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ゼミ第V世代 (March 30, 2023)

2019/20年に長期研修をいただいてゼミを休んだあと、再開後の最初の卒業生が今月出ました。いろいろと新世代を感じるところがあり、身の回りの体感ですが観察を要約しておきます。

学部3年生の期間全般に就活が入り込み、4年生が始まる前に進路が決まる場合が以前より増えたようです。そして、勉強・研究に打ち込んだ話を良く聞いて評価してくれる企業が増えています。20年前は、とにかく元気アピールができる人が内定を大量に取ってきたものでした。もちろん時代を超えて人間的魅力、コミュ力は大事ですが、勉学や研究内容をしっかり聞いてくれ、(ぱっと見は)おとなしい学生も、思索経験をもった内容を評価してもらえる変化を感じます。企業と業界による差はとても大きそうで、また入口段階と採用決定段階でも違うようですが、長期的な戦力を選ぶ上で「新しく問題を定義する」「その仕事を仕上げる」能力が大事なのは、ある意味当然でしょう。教員側も教育方針を問われ意欲を刺激される展開で、おそらくは人材市場の国際的な共通化に少しだけですがまた進んでいるのではないかと思います。

Covidのため集団行動機会が減ったこともあってか、学生の個人差も広がった実感があります。もともと3年生は自分の研究テーマに集中する時期ですが、就活も並行するとなると熱心な学生さんほど大変そうです。他大学の熱心な学生さんとの発表会経験で自信になるから、3年生までは時間の無理なく研究させてあげてほしいのですが、世の中はもう戻りそうもありませんね。手当たり次第にインターンに走り勉学をおろそかにする学生も出てくるのは自然なことで、しかし自分を失わず、大学で養うべき実力を身につけられる人は、忙しくなってもちゃんといます。就活が早く終わると、4年生は卒論研究に集中することもできて、英文卒論を海外査読誌に投稿しようかというところまでな人もいる、という過去なかった状況まで例外的ですが、あります。

教員の役割も再定義が必要な時代です。もっともらしい理屈なら機械が生成してしまうので、人間が劣化版を書いても価値がない。学生が新規性のある研究を目指すとか、自動生成された嘘内容の訂正ができるように知識精度を上げるとか、大学も変わる必要が加速します。問題を定義する能力の価値はますます上がるので、つまり大学教育も活動基準をあげることと私は理解しています。

さて、抽象論はおいといて。年末年始の他大学合同ゼミ(早稲田大学での早慶8ゼミ合同と、関西学院大学加藤ゼミ合同の要約を今年も掲載しておきます。人材流動化の世の中では、学生さんの事実記録と開示も大事だろうという趣旨で、後々、教員の私も改善の方向性を考える反省材料になります。

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(2022年度3年生、発表者あいうえお順)

「CSR活動と働きやすさは企業価値を高めるか」 唐澤海斗・後藤怜・鈴木まりあ・堀越莉紗
問題:企業のCSR活動が収益性や企業価値に正の影響を与えるか。結論バラバラな多数の先行研究がある。業種を特定し時系列方向の情報を生かした分析を自分達の手で行って確かめたい。とくに人材活用が日本企業にとって大きな問題のはず。
手法:@総合的なCSR評価指標を用いるものとA有給休暇取得率を用いるものの2つの分析レベルを用いる。東洋経済CSR企業総覧から@CSR総合評価指標のうち人材活用、環境、企業統治、社会性の各部門指標、A有給休暇取得率の2つを説明変数にとり、企業・年パネルデータから固定効果を入れた重回帰分析。被説明変数は@はROEと売上高成長率、Aについては労働生産性と売上高経常利益率。データは、@については情報通信・鉄鋼・食品172社2019-2021年、Aについては情報通信、小売業71社2015‐2019年。電子版がまだ買えなかったのでデータ手入力。
結果:CSRについて総合的な指標を見た@については、人材活用に関する指標は企業業績と正の有意な係数を持つ。有給休暇取得率をみたAについては経常利益率に対して係数は負に有意となった。人材活用ができている企業は業績も良いだろうという仮説は、大局的な指標だと成り立つが、個別的に有給休暇取得率に関して検証すると成り立たなかった。差の差の分析を利用した因果推論までは至らなかったが、双方向の因果関係を意識した考察を深める手がかりを得た。

