替えられた夏でした。)

 

○いまだ見ぬ 写ハガキ来るや 啓示載せ  (79日 杉本なおみ先生へのご挨拶状)

 

  (年賀状や暑中見舞いにいただくはがきには、いつも、私がいったことがない海外で、先生みずからが撮影された写真を使われ、文学や聖書からの引用と先生の一言が添えられてあります。)

 

8         梅雨入りを 乞う曇天の 蝉しぐれ

 

 

◇池 甘菜さん(★日文)との句 

 

★ 漫(そぞ)ろ雨(う)に 藍流されて 山紫陽花   池 甘菜さん 作(書中見舞い状にて―以下共に掲載許可あり)

 

○夏乞ひの 湿りて重き 蝉しぐれ

 

 この池さんの句は、その後、インターネットサイトの「華音(かのん)のしらべ」の「文芸投稿」欄で、華音編集部が選んだ優秀作品(2007713日第6回)に選ばれています。おめでとうございました。

 

★ 青葉闇 影灯篭の 灯も涼し  池 甘菜さん(825日 メールにていただく)

 

○ 雨冷やす 夏のほてりや 雲細る (822日 池さんへのメールでの返事)

○ 雨冷やす 晩夏の熱(ほて)り 雲細る 

 

 池甘菜さんの20071126付けメールでの俳句

 
★ 雪肌に 落つる火影か 花椿             池 甘菜

 

11     福助の くつ下勧めるや 新卒生 (82日 卒論指導した根本さんから源氏の切れの翻字のお礼に、就職先の福助の靴下をいただく。)

 

12     墨や濃き 水茎太き 書家の弟子  (8月8日 松岡さん宛 書中お見舞い)

 

14     千成りの 瓢箪ならず 盆帰省  (8月8日 浅田さん宛 書中お見舞い、千成瓢箪を植えたにもかかわらず。)

 

15     ひょうたんも ゴーヤも実(な)らぬ 酷暑かな (817日 院生宛の連絡メールにて)

 

2         実家の母からの手紙に、珍しく「祖母の夏休み川柳」と題した連作が送られてくる。(和歌は時々あるが川柳は珍しい。また、このような連作も珍しい。記念に、括弧のコメントもそのまま掲載しておきます)

3          

「祖母の夏休み川柳」

□老いの身に 生命(いのち)はげます 嫁夫婦 (清哉のこと)――帰省の時に気仙沼の大島に家族旅行したことか?

   □カーナビに「次はどっち」 と話かけ (優子さん)――運転していた家人のこと。祖母が、音声で指示するので珍しがっていたため、ふざけて話しかけていた。

   □孫高2 見上げて渡す お小遣い   (史織ちゃん)――娘は家人の背も越えていた。

   □孫の釣 やみつきになる 祖父に似て (清尚くん)――気仙沼で夜7時まで3度目の釣り体験。

   □子育ての 義理のない分 かわい孫  (幸夫)――父の代作か

   □夏休み 孫に一言(ひとこと) 「久し振り」 (タツ子)――半年おきの帰省

    〔平成十九年夏休みドライブ旅行の思い出に六人分書きました〕 トアリ

 

 

○ また飛ばず 延泊台湾 雨男 (919日 台風で18日の日本行き飛行機は全便欠航。また飛行機変更)

 

 家人も認める「雨男」です。雨の日が好きであることは間違いないのですが、旅行には困っています。これまで例では、沖縄ゼミ旅行のツアーが台風でキャンセルとなる、青森から東京行きの飛行機が雨と濃霧で欠航、プサンから対馬への船が台風で全便欠航(ソウルに戻り一週間後に再度プサンから対馬へ渡る)、成田からプサン行きが大雨でテグ空港に変更となりシャトルバスにてプサンに着いたのが夜中の10時(それでもフェリス時代の韓国教え子が8名も待っていてくれて申し訳なくも感激)、隠岐と出雲行きのゼミ旅行4日間のうち大雨が3日(寺の本堂の板敷きの上に10名の濡れた足跡がぞろぞろ並んでみっともなかったのを思い出します。)、記憶からすぐでてくるものだけでもこれだけあります。交通手段に影響しない程度なら、台風やら大雨はしょっちゅうです。

 

以上、今年の夏の俳句も9月末日にて打ち止め。

 



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◆2006
年 夏の俳句   2007/03/24



以下、今年の駄作です。
中村汀女の次の句を新聞で読み、これが俳句だと感動した秋でした。
とても俳句は自分には向かないと自覚しながらも、また、今年も夏日記のつもりで、掲示します。
(下手な、絵手紙ならぬ、夏の俳句絵日記というところでしょうか。)

