2014/05/06
出題者: 東京大学 准教授
桂氏
Quiz #04
以下の問題は桂さんから提案をいただきました。
問題
半径 1 の円に内接する多角形を考える。この頂点を一つ選び、そこから他の頂点全てに線分 ("対角線") を引く。正 n 角形であれば、(n-1) 本の線が引ける。このとき、これら全ての線の長さの積は n になることを示せ。
実際見た方が分かりやすいので、次の図を見てください。
図には黒色で半径 1 の円、赤色で正多角形、そこに青色で上で指定した線分が引いてあります。
正三角形の場合を計算してみると、"対角線" と辺は一致していて、その長さは √3 なので、 √3×√3=3 となり正しい。
以下で、順を追って上記の問題を解いていこう。
問題 1
まずは、問題の主張することが本当に正しそうか、具体例で試してみよう。正方形、正五角形、正六角形について、正しいことを確かめよ。ヒント: 辺の長さは例えば余弦定理を使えば簡単に出せますね。
問題 2
ところで、図の x 軸を実軸、y 軸を虚軸として図形を見直すと、各頂点は複素数でどう表されるか。 ヒント: 複素平面上の原点を中心とする半径 1 の円は z=eiθ (0≤θ<2π) と表せますね。
問題 3
続いて、青色の線分はどう表されるか。また、青色の線分の長さの積はどう表されるか。
問題 4
あえて回り道をしよう。 zk=exp(2πik/n) (k=1,2,…,n−1) とする。 z≠1 のとき、 次の式が成り立つことを確かめよ。 zn−1z−1=(z−z1)(z−z2)⋯(z−zn−1)=n−1∏k=1(z−zk).
問題 5
さらに、 z≠1 として 以下の等式が成り立つことを確かめよ。 zn−1z−1=1+z+z2+⋯+zn−1=n−1∑k=0zk.
問題 6
準備は整った。以上を用いて最初の問題を証明せよ。 ヒント: 途中で z→1 の極限を用いる。
(※ 図を描くのに用いたスクリプトはLinux のページに置いてあります。参考までにどうぞ。)