「特許の質は市場からどのように評価されるのか〜第三者割当時のイベントスタディ〜」 川口千遥
問題: 無形資産価値が低い企業に比べて、価値の高い無形資産を持つ企業が増資するとき、増資するという開示によって、企業価値はより高まるだろうか。第三者割当増資のとき、希釈化にも関わらず日本では一般に株価上昇の傾向がみられる、という先行研究があるが、その再検証の目的が一つの目的。もう一つは、技術資産の価値を特許の被引用数で計測する海外の先行研究はあるが、特許被引用数が多い企業は増資によって株価がより上がるのか、という海外でも未検討の実証問題がある。
手法:イベントスタディ。2010年から2016年まで、特許登録の多い9業種119企業の第三者割当増資時点をQUICK Astra Managerから得て累積異常リターンを算出し、それを被説明変数として、当該企業の平均特許被引用数を説明変数に用いて回帰分析。
結果:増資の際に株価が(希釈化に反して)上がること、特許被引用数が少ない企業の方がむしろ上昇率が高いことが確かめられた。同一企業による複数回増資の影響、第三者割当は救済場面が多い可能性、将来キャッシュフローを合理的に反映するというよりは一時的熱狂で株価上昇している可能性、などが背景要因として考えられた。

「水族館入館者数の決定要因〜経年による入館者数逓減と展示の充実度に着目して〜」 菊山敬史
問題:新しく開館した水族館は当初多くの客を集めたのち、長期的に入館者数を減らしていく傾向があるが、集客力の要因、長期的に維持できる要因は何か。
手法:過去約40年間分の「日本動物園水族館年報」から全国の水族館入館者数の月次データをスキャンして入力。新規開館27施設、リニューアル22施設の減少率を被説明変数とし重回帰分析。説明変数として多数の水族館属性(面積、水槽水量、飼育種数・個体数、イルカショーダミー、QGISを用いた30キロ圏人口、経営は株式会社母体か、など)を用いた。
結果:初年度入館者数に対しては、延床面積、大水槽水量、哺乳類・鳥類の飼育種数、商圏人口などが有意で正の係数を持つ。商圏における子供の人口比率は、新規開館後5年間の減少に対して負の係数を持つ(客数はなかなか減少しない)。

「出来立てと値引きの顧客価値」 関口晃平
問題:バイト先のスーパーのお惣菜コーナーで「出来立て」シールを貼ることは販売促進効果を持つか。
手法:自分が任されている惣菜売り場の時間ごと売り上げを手作業で記録。商品、曜日、時間条件をそろえたA/Bテストを、出来たてシールの有無、時間が経った商品への20%値引きシール有無の2条件の4とおり組合せで実施。天候変数もコントロールして、4種類の商品について重回帰。32日間から得た144〜204の観察数(商品により並ばなかった日があるため)。
結果:20%引きシールは有意な売上個数増加。しかし出来たてシール有無は「からあげ3個」パックのみ5%有意。出来たてシールがあるとよく売れるという結果は得られなかった。

「降水がパンの売上に与える影響」 馬渕ももこ
問題:バイト先のパン屋の売り上げに対して、雨の影響はどのように出るのか。パンにも種類があるが、違いがあるか。
手法:3年間の商品別の日次売上データ(金額、個数、来客数)を被説明変数とし、気象庁アメダスの時間帯別降水量・気温や曜日を説明変数とした重回帰。
結果:雨の日は売上に負の影響があり、営業時間内の降水は営業時間外の降水よりも減少が大きい。ただし売上が多いはずの夕方の降水があったからといって売上が減少するか、というと、有意な関係はみられなかった。雨の日の翌日は売上の反動増がみられ、日をまたぐ決定要因があると確かめられた。