千の虫 鳴く一匹の くるい鳴き (表記の間違いあるやもしれません)


また今年も、暑中お見舞いなどで出した句。今年は庭のフェンスと二階テラスとの間にネットを渡し、
そこに、ピンクと青の朝顔と、ヘチマを這わせて涼んでみました。ヘチマは、ヴェトナム産の種のせいか
最初は花も付かず、やっと晩夏になってから、大小20ほどの実を付け、長いものでは60センチ前後になりました。
あまったヘチマを玄関先において、近所の方や子どもたちの教材に自由にお持ちいただいたら、
4
時間ほどで大小20本がなくなりました。

 花咲かぬ ヘチマの葉棚で 夏涼み (8.17.山本博子さん宛)

「三畝」(さんうね)と 柴田翁書きし トマト畠(はた)

8.13.柴田武先生の『ヴェスタ』の短文で、その助数詞を久しぶりに確認して)

 砂糖がけ トマトなつかし 祖父の家 

06.8.24、実家への残暑見舞い、父方実家のフランス窓を思い出しつつ)

 幼き日 父と釣りせし 閑上港(ゆりあげこう) 

(同上、帰省の折、家族と両親とで、30年ぶりに訪ねて)

栄えあれ さくらとむくげの 新世界 

06.8.30、M2大田さん、韓国の方と国際結婚の葉書)

ヘチマ棚 九月入りても 花二輪 

06.9.1、実家への葉書、このあと、実がつきはじめる)

夏過ぎる 九月身に寄る 五十路かな 

06.9.1、残暑堪えて、年齢の近さを自覚)

ロンドンの 土産友情の 化石貝 

06.9.11、小野正弘氏和子ご夫妻から新婚旅行土産のアンモナイトの化石)

どしゃぶりや 時を選ばぬ 「夜明け立ち」

 (06.9.11、温暖化のヒートアイランドの影響か、夕立ならぬ、明け方の土砂降りで目が覚めること、1度ならず)

秋風や 二尺のヘチマの 軽さかな 

06.10.4、ヘチマ3本の初収穫の日に、思いのほかの軽さに驚く)

ヘチマ生(な)り 朝顔棚の 取り遣れず 

06.10.21、実家宛の手紙。秋風の季節の中、残しておくのもみっともなくなりつつ)

ヘチマ実(な)り 朝顔だなの 緑影  (?)

実が生りて 秋にはずせぬ ヘチマ棚  

大小の ヘチマ配りて 秋となる 

06.11.1、実家宛葉書、収穫15本ほどを、玄関前に並べておいて、ご近所の方に貰っていただきました。
半日でなくなりました。来年は、瓢箪にでもしようか、と密かに思っています)

番外 冬に

雪もなく イチゴ陽(ひ)に咲く 節句かな (二月初旬、実家へのハガキ)

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2007年3月24日追記

◆2005
年 夏の俳句

暑さだけ 置き去りにして 秋の雲 (819日)
暑さのみ 残りし街に 雲高し   (820日)

野分雲 残暑一息 夏づかれ     (824日)
野分雲 残暑やはらぎ 夏づかれ   (同上)
野分雲 涼風はこぶ 夏づかれ    (同上)

7月初旬から声のかすれと思っていたものが、このあたりから徐徐に悪化し、
診断結果は、夏風邪というより、ウイルス性喉頭炎の慢性化とのこと。吉田医院。)

野分雲 冷める骨身の 重さかな    (825日)

野分後は 夏風邪つらき 蝉ばかり   (829日)
野分あと 夏風邪つらき 蝉しぐれ   (同上)

夏日切れ 夏風邪も抜け 九月雨    (830日)
夏風邪や 野分のあとの 油ゼミ    (同上)

台風と 地震と選挙で 夏続く     (93日)
  (カトリーナと14号、宮城沖地震と防災の日、9,11選挙、自民圧勝でした。)

昼の夏 夜の秋交う 寝冷えかな    (913日)

以上。夏の絵葉書やメールで送信したもの。
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2005年記


◆2004
年 夏の俳句

 小さな庭と鉢に、青い朝顔をたくさん植えて、色で涼もうかともくろんだ夏でしたが、 青い朝顔は少しか弱いのか、育てるのに苦労しました。

二十鉢の 青あさがおに 夏涼み  (818日)
二十鉢の 青朝顔や 夏涼し    (同上)
二十(ハタ)鉢の 青朝顔を 暑さ越ゆ   (820日)

夏残す  青朝顔や 色深し     (827日)
夏名残り 青朝顔も 色さびし    (9月7日)
夏送る 青朝顔や 空 深し     (920日)






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