Laser-plasma真空紫外光源の製作と校正
荒川研究室 97-041-058 間瀬英治
1.レーザープラズマ光源製作の背景と内容
荒川研究室では分子科学研究所のシンクロトロン放射光を励起源として光衝撃脱離の実験を行っている。これは、シンクロトロン光源の真空紫外光を単色化して試料表面に照射し、光励起による脱離粒子を観測する実験である。研究室において同様の実験を行えるようにするため、レーザープラズマ光源を製作している。
高出力パルスレーザーをレンズで金属表面に108W/cm2以上で集光すると、照射された部分の金属が蒸発して電離し、原子・イオン・電子が衝突を繰り返してプラズマを形成する。プラズマ内の荷電粒子は、制動放射・再結合・衝突励起などによって、広いエネルギー範囲の電磁波を放射する。この電磁波を光源として用いるものが、レーザープラズマ光源である。
2.装置製作で関わったこと
装置内の圧力を低くして超高真空を得るための焼きだしシステムと、標的と回折格子の動作を制御する回路の製作に携わった。
〈回路の内容〉
レーザーを標的に集光し、融解・蒸発させてプラズマを発生させるので、標的は消耗する。従って安定した光を得るためには、常に標的の新しい面に集光することが望ましい。回転・上下の動作をレーザーと同期して制御することでそれを可能とした。また、共同実験者の伊東が回折格子をコンピュータで制御できるソフトを製作した。それを手動で制御可能にする回路、及び装置全体の手動・自動の切り替えの回路を製作した。
3.実験内容
以前に製作された校正装置に10-3Pa程度希ガスを充満させて、レーザープラズマ光における10~300eVの真空紫外光を入射する。入射した真空紫外光は、希ガス原子をイオン化する。イオン化した希ガス原子に電場をかけ二次電子増倍板に入射して、そのイオン数を計算することによって入射光の強度(光子数)の測定を行う。
また、光イオン化スペクトル中に現れるスピン軌道相互作用により分離した隣接する2つのピークの観察により分光器の分解能の測定を行う。