「特許審査官の審査の質は均一か〜性別・学歴など審査官属性とFA特許査定率〜」相原祐子(4年生)
問題:特許審査官の性別や学歴による審査傾向の差はあるのか。米国に先行研究があるが日本にはない。
手法:特許情報標準データからFA特許査定率(最初に拒絶理由通知書を出さず一発特許査定が出た比率)を算出し、被説明変数とする。担当官コードから入庁年や任期付審査官を特定した。また特許庁APIからPythonで拒絶理由通知書データを取得するコードを書き、得た氏名のうち名前から男女区別を日本の上位名2000種類のデータベースにマッチして出した。審査官補から審査官への昇格に要した年数で学歴を推定。出願単位の重回帰(Linear/Probit、審査官IDでクラスタ頑健)、部課単位のパネルデータ分析。
結果:経験年数が長くなるほどFA特許査定率が高くなる傾向は日本でもあり、その点で米国と似ている。女性審査官はFA特許査定率が低く、慎重な審査をしている傾向がみられる。

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以上が年単位の報告で、以下は付け足し感想。

一人を除き3年生で、最後の一人は英文で卒論を書きました。ここにはまだ挙げていませんが、2年生も重回帰分析を最初の学期からやっている人が多く、イベントスタディや傾向スコアマッチで因果関係についても考え始めている人がいました。

この数年位の印象ですが、小さい頃から記憶させられ、正解があることがわかっている問題を解くことを(昔からの受験勉強と同じように)強制されつづけた一方で、急に「やりたいことをやれ」「君がやりたいことは何なんだ」と放り出されている世代だなと思うことがあります。その間の「問題を定義する経験」を積む機会がとても不足していたのだろうな、と。しかし、自身が興味持って学び取り組める問題を発見するのは、いっぺんにやろうとしても難しいものです。先輩の例をみせ、試行してもらい、一緒に結果を確認していくと、教えるというよりは自ずから次のステップがみえてきます。試行錯誤を繰り返して、面白さを一緒に確認すると、その後は本人の推進力に点火します。そうするとこちらが教わる形になっていく、まであります。なにせプログラミングでも機械が教えてくれる時代なので、学ぶべき目標が自分で意識できれば、基本的に学生さんの勝ち。リスキリングだって言ってるオジサンたちが身につけたいことを人生最初にやれるのは大きなアドバンテージです。その優位性を認識できた学生さんは強いなと、みていて思います。

自身をガイドする力を持ち始めた学生さんにも、財務や会計や企業ガバナンスの知識も深め、英語文献も読もうねって、あとエクセルに頼りすぎずPythonで書けるよって、いう感じで経営学科なりの「食事バランス」に教員としては気も配ります。こういう個々のスキルは必ず役に立つし、自分の方向性が意識できたあとだと、自分の価値セットに組み込む意味も意識できてきます。

ようするに
@直接に見えるスキルをつける、何ができるかを資格や点数でも示せるようになる
A誰も予想もしなかった問題を考え、また今でなかった問題や質問への対応について、思索、探求と議論を飽きずに続けられるようになる、それを中間成果物としてまとめる
の2つは、それぞれどちらも大事なことなのですが、片方だけだと長期では弱い。

@だけだと筋トレ繰り返しばかり、みたいなトレーニングになります。長期の目的意識が自分の中でできてこない。答えをまとめるだけなら生成型AIに勝てない。
Aだけを基礎思考力や体系知識なしに追い求めると空想の世界の王様になってしまう。やっぱり基礎勉強もしないと組み立てる材料がアタマに入らない。

この2つの合体として、なにか形になる研究成果を大学にいる間にひとつまとめることが、まだ存在していないものを生み出す力になり、誰も予測しえない変化にも対応できる力になるでしょう。このことを意欲ある学生さんは意識できていて、努力を重ねてしっかり結果を残している感覚があります。こういう経験は長く自信の基礎になるはず。

それらいろいろありますが、やはり「自分をみつめ、やれること、やりたいことを具体化する」ことが学部生の頃で大元で一番大事なことです。サポート役としては、使えるデータもツールも凄い勢いで増えていますので、サポート側こそが引出しを増やしアップデートしていく必要を痛切に感じています。

新世代。 (April 20, 2022)

