97-041-039 仙洞田 哲也
身近な物質であるH2Oは様々な物質を溶かすなど多くの化学反応に関与している。この特異な性質をもつH2Oクラスターの構造と電子的性質を解明することが研究の目的である。H2Oクラスターの形成方法はXe固体表面上にH2Oを吸着させる方法を用いた。化学反応を起こさない希ガスはH2Oと反応せず、Xe固体表面上でH2O分子同士が水素結合によって結合し、クラスターが形成される。このH2Oクラスターに電子を照射し、脱離してくるH2Oクラスターを測定することで、その構造と電子的性質を明らかにする。そのための実験装置を製作した。
実験装置の製作は同研究室の立花と共に行った。実験装置概略図を下に示す。装置はチェンバー、冷却系、排気系、ガス導入系からなり、これらのうち、排気系、ガス導入系を担当した。チェンバーは、ターボ分子ポンプで排気し、その後ろをドラッグポンプ、ダイヤフラムポンプで排気する。140℃で12時間加熱脱ガスした後、チェンバー内圧力は2×10-8Paに達した。XeとH2Oのガス導入はバリアブルリークバルブで流量調節し、チェンバー内に送る。H2Oは蒸留水を使用したが、その中に溶けているCO2、N2などを取り除くため、H2Oをシリンダーと試験管に交互に液体窒素で凍らせながら移し変え、CO2、N2をドラッグポンプで排気する作業を繰り返した。