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MB20240318.pdf
久しぶりに本格的に加筆した(この勢いで 9 章も書き上げたい…)。
通常版の目次では項目を小節まで表示するようにした。自分でもどこに何が書いてあるかわからなくなったので。拡大版でそれをやるとページ数が増えすぎるので、拡大版では以前の通り節までだけを表示している。
有理数を扱った 2.2.2 節の最後の「物理量は実数なのか?」という議論を大幅に拡充した。まだ書き足りないのだが、こういうのは書いているとキリがないのでまずはこんなところか。
2.2.6 節に「次元(単位)を持った量」をどのように数学的に定式化するかという話を書いた。面倒なだけで面白くないので書かないでいいと思っていたのだが「単位のついた数というのは物理学者が勝手に使っているだけで数学的に厳密じゃない」みたいな誤解があるみたいなので(我慢して)書いた。これに伴って、頭出し的にこの話題を扱っている 1.3.4 節にも少し手を入れた。
新たに、デルタ関数を手際よく解説した 4.1.5 節を追加。物理の講義で急にデルタ関数が出てきて戸惑ったときには役に立つのではないかと思う。
(2024 年 3 月 18 日)
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MB20231106.pdf
ツェルメロの定理に関連して、2023年10月に arXiv にあがった「オセロを解決した」とする論文で用いられた(と思われる)基本的なロジックの解説を 2.1.4節の脚注 46 に加えた。
(2023 年 11 月 6 日)
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MB20210902.pdf
筑波大学の福島竜輝さんから逆関数の微分係数を求めるロジックが不完全だということ、さらに、どのような定理を補えば正しくなるかも(証明も含めて!)教えていただいたので、それに対応する加筆・修正をした。
(といっても、あくまで本の内容は私が書いたので、ミスがあれば私の責任です。)
まず、中間値の定理の応用として、連続な単射は必ず単調であるという定理 2.26 を示し、また、連続な単射の逆関数の存在と連続性についての定理 3.3 を証明した。本質的に重要なのは定理 3.3 で、これがあれば、あとは気楽に逆関数の微分係が求められる。その結果も定理 3.4 としてまとめておいた。
この部分は、厳密さという点だけでなく、読みやすさという点でも、進歩したと思う。
その他、諸々の細かい修正。
(2021 年 9 月 2 日)
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MB20210215.pdf
一年生と(ネット経由で)話していて、実験でやっている電気回路に対応する内容があったほうがいいねということになり、12ページくらいの 5.4 節を書き下ろして追加。回路の基本から始まって、いくつかの簡単な回路を記述する微分方程式を議論し、交流回路の複素アドミッタンスも解説した。
それだけなら普通だろうけれど、コイルを含む回路でのキルヒホッフの法則の解説をネットで見たけどなんかよくわからなかったので、5.4.4節に解説を書いてしまった。
あとは非負行列の平方根の定義を書いた。
(2021 年 2 月 15 日)
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MB20201221.pdf
6.1.1 節のデカルトに関する脚注 5 に重要な加筆。
行列の対角化に関わる部分が積年の改訂の間に統一が取れなくなっていたので、全般的に改良・加筆した。
- 7.6.2 節前半の構成を改良。
- 7.6.3 節の構成を大幅に変えて証明を整備。エルミート行列のスペクトル分解の概念にも明示的に触れた。
- 7.6.4 節の最初の部分の構成を変更。
- 7.6.5 節は全面的に改訂。特に、正規行列がユニタリー行列で対角化されることを述べて証明した。
その他、細かいもろもろの改良。
(2020 年 12 月 21 日)
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MB20200502.pdf
ユニタリー演算子の対角化のところがいい加減だったと気づいてちゃんと書いた。
(2020 年 5 月 2 日)
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MB20200315.pdf
改訂は終わりにしたつもりだったのだが、主成分分析について書いておこうと思っていたのを思い出して 7.6.4 節の最後に書いた。これは簡単だった。
(2020 年 3 月 15 日)
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MB20200314.pdf
一昨日で改訂を終えたつもりで他の仕事をしていたのだが、テイラーの定理の周辺で気になっていたことがあったのを思い出して、それも一気にやってしまった。
3.3.2 節でテイラーの定理を具体例に適用する部分が今ひとつ練れていなかったので、書き直した。
特に \(\log(1+x)\) のマクローリン展開の正当化のところは完全にごまかしていたので、ちゃんと証明を書いて、ラグランジュ型の剰余項を使うと証明できないところがあることも正直に書いた。(ここは誰もつっこんでくれなかった。たぶん、ごまかしてる教科書は多いんだろうな。)
積分の基礎についての 4.1 節の最後に 4.1.4 節を付け加えて、微分積分学の基本定理をくり返して使うだけでテイラーの定理(の積分形の剰余項のバージョン)が証明できることを解説した。これは前に黒木さんのツイッターへの投稿で知って、いずれは書きたいと思っていたところなのだ。(ただし、最後に剰余項の形を整える部分の証明は 9 章に書くことにしてごまかしているけど。)
4.1.4 節の後半では、3.3.2 節の宿題だった \(\log(1+x)\) の展開の話の仕上げも書いた。
(この展開だけを ad hoc に扱いたいならずっと楽なやり方があることを、いま、黒木さんの別のツイートで知った。けど、まあ、この本では一般論の「強さ」みたいなのを見てもらえばいいので、こういう論法は使わないのだ。)
(2020 年 3 月 14 日)
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MB20200312.pdf
2020年3月は新型コロナウイルスが一気に蔓延した時期で、学会や研究会が軒並み中止になってしまったので、この本の改訂に二日ほどまとまった時間が取れた。懸案だった積分の計算の部分を(まだ例も少ないかもしれないが)ともかく書き上げるなど、いろいろと進んだのであった。(まだ完成しないけれど。)
論理のところに対偶命題についての「意地悪問題(?)」2.1.2i, 2.1.2j を追加した。
命題と対偶命題は同値なのだが、場合によっては(我々には)同値に思えないことがあるという例を挙げてみた。(このあたりは完全に白石さんの影響を受けてます。)
(3.3.10)で tan x のマクローリン展開を計算してみせるところで、\(\tan x\) の微分を(全て Mathematica に頼って)頭を使わずに実に愚直にやっていたのを、まともな計算方に変えた。
ミスではなかったけれど、教科書としてはよくなかった(というか、自分で工夫して計算していなかったのがバレバレだった)。
これは誰も指摘してくれなかったなあ。
4.1節に広義積分の短い説明を追加。(それほど大したことではない。)
4.2 節を大幅に加筆。積分の具体的な計算方を例を挙げて解説した。この部分は向田寿光さんの講義ノートにかなり依拠している。
向田んはこの部分を学習院の物理学科の学生に教えてくれているのです。
5.3.3節に「複数の粒子をバネで繋いで落下させる問題」の解説を追加。
これは、もともとは
How Does A Slinky Fall?
という動画で起きていることを理解しようと思って考えたことだった。
7.1.3節の最後のグラム・シュミットの直交化(定理7.8)の証明を計算方としても使えるものに差し替えた。例も書いた。
7.6.1節にシューア分解(定理 7.39)を追加。これに応じて、上三角行列についての記述もあちこちで変えた。
7.6.3節のエルミート行列の対角化の定理(定理 7.44)の証明をシューア分解に基づくものに差し替え。これは見通しがいいですね。
7.8.1節で一般の行列についての \({\rm det}[e^A] = e^{{\rm Tr}[A]}\) という等式(定理 7.62)を紹介した。シューア分解で証明する。
(以上のグラム・シュミットの直交化とシューア分解に関連する四つの変更は、白石さんの演習問題に露骨に影響を受けている。
白石さんが出張のときに代わりに演習を担当して解いてみて、これはいいなあと思ったので本に取り入れました。
ついに多変数の微分と積分を扱う9章を新設!!
というのは本当だけれど、実際には3章の最後に置いてあった偏微分についてのいい加減な解説を移動しただけ。
なので、9章は本当にこれからです。
とはいえ、この10章までの構成が、この本のとりあえずの最終形だろうと思います。「とりあえずの完成」まで、あと一息か。
(2020 年 3 月 12 日)
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MB190319.pdf
新学期に向けての改訂のはずだが、今回は時間がなくてほとんど変わっていない。
積分の計算のところにほんの少しだけ加筆。と言ってもほとんど加筆とは呼べない。
あとは本当に細かいミスの修正だけ。更新履歴を書くまでもなかった。
(2019 年 3 月)
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MB180808.pdf
「夏休み」の貴重な半日を使って久々の改定。ちゃんと二種類の拡大版も連動して修正してます。
7.7.1 節のペロン・フロベニウスの定理関連で井汲景太さんに指摘されていた細かい不親切なところをようやく修正。
これで合格かな?
それで終わるつもりだったが、調子に乗って新たに 7.6.7 節「行列の分解定理」を加筆した。
正方行列の極分解と特異値分解の定理を紹介、証明した。簡潔にまとまっていると思います。
(本当は特異値分解までいくなら、正方でない行列も扱ったほうがいいんだけどね。)
あとは、講義をしていて気づいた細かい修正など。
\(f'\) を「エフダッシュ」と呼ぶか「エフプライプ」と呼ぶかというところは、数学セミナー 8 月号の記事をパラパラと読んで(こっそり)書き直したぞ!
(2018 年 8 月)
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MB180308.pdf
一年ぶりの(新学期に向けた)改訂。大きな加筆はないけれど、それなりに色々とやった。
TeX のシステムを入れ替えて一年して、pdf の仕様を少し現代的に変えたのが外見としては最大の変更だろうけれど。
7.7.1 節のペロン・フロベニウスの定理(定理 7.48)の証明に誤りがあることがわかり、それを修正できたのが、個人的にはもっともうれしい。誤った証明を公開していた時期があったことを思うと本当に申し訳ない(し恥ずかしい)。誤りが発覚してから(本業が忙しくてずっと時間が取れず)修正するまでの時期は本当に居心地が悪かった。虫歯があるのに歯医者さんに行かずに放置してるみたいな、そんな感じ。
偉そうに書いているが、これができたのは井汲景太さんのおかげです。
そもそも井汲さんが誤りを指摘してくださった上に、その後、ぼくの本の流れの中で(ジョルダン標準形など難しいことを使わず)どうやって正しい証明をすればいいかもぜんぶ考えて教えてくださったのだ。深く感謝しています。
他にも井汲さんには色々と記述の不備や証明の手際の悪いところなどを指摘してもらった。
懸案の積分を扱った 4 章も少し進んだ。4.1.3 節の積分の性質を書き上げたので、これで積分の基礎の 4.1 節は(ほぼ)完成。実践編の 4.2 節も少し書いたけれど、これは時間切れ。
この部分を書くにあたって向田寿光さんに色々と教えてもらった。向田さんは学習院の物理の一年生にまさに微積分を教えてくれているので文字通り最適のアドバイスがもらえた。
積分の部分が少しずつ進んでいることに関連して、他の部分をあっちこっちちょろちょろ書き直したりもした。
あとは、高校で行列を教えなくなったことへの対応をようやくすませた。
行列の導入なんかはちゃんと 7 章に書いたのだけれど、6 章の座標のところなどに回転行列が登場していたのをそのままにしていた。だって、回転を考えたら行列で書くのが自然じゃない。しかし、これは今の教育課程では許されないので、7.2.3 節で回転行列をまとめて扱うことにした。ま、まとまっていた方がいいのかもしれないけれど、なんとなく面白くない気もする。そうこうしているうちに、また、高校数学に行列が復活したりするのだろうか? そうなっても、こっちは元の形には戻せないよなあ。
そして、何と言っても、もっとも目立つのが、LaTeX のドキュメントクラスを奥村先生の jsbook に変更したこと。
これで見た目が格段と向上し、ずっと読みやすくなったと思う。
さらに大きいのが、ようやく hyperref のパッケージを導入したこと。
これで、文書の中での相互リンクが使えるようになった。たとえば、目次の各項目をクリック(あるいは、タップ)すれば該当の箇所に移動するし、式番号や定理の番号を引用していると ころをクリック(あるいは、タップ)すれば元の式や定理に移動する。下手に使うとわけがわからなくなるけれど、上手に使えば便利なことこの上ない。
hyperref を使ってほしいという要望は昔からあったのだけれど、ぼくの TeX のシステムが古すぎてずっと使えなかったのだ。お恥ずかしい。一年前に TeX のシステムを一新したあとも、いくつかトラブルがあってうまく使えなかった(セクションのタイトルの中の数式が悪さをしていた??)のだけれど、今回、ようやくできたというわけだ。
よかったよかった。
(2018 年 3 月)
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MB170305.pdf
一年ぶりの(新学期に向けた)改訂だが加筆したところはほとんどなくて申し訳ない。ちょっと他のことが色々とあり過ぎて手がまわらなかった(実はこの本などを作るための TeX のシステムを一気に最新版に更新したのだけれど、読者にはほとんど関係ないことですね)。
3.1.2 節の最後に『導関数は「分数」か?』という小項目を追加し、他の部分にも関連する記述を付け加えたのが最大の加筆。他は小さなミスの修正や書き加えなどだけです。
(2017 年 3 月)
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MB160318.pdf
例によって新学期直前になって改訂した。
一変数関数の積分についての 4 章をついに書き始めたのが最大のポイントだけれど、この章はまだ最初だけ。
積分の基礎の部分なんて誰が書いても同じだろうと思っていたのだけど、書いてみたら違った。ぼくが目にした教科書や講義ノートの多くは、ダルブーの定理で積分可能性を書き換えたあと上限と下限が等しいことを示すという方針だったけど、ぼくはもっとダイレクトに連続関数を扱うという野蛮な方法を使った。エレガントではないかもしれないが、コーシー列を使った構成的証明というのは汎用性があるので悪くないと思う。(この証明に必要なので 2.4.4 節に一様連続性についての解説と定理を追加した。)さらに、9 章のベクトル場の積分のところを、4 章と整合するように少しだけいじった(しかし不十分だと思う)。
他には大きな変更はないけれど、 1.3.5 節に WolframAlpha のごく簡単な紹介を書いた。
p74 の問 2.3.2a で桁数の多い小数の計算がでてきたので、ついでに紹介しようと思った次第。
あと細かいことだけれど、p 30 の脚注 28 では \(\forall\) と \(\exists\) をなぜ「量化子」と呼ぶかについて、偉そうに蘊蓄が書いてある。
もちろん、こんなことをぼくが知っているわけはない。長年、謎だったのだけれど、かの時枝正さんに教えてもらったというわけ。
他にも無数の細かい修正・改良をした。詳細なレポートを送ってくださった「九州の酔いどれゾンビ」さん他のみなさんに感謝(ついに謝辞に「ペンネーム」が登場した)。
(2016 年 3 月)
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MB150208.pdf
今年は珍しく新学期直前になる前に余裕を持って改訂作業をした。
前回の夏の改訂は高校でのカリキュラムの変化に対応するための必須の加筆・改訂作業だったけれど、今回は純粋な愉しみでの改訂になった。
特に、論理のところを未だにごそごそといじり続けていて、かなりよくなってきたと思うのだなあ。そして、新たに 2.1.4 節「ゲームの勝ち負けについての定理」を書き下した。これは、初歩のロジックの応用問題としてかなり面白いと思う。
あとは、ぼくの日記(たとえば、こちら)を読んでいるみなさんにはおなじみのケンブリッジの時枝さんに教わったコインが転がる話の練習問題とか、代数学の基本定理の証明の概要なんかを追加した。
主たる変更点をまとめると、
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2.1.2 節:命題代数のところは何度も何度もいじっている。そもそも教えたこともないし、専門とは激しくかけ離れた趣味の世界なので、なかなか自分でも納得がいかないのかもしれない。嘉田勝さんの『論理と集合から始める数学の基礎』(日本評論社)なんかをぱらぱらと読んでは反省し、なんとか自分なりの筋を通そうと思って、論理同値という概念の扱いを中心に、数多くの細かい改良を加えた。今回、かなり明確でかつ平易になったのではないかと思っている(ただし、いつもそう思っている気もするけど)。
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2.1.3 節:命題と述語をいっしょくたに扱わないというのが(おそらく嘉田さんの本から学んだ)重要な点だが、その方針でこの節もいじった。
特に量化子(「任意の」「存在する」のこと)を導入するところは大幅に量を増やして具体例を丁寧に解説した。
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2.1.4 節:新しい節。「将棋みたいなゲームは、先手必勝か、後手必勝か、勝負がつかないかに、決まっている」という定理を背景を含めて丁寧に解説した。ここは自分でもかなり気に入っている。量化子についてのド・モルガンの法則がきれいに使われている面白い例でもある。
ロジックのところは、ともすれば、なんの応用もない形式だけの話に見えてしまうのだけれど、こういう話がくっついていると楽しいのではなかろうか?
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代数学の基本定理の定理 2.1.5 (pdf page 82) の証明の概略を書き加えた。一年生の学生からリクエストがあったのだけれど、言われてみると、これはぼくの好きな証明だったということを思い出したのだ。
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常微分方程式の練習問題 4.5.5.g を追加 (pdf page 237)。時枝さんから教わった「コインを転がした際の臨界現象」の話の最後の部分を問題に仕上げた。
やっぱ、こういう新しい話があるのは楽しいだろうと。
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その他、微分方程式のところを中心に無数の細かい改良。
という感じ。
(2015 年 2 月)
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MB140927.pdf
恒例の春の新学期の改訂のときに pdf 公開版を更新しなかったので、一年半ぶりの更新になってしまった。
申し訳ありません。
例によって多くの人にご指摘いただいた無数のミスの訂正や改良をおこなったのだが、既にあらかた忘れてしまった。
今回は(二学期が始まって新学期であわただしいのだが)行列の部分を教えている勢いで、高校で行列をまったく学んでいない読者を想定した加筆と修正をおこなった。
2015 年 3 月に高校を卒業する世代は(かなり久々に)高校でまったく行列を学ばないのだ(ぼくらも習ったけど、今、60 代後半くらいの人たちは習っていないらしい)。
主たる変更点は、
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6.2.1 節:行列を導入するところを少し丁寧にしつこく。また、行列の積のところは、2 次の行列を例にとって、かなり丁寧に説明している。これなら、初めてでもわかると思うのだけど、どうだろう?
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6.3 節:この短い節を新たに追加。ここで、二次の行列にかぎって逆行列とディターミナントを解説。かつては高校でやっていた部分だし、この場合だけは極端に初等的にできるので敢えて節を分けた。
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6.3 節が入ったことに応じて、そこから先の部分も整合性を保つように細々と修正。なんせ分厚いので見落としがないか少し不安である。
です。
他には、細かいけれど、
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4.5.2 節、4.5.3 節:変数分離で微分方程式と解くときに任意定数の符号の扱いを能率的にした。(4.5.22), (4.5.49) あたり。こうやったほうが一発で一般形が出ることに(レポートを採点していて)気づいたので。
といったところか。
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MB130303.pdf
結局、ほぼ一年ぶりの改訂になってしまった。ごめんなさい。
本当は春休みに新しい章を書くべきなのだろうが、なかなか・・・
今回の中規模の変更点は、
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3.2.7 節:「三角関数の再発見」のところで、以前のバージョンは論理が甘いと指摘されたので、書き直した。
簡単に言うと、前の議論では「θ << 1 のとき sin θ ≒ θ」という性質を「密輸入」していたことになる。
で、今回はその部分をちゃんとやり直したつもり(新たに描いた図 3.12 とか『プリンキピア』みたい)。
ただ、最後の(積分と言わず)積分するところの議論は、すっきりしないなあ。代案のご提案があれば大歓迎。
-
6.6.1 節:実対称行列の場合にはペロン・フロベニウスの定理の証明がずっと簡単(といっても長いけど)になるので、今回の改訂で定理 6.46 の証明として書き加えた。
これで、量子力学への応用(たとえば、Katsura-Tasaki 論文とかね)だけに関心がある人は、一般の場合の証明はスキップできるようにした。
対称行列でない場合の証明は本当に巧妙で感動的だけれど、2 ランクくらい難しさが違って頭を使う。
といったところ。
あとは、
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3.2.7 節:「三角関数の再発見」のところで、以前のバージョンは論理が甘いと指摘されたので、書き直した。
簡単に言うと、前の議論では「θ << 1 のとき sin θ ≒ θ」という性質を「密輸入」していたことになる。
で、今回はその部分をちゃんとやり直したつもり(新たに描いた図 3.12 とか『プリンキピア』みたい)。
ただ、最後の(積分と言わず)積分するところの議論は、すっきりしないなあ。代案のご提案があれば大歓迎。
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6.6.1 節:実対称行列の場合にはペロン・フロベニウスの定理の証明がずっと簡単(といっても長いけど)になるので、今回の改訂で定理 6.46 の証明として書き加えた。
これで、量子力学への応用(たとえば、Katsura-Tasaki 論文とかね)だけに関心がある人は、一般の場合の証明はスキップできるようにした。
対称行列でない場合の証明は本当に巧妙で感動的だけれど、2 ランクくらい難しさが違って頭を使う。
これ以外に、無数とも言えるタイプミスや細かい点の修正をした。
いろいろと教えてくださったみなさんに感謝します。
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MB120321.pdf
恒例となった新学期に向けての修正だが、今回も、積分の章を書くといった大きな改訂はできなかった(積分の章の手書きの下書きどこ行ったんだろ??)。
今回の中規模の変更点は、
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2.2.4 節:実数のベキ乗の定義をきちんと書いた。この段階で「正の実数の有理数乗」については初等的な議論だけで定義しておく。
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3.1.4 節:逆関数の説明、逆関数の導関数のあたりを全面的に書き換え。前のバージョンはたいへん分かりにくいし、実用的でもなかった。新しいバージョンはずっと分かりやすいと期待。
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4.3.5 節:最後に振動外力と空気抵抗がある場合の調和振動子の問題を追加。これは、新たな 4.3.6 節への複線でもある。
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4.3.6 節:渾身の書き下ろしの新しい節「非線形振動子とカオス」。この本としては異例の、数値計算の結果だけを紹介する「読み物」。
Duffing 方程式の解の様子をみながら、非線形微分方程式のおけるカオスへの入門。
解ける方程式のすぐ近くに、こんな複雑なふるまいを示す方程式があることを知ってほしかった。
前からこの内容は書きたかったのだが、数値計算をする能力がなくて延び延びになっていた。
今回、桂さんから Mathematica の技を教わり、プログラムも教えてもらって、できたのであった。
といったところ。
これ以外に、無数とも言えるタイプミスや細かい点の修正。
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MB110825.pdf
久々の修正。今回はかなりマニアック。哲学的論理学がご専門の矢田部さんに手取り足取り教えていただいて(ただし、教えていただいたことの全てを活かす力はぼくになかった)、論理関係の杜撰だったところを修正。具体的には、公理の一意性についての説明(p5)、命題と文の区別(p16 の脚注 2)、そして、これが「本丸」だけど、命題の真偽が定まらないこと(構成主義やゲーデルの第一不完全性定理)についての p18 の脚注 9 を大幅に書き換え。この本に集中する暇がなく、コメントをいただいてから、ものすごく長い時間が経ってしまい、申し訳ありませんでした。
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MB110406.pdf
細かい修正。鴨さんに手ほどきしてもらって、背理法についての(かっこいい)脚注を修正。
あと、ルート 2 が無理数であるところを整理。
おっと、「有理数は rational number の誤訳、比数でいい」という定番の注意を書こう書こうと思って忘れていたので書いた。
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MB110401.pdf
論理のところをさらに手直し。
廣田さんのコメントに従って「必要条件」の説明を変えた。このほうがいい。
背理法について、鴨さんに教えてもらったかっこいいことを書く(脚注 18)。
ついでに、「実用的な背理法」ということで定理 2.2 を書いた。直観的には完全に分かっていて日々利用していることだったが、こういう風に定式化できると初めて認識した。
あと、「ルート 2 が無理数である」証明は背理法にしないほうがすっきりすると認識したので変えた。
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MB110328.pdf
常連のレビューアーお二人(←とか書くと、結城浩さんっぽい)から論理のところに関して適切なコメントをいただき修正。
索引の作成は、今日は何の問題もなくできた。大学の iMac で mi を使って idx ファイルを開き、UTF-8に変換して makeindex を走らせ、ind ファイルの文字コードを SJISに。
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MB110327.pdf
恒例により、茨城大の中川さん(Komatsu-Nakagawa representation の中川さんだよ)が学生さんといっしょに作ってくれた問題をいくつか追加したほか、思いついたところを微修正。おっと、さっそく論理のところのタイポの指摘もあったので修正!
索引の正しい処理がわかったと思ったけど、どうもダメだ。日本語文字コードの問題でおかしくなる。
どうも TeX が生成する idx ファイルの文字コード設定が EUS だけど中身は SJIS とかいう、おかしなことになっている気がする。しかも小さいファイルでやると問題がおきないのに、このでかい索引を作ろうとすると色々とおかしな事がおこる。とはいえ、ここでこんなところに時間をかけている暇はないので、これ以上は追求しない。
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MB110326.pdf
けっきょく、ほとんど一年ぶりの改訂になってしまった。
積分の章(下書きがあったはずだが、どこに埋もれたことか・・・)も相変わらず書けない。弱ったなあ。
時間をかけて作業したのは、2.1.1, 2.1.2, 2.1.3 節の命題と論理の部分。
構成も全面的に変えたし分量もかなり増えた。
一般的な命題論理の話をする部分と、述語(変数が入っている命題)の部分をすっぱりと分けた。これまでは、(そういう解説が多いのだけど) 何となくいっしょくたに議論して、場合に応じて、述語を念頭に置いたり、一般の命題を念頭に置いたりしていた。
さらに、述語についての「ならば」の文には「任意の変数の値について」が暗黙のうちに省略されているということを明示的に書いたし、必要条件、十分条件という言い方は述語についての命題に限って使うことにした(このあたりは、嘉田勝「論理と集合から始める数学の基礎」(日本評論社)の影響を受けた。もちろん、この本を熟読して理解したというわけではないし、書き写したわけでもない。ぼくの書いた物がおかしければ、ぼくの責任です)。
かなりすっきりしたのではないかと思う。
と言っても、専門外もいいところなので、ちょっと不安はある。
その他、読者からのメールに助けられて、1 章、2 章で細かい修正を多数。
3 章では関数の微分可能性の定義をちょっと修正(連続的微分可能性と微分可能性をの用語をスタンダードな定義にあわせた)。
あと、文字コードの問題で索引がおかしなことになっていたことに気づいて(苦労して)修正。ようやく(多分)正しいやり方がわかった(UTF-8 に変換してから makeindex を起動)。
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MB100312.pdf
さっそく増田さんからミスぷりのご指摘をいただき、修正。これも増田さんのリクエストで、p128 に偏微分記号 ∂ の読み方についての脚注を追加。図 8.29 (a) がわかりにくいというご指摘をいただいので、それも修正。
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MB100310.pdf
恒例となった新学期にむけての全面改訂。
けっきょく新しい章は書けなかった(一変数の積分の章は下書きもあるのだが・・)が、全般にわたって徹底的な加筆・改善・修正をおこなった。
特に今回は、増田さんという方が、全体をまんべんなく読まれて、きわめて多くの詳細で的確で鋭いコメントを送って下さった。それに沿って手を入れた部分が多い。
主要な修正箇所はだいたい以下のとおり:6.2.3 節で、(2 次元の)直交行列と回転行列の回転について触れた。6.5.4 節の二次形式の標準形の応用のところで、楕円のグラフも描き、解説を詳しくした。7.1.2 節の常微分方程式の解の存在と一意性の証明を徹底的に詳しく書き直した。今までのは、はっきり言って普通の人に読めるものではなかったことを増田さんのご指摘で認識した。かなりちゃんと書いたので、今度こそ、この内容の厳密な解説としては相当に読みやすいものになったと期待。この章では、解の存在と一意性の定理にかかわる部分を、先の方まで加筆した。線積分についての 8.2.3 節を全面的に書き換え、8.2.4 節を追加(通常の座標変数の積分を使うやり方は敢えて書いていなかったのだが、試験やレポートの答案にも散見されることだし、いい加減に書いてある本が多いので、ちゃんと書くことにした)。ローテーションの定義の微妙なところに関する 8.4.4 節に大幅な加筆(三角形の道を使えば、任意の方向を向いた道が扱えることを高麗さんに指摘されたので、その議論を紹介した)。
なんか、まだあった気がするが、とりあえず思い出せるのは、これくらい。
あと、これも恒例だけれど、中川さんが茨城大のゼミで作って下さった演習問題を追加。
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MB090923.pdf
時間はあいたが微修正。
前回のページランクの記述に関してコメントをいただいたところをようやく修正。
数列の発散についても少し加筆。
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MB090505.pdf
何故か、この時期になって大幅加筆。
ペロン・フロベニウスの定理と確率行列の素敵な応用問題として、Google の PageRank の解説の節を追加。明らかに異色の一節。
さらに、ずっと懸案だった行列の指数関数の部分も一気に執筆。
線形代数の章だけで 150 ページ以上になってしまったが、これで書くべきことは一通り書いた気がする。
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MB090424.pdf
新学期に向けて改訂したバージョンをさらに改訂。
新しい章を書く余裕はなかったが、既存の章のなかで、無数の改訂や加筆をした。
初等的な内容としては、ギリシャ文字の表(←これは便利かも)、三角関数とラジアンの解説、消去法による逆行列の計算法、スカラー場の線積分・面積分、面積分のパラメター表示、など。
それ以外に、上級者向けの内容の加筆が多い。
後の章での定理の証明に役立つ多変数連続関数の最大値最小についての定理2.20を(コンパクト性の概念にふみこまず)証明しておいた。
実行列についてのペロン・フロベニウスの定理も物理への応用に見通しのよい形で解説・証明した。
さらに、その応用として、有限状態マルコフ連鎖についてのコンパクトで厳密な解説も。
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MB080313.pdf
新学期に向けた全面改定。
残念ながら新しい章を執筆する余裕はなかった。
ほとんどが、多くの読者から指摘された(膨大な)ミスの修正や、記述の改善。
とくに論理の部分に手を入れた。
ついでに、前書きを簡略化。
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極座標でのベクトル解析の節に、さらに8.9.5 節を追加。
基底ベクトルを微分する方法を解説した。角運動量の二乗の計算があまりに楽なので。
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MB070426.pdf
6章などに細かい修正と加筆。
新たに8.9節を追加。
場の量の微分の極座標表示の導出をした。
量子力学を学ぶ際には必須の素材。
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MB070119.pdf
主として学生さんに教えられた間違い(証明のミスもあった)の訂正。
6章と7章にきわめて多くの微修正。
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MB061027.pdf
実に久々の改訂。
講義のときに学生さんからもらったコメントをもとに、さまざまな修正や改良。
線形代数の章に、6.5.6~節「エルミート行列の固有値と固有ベクトルの性質」を加筆。
同時対角化可能性は量子力学で必須の内容。
ミニマックス原理も量子力学で重要なはずなのだが、なぜか物理の人の間ではあまり知られていないみたいだ。
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MB060602.pdf
久々の大改訂。
2006年度の講義にあわせて行なってきた修正を一気に公開。
第 1 章の後半に、和の扱いなどについてのまとまった説明を入れた。
3 章には、みなが苦手だということがわかった、逆関数についてのまとまった解説を足した(しかし、ここは今ひとつだ)。
また微分方程式については、変数分離などの「解法」を 8 章から 4 章に移動。さらに、 4 章では、日常的な「ことば」による説明と微分方程式の対応を考えさせる工夫をした(これは、人に聞いたアイディアなのだが)。また、これまではすべて定積分を使っていたのを、実用と計算の簡単さを考えて不定積分を使った解法を紹介することにした(もちろん、誤魔化しはしないし、定積分のきっちりした議論も残してある)。
理論としては不定積分は嫌いなのだが、やはり便利なので仕方がない。
こうして、4 章は、かなり実用的な微分方程式への入門になったと思う。
講義や自主的な勉強に活用された方からのご意見をいただければうれしい。
その他、指摘された様々な修正。
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MB060312.pdf
本当に久々の更新。
かなり集中して時間を使い「行列とベクトル」(6章)を全面的に改定。
最初から複素ベクトルと複素行列をあつかう構成にしたし、ベクトルの線形独立性の判定法など新しい内容も加えた。
その寸前の「座標とベクトル」(5章)にも色々と手を入れた。
これで、5章、6章は、大学初年級で「座標、ベクトル、行列」をいかに教えるかについての私なりのまとまった提案になったと思う。
こういった講義をされている皆さんにご活用いただき、ご意見を伺えれば大変ありがたい(もちろん、6章の最後の方など、少し息切れしているところはあるし、改良の余地はたくさんあるのだが)。
その他にも10 章を中心に色々なところに細かい修正を。
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MB051115.pdf
超久々の更新。
今、火曜日で、来週の木曜日の講義の準備をあらかじめしておくほど忙しいのに、ついでにこっちをやってしまった。
「行列とベクトル」(6 章)は一応完成だが、不満があるので、そのうち大幅になおす。
7章は欠番。
8章も大幅に改訂したものを公開。
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MB050822.pdf
久々の更新。
「行列とベクトル」(6 章)のディターミナントの節までを公開。
この章は未完。
前半の章に、多くの細かい修正や追加をほどこす。
とくに、\ref{c:set}~章に連続関数の性質の部分を書き加える。
これらは、すべて、講義を聴いてくださった学生さんや、公開版を読んでくださった皆さんからのコメントにもとづいたものです。
ありがとうございました。
未完なのだが、つい索引をつける。
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MB050601.pdf
5 章「座標とベクトル」を一通り完成させて公開。
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MB050515.pdf
4 章「微分方程式入門」を一通り完成させて公開。
3章などの小さな誤りを修正。
前半のページが100を越えてしまったので、8 章と10 章のページ番号を100ずつシフト。内容は変わりません。
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MB050503.pdf
「関数と微分」に三角関数、テイラー展開、偏微分の節を書き足す。
この章は(あまり完成度は高くないが)一通り完成。
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MB050425b.pdf
微修正。ベクトル解析の章のページの偶奇が狂っていたのを修正。
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MB050423.pdf
一年生前期の内容である、「はじめに」、「集合、数、関数」、「関数と微分(ただし、まだ途中まで)」、とちゅうをとばして、一年生後期の内容である「常微分方程式の解法と理論」、「場の量の微分と積分」を公開。
4章「微分方程式入門」を公開。
ようやく講義ノートらしく、講義とほぼ連動して執筆。とはいえ、講義でぼくがやったのは、このごく一部なのだが。
公式や(変数分離などの)技法だけを覚えていると、そもそも微分方程式とは何か、解とは何か、というあたりが欠落してしまうのではないかという考えにもとづいて、ひたすら解を推測して確認するという立場で通した。
大学初年度の微分方程式の教育は、こういう路線がいいのではないか、という提案でもある(というと、変なことをやっているようですが、いたって平凡でゆったりとした「微分方程式入門」のつもりです)。
とくに変わった話題はないけれど、ごまかさずに筋をきちんと通すために、ふつうの本には書いていないような内容もきちんとカバーしてある。
また、10.8.5 節のベクトルポテンシャルの議論は、すでにベクトル解析や電磁気学を学んだ人にもおもしろいかもしれない。
ふつうの本は、スカラーポテンシャルは線積分をつかって構成しているのに、ベクトルポテンシャルになったとたんに腰が引けて天下りにポテンシャルを定義している。
ここでは、面積分、線積分の考えから、自然にベクトルポテンシャルが定義できることを解説している。
また、最後の「ベクトルポテンシャルの物理的意味」も(実は学期末で力尽きて計算の詳細は問題にしてしまったのだけれど)有益かも(前野さんのベクトルポテンシャルとは何ぞや?(その1)とあわせて読むと、なおよい)。