今年で当ゼミは22年になりました。2年前に在独研究期間をいただいた関係で、今年4年生になる世代から少人数でゼミは再スタートし、続く2年目の現3年生も熱心にそれぞれのテーマに取り組んでいます。

ここに要約するのは、現4年生(2021年度3年生)の3つの研究テーマや手法、結果です。これまでの蓄積を踏まえて一段また新世代を感じる進化がありました。これより前は過去ページに数年分あります。

「書店の開店閉店要因とは」相原祐子
問題:書店数は全国的に減少を続けているが、ローカルにみると新設店舗もある。埼玉県の書店について閉店しやすい立地など条件を探る。
手法:開店・閉店ドットコムからスクレイピングにより開店した書店、閉店した書店データを取得。またiタウンページからコピー&ペーストで最新の埼玉県の書店データを取得。531店舗の店名や住所が利用可能となったので、QGISによりマッピング。データの組み合わせにより過去11年間の書店の開店閉店が駅からや競合店からどのくらい離れていたか、人口集積地域だったか、チェーン店か、モール所在か、を説明変数として計測。プロビットモデル。
結果:意外にも駅から近い書店のほうが閉店しやすかった。またチェーン店は閉店が多かった。開店は、意外にも競合が近いほうが多かった。郊外では、モールへの開店が多かった。

「自己啓発行動を促進する要因の分析」M.K.
問題:自己啓発本は世にあふれているが、実際に自己啓発行動をとる人はどのような特徴があるのか。
手法:総務省の社会生活基本調査にある語学や各種技能、芸術、スポーツなどの自己啓発や訓練のデータ(5年おき3回分、都道府県単位のパネルデータ分析)を用いて、他の行動属性との関係を探る。固定効果モデル。
結果:若者や50代に自己啓発行動の頻度が高く、就業時間が短い人のほうが自己啓発の行動者率は高い。災害ボランティアの行動者率と自己啓発行動者率にも正の相関があり、共同体志向においてつながっているのではないか。

「Instagram企業公式アカウントの活性化要因」名畑目理子・岩田映月
問題:インスタでインフルエンサーは目立つが企業公式サイトはどうか。公式サイトではフォロワーが増えるとエンゲージメント率が下がってしまっているのではないか。
手法:Facebook for developers グラフAPIエクスプローラを使って企業公式インスタのフォロワー数・全投稿数・各投稿のlike数を取得。1週間おき5週分、旅行15社・住宅15社・コスメ15社・カフェ14社・アパレル10社・食品15社の公式インスタについてパネルデータを得て業界ごと重回帰分析。
結果:フォローや「いいね」「コメント」に関するキャンペーンはエンゲージメント率・フォロワー数共にプラスで有意に作用した。人が写っているか、投稿に文字が入っているか、新商品投稿があったか、等は業界をまたいで一貫した傾向はなかった。


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上記の3つに表れていますが、独自にデータを掘り出し、きちんと分析する、という姿勢で学部生としてよく頑張りました。スクレイピングやSNSのAPIを駆使することもゼミで初めてでしたし、公的なパネルデータを一歩深く踏み込んで分析する姿勢も実は今までなかなかできていませんでした。 データ取得では、原泰史先生(今年から神戸大学)のデータサイエンスの授業のおかげが大きかったです。また他大学の発表会は、早稲田大学において慶応や上智など10ゼミ以上集まる発表会に参加させていただき、例年どおり中央大の本庄ゼミにもお相手していただきました。教員にも非常に、非常にためになる経験でした。様々な方々にまたお世話になり感謝申し上げます。

コロナ影響を強く受けた世代でもあり、実地の経営インタビューは非常に少なくなりました。代わりにOBOGのお話しをzoomも含めて何度か実施しています。学生自分達から訪問先まで考えて動けるように、また時代が戻ってくるとよいなと思います。


視線の先に、得意なこと。胸の奥に、やりたいこと。 (May 8, 2020)


今年で当ゼミは20年になります。またもや、ひっそりと研究内容と手法に関わる内容を更新しておきます。ひっそりすぎるだろ!と自覚していますが、ゼミ生と一緒にやってきたことを外部報告する機会は意外と少ないので、要約程度でもないよりは意味があるかと。

