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情報理論とは、(たとえば、0 と 1 の文字列の中に含まれている)「情報」を定量的に扱うための学問である。20 世紀に生まれた新しい学問分野だが、コンピューターやインターネットが身のまわりにあふれている今日の社会ではとてつもなく重要な役割を果たしている。
一方、物理学は、私たちのまわりの世界にひそむ普遍的な規則性をできるかぎり厳密に理解し体系化していく営みである。物理学では「もの」が研究の対象になるのが一般的だ。
「もの」の世界の普遍性を究める物理学に「情報」が関わってくるのは意外に思えるかもしれない。しかし、情報理論は誕生当時から(主に数学的な理由で)統計物理学と密接につながっていたのだ。その後も物理学と情報理論の深い関係が明らかにされてきた。この講義では、そのような物理と情報理論の交流の一側面を見ていこうと思う。
具体的には、情報理論的エントロピーと平衡統計力学や熱力学第二法則の関連、相互情報量とフィードバック制御系の拡張された第二法則の関わりなどを取り上げる。
なお、今回の内容の一部は 2010 年度の現代物理学「エントロピーをめぐって」と重なるだろうことをお断りしておく(といっても、ストーリーは違うし、私自身の理解も 3 年前よりはずっと進んだと思うので、同じ講義にはなりません)。
さらに、この講義では、必修の物理や数学に飽きたらず、それらを越えて物理学(や関連する分野)を学びたい学生さんを想定していることを強調しておきたい。講義の内容を含むような教科書や参考書は(おそらく)存在しないので、しっかりと出席して学習する必要がある。レポート問題も自分で理解してしっかりと考えなければ解けないはずだ(そもそも大学で「調べれば解ける」ようなレポートを出題することが問題なのだが)。
また、この講義ではレポートだけで評価を行なうので、いわゆるレポートの「丸写し」については厳しく対応したい。「丸写し」を行なうことはもちろんだが、その原因を作る行為(たとえば、解答を配布したり、ネット上に公開すること)にも同様に対応する。