あと、今年はコロナ騒ぎでキャンパス閉鎖中、さらに昨年2019年度は海外研修のため募集を私は1年停止しました。この2つの理由で、すぐ上の先輩に聞いて進め方や雰囲気を聞いてゼミ選びの参考にすることが新2年生にとって例年より困難です。少しでも新2年生の判断材料になれば幸いです。

ここに要約するのは、2018年度と2017年度の3年生の研究テーマや手法、結果の一部です。これより前は過去ページに数年分あります。(なお2019年度は春夏の1学期しかなかったので昨年度は合同発表会ができていません。海外で更新していて手元に資料がなく2018年度も要約できていないテーマが少しあります。)

2018年度3年生

「CMタレントの不祥事の影響」(公開データと独自収集データによる統計分析)中川皓太・東原里夏・羽田直輝
問題:CMタレントによって広告主のブランドイメージに泥を塗るような事件があると、広告主の企業価値が下がるのではないか。
手法:タレント9名(ベッキー、山口達也、高畑裕太、小出恵介、西野七瀬など)を起用していた18社の時価総額(2015年11月〜2018年8月)日次データによるパネルデータを使った差の差の分析。TOPIXをコントロール。
結果:イベント前後でみるとCM起用企業の時価総額は下がるし、競合他社に比べても下がる傾向があるが、「差の差」の分析を使うとむしろ反対にニュースによって上昇する結果が観察された。熱愛や結婚報道など、ファンにはショックでも反社会的とは思われないニュースがサンプルに含まれているが、それを示す変数には有意な係数が認められなかった。

「プロ野球のチーム勝敗と観客動員数の関係はあるか?」(公開データと独自収集データによる統計分析)橋本和樹・佐藤圭介
問題:プロ野球でホームアドバンテージはあるか?ホームで観客が多いと勝率は上がるか?
手法:ヤクルトスワローズ2005-2017年の神宮における観客動員と勝率の関係をまず単純回帰、加えて天候とビール半額デーを操作変数として使う。
結果:ホーム観客数と勝率には正の関係がある。勝ちそうなときに観客が増えるかもしれない、という逆因果関係ではないことを確かめるため、操作変数として天候やビール半額を採用。天気がいいから、あるいはビール半額だから、観客が増える、という関係が確認できた。この操作変数を使って、因果関係の方向を考慮しても、ホーム観客が増えると勝率が上がる効果が観察された。つまりホームアドバンテージはある、といえた。

「レンタルコミック市場にイベント効果はあるか」(独自収集した個別売上データによる分析)米田翔
問題:コミック巻ごとのレンタル数は何によって決まるか。
手法:タイトル、巻、日ごとの貸し出しデータを使って回帰分析。パネルデータによる固定効果も利用してアニメ化やドラマの放映の影響をみる。
結果:新巻が出ると、つられて過去の巻も貸し出しがあがる。夏休みにはまとめ借り効果が大きい。アニメ化など他のメディアのイベント影響は検出されなかった。

「メロンパン販売のキャンペーン効果」(独自収集した個別売上データによる分析)井上真緒・清水石貴子
問題:メロンパン店の売上を増加させるため、SNS告知した割引や新メニューは効果があるか。
手法:特定店にてinstagramで宣伝、instagramで割引日を告知、コーヒーを新たにメニューに追加、などの販売手段を実際に試す。
結果:単なるインスタ宣伝は効果がなかったが、割引のインスタ告知により対象客単価が約45%増加、週当たりでも売上23%増加。コーヒーのメニュー追加により利益率が増加。

「民泊稼働率の決定要因」(公開データと独自収集データによる統計分析)高橋りさ・浦西あずさ・横山千聡
問題:民泊の成功要因は何か。高い稼働率を実現している民泊の地理条件は何か。ホテル等の値段が高い地域では、民泊は成功しやすいのか。
手法:Airbnb上の稼働データを集めているサイトからのデータと、地価や空き家率などの変数を使った重回帰分析。47都道府県それぞれから3市町村を選び、その市町村内の民泊稼働売上を月間平均で出して被説明変数とした。
結果:掲載件数の多さと宿泊売上総計とは強い正の相関がある。地価の高さ、単価の高さ、などについても有意な係数を持つ推定結果が得られた。ただし、多重共線性が疑われる説明変数の組み合わせでは推定結果が一貫しない。

2017年度3年生

「ダイバーシティ経営と従業員の企業満足度の関係」(公開データとウエブからの収集データによる統計分析)足達草太郎
問題:ダイバーシティ経営が進むと従業員の満足度が高くなるのではないか。
手法:ダイバーシティ指標として、CSR企業総覧から障害者雇用率・管理職女性比率・LGBTへの取り組み有無を用いる。従業員満足度は「転職会議」サイトにおける企業評価を用いる。重回帰分析。
結果:ダイバーシティと直接関係のない、平均賃金や有給取得率などが従業員からの評価と正の相関を持つほか、ダイバーシティ関連ではLGBTへの取り組みアリ、と従業員からの評価に正の関係が認められた。

「プロ野球の観客動員数に影響を与える要因分析」(公開データと独自収集データによる統計分析)廣瀬雅樹・登張岳人
問題:サッカーなどに比べて野球の人気が下がっているといわれているが、観客動員数は逆に近年増えている。どういう施策が観客動員増に有効なのか?
手法:プロ野球の常設全球場の2009〜2017年動員数を被説明変数として使い、固定効果パネルデータ分析。天候や曜日などコントロール。
結果:近年の施策である交流戦、ユニホーム配布、ビール半額、などは有意に観客を増加させていた。ホームチームの勝ち数貯金も有意に正の関係があった。

「女性の出産理想と現実の差とは」(非公開サーベイデータによる統計分析)奈良綾夏・木村佳乃子・上町奈保
問題:女性が理想とする子供の数と、現実の数の差は何によって決まるか。
手法:同一女性を何年も追跡したライフコースデータのうち労働や家族サポート質問への回答と子供の数データを使った重回帰分析。
結果:女性労働(週間労働時間)と、子供の数には明確な負の関係がある。夫の家事参画への満足度や、夫とのコミュニケーション満足度と子供の数にも負の関係がある。ただし他の要因の影響や逆因果関係については検証できていない、ということを定性的に考察している。

「商店街の活性化要因」(実地調査、公開データと独自データ組み合わせ)天辰真里亜・中村衣里・星野成海
問題:東京の商店街には、閑散としたところばかりではなく、武蔵小山や巣鴨地蔵通りなど賑わいを見せている商店街もある。活性化には何が効いているのか。イベントが効果を発揮しているのでは。
手法:公的な施策との関係など商店街事務局に聞き取り調査、インスタのハッシュタグ付投稿数を被説明変数に使って重回帰分析。
結果:イベント回数は、インスタに投稿される数とは有意な関係がみられなかった。店舗数による商店街規模とは正の関係があった。

「女性の時間価値と利便性消費」(公開データと独自データ組み合わせ分析)岩澤花音・谷内サラ・古川友紀子
> 問題:働く女性のネット消費には、利便性と時間を買うため、という動機が強いのでは。
手法:総務省家計消費状況調査によるネット消費の動向を集計考察するほか、アンケートにより、リアル店舗との価格差、時間、距離などと、ネット消費を選択することの相関を個人単位で重回帰分析。
結果:リアル店舗への到達時間は、ネット消費利用と有意に正の関係がある。リアル店舗への距離や価格差には有意な関係が見られなかった。


さらに広く深く (May 2, 2017)


新ゼミ生希望者向け、それから学外情報提供として、ややお堅い部分を中心にゼミ生達のやったきた内容紹介を書いておきます。現状、3年生がグループ研究活動の主体となっているので、3年生の他大学との合同発表会での発表案件が中心となります。

(※ 固いことばかりやっているわけではないのは、例えばメルカリ実践のような人達をみてもわかりますが、今年の卒業生がまた動画作ったり(1)(2)(どちらも動画拡散速度の影響実験)。また、新たな事業・商品提案から、この春は起業した卒業生も出ました。)
当ゼミは、小グループ・自由発想を標榜しています。仮説検証・事実発見型の研究から新商品提案の色合いが強いものまで、幅広いテーマが含まれます。仮説検証・事実発見型研究だと、いろいろな方面でのインタビュー調査やアンケート調査などフィールドワークと、公開データの分析、で大きく二つアプローチが分かれますが、それら組み合わせ方法にも毎年工夫や変化があって個性が出ます。独自収集データを用いたものが多く、事業分野でみると金融・不動産・交通・アパレル・食品・情報メディアなど広がりがあります。いずれのテーマも、概してフィールドワークに力を入れ独自性・新規性の高い発見をなしえたという自信を持てているでしょう。手法も傾向スコアマッチングなど、10年前は考えられなかった手法まで進出しています。

2016年度3年生

「銀座あけぼのの客数・客単価分析」(実地調査・統計分析)飯田百香
問題:銀座の和菓子店では日持ちしない商品が多く売れ行き予測が重要。気象データから予測精度を上げられるか。また主力商品の売れ行きによって客単価はどのように変わっているか。
手法:実際の日次売上データと気象データや週末効果、年末効果などを合わせ重回帰。
結果:気温の影響もはっきり出た。人気商品にも差があり、自宅用が多いものは客単価は減少要因、進物需要が多いものは客単価上昇要因だった。

「ネットショッピングの成功(メルカリで収益をあげる)」(やってみよう系チャレンジ、アンケート)奥原健登/畑幸奈/諸戸翔平
問題:メルカリでの成功パターンは何か、実際にやってみて検証。
手法:アウトレットで仕入れたトートバッグ、Tシャツを、様々に掲載方法を変えながら売る。アンケート調査(使っている人のほか、買ってくれた人にも)。結果について重回帰分析。
結果:同じ商品、同程度の価格でも、多数の販売実績がある高評価の売り手に注文が集中する傾向がある。また、掲載する写真によって売れ行きは変わる。見出しはあまり関係なく、説明文が詳しい方がいい。定期的な再出品で上位表示されることには効果がある。

「成功しているペットビジネスとは」(インタビュー、実地調査)金井大河/兵頭和樹
問題:ドッグカフェ、貸し出し散歩サービスなどペット関連ビジネスに新規サービスがみられ、犬猫の数は増えていないのに市場は拡大している。本当に成功しているのは何か。
手法:個別実地調査のほか、関東4県それぞれ50のペットビジネスをランダム抽出、創業年や各種サービスの兼業状況を数値化。
結果:近年の伸びが著しいのはペットホテルとトリミングサービスで、とくにホテルの伸びが顕著。需要が高くこれからも伸びる様子。

「インスタジェニックとはなにか」(インタビュー、企業参加)金子桃子/田中緑
問題:インスタ映えする投稿とは。インスタのリーチ率・エンゲージメント率に影響を与えるのは何か。SNS内のインスタの特徴。
手法:フォロワー1万〜10万人のグルメインスタグラマー10名の追跡調査。
結果:FB, Twitterに比べインスタはリーチ率が高い。フォロワーが多いインフルエンサーの投稿には1枚1枚の美しさだけではなく統一感、世界観がある。フォロワー数増加には他のメディアへの登場が影響。個々の投稿でみると流行のお洒落アイテムも影響。

「ODAと海外進出」(統計分析)成瑞峻/藤木裕
問題:日本のODAは日本からの海外進出にどのように影響を与えているか。
手法:アジア6カ国のODAのほか、海外子会社数、現地子会社売上を使って重回帰。
結果:有償支援より無償支援の方が海外進出に影響を与えているような結果となった。

「長距離バス利用に影響を与える要因と女性マーケットの重要性」(アンケート、webデータ統計分析)川瀬理紗/目等千波
問題:長距離バスを利用したい、またはしたことのある女性と、そうでない女性に大きな意識の差がある。どのような差か、また市場にどう影響しているか。
手法:意識調査アンケートに加え、「夜行バス比較なび」でお盆休みの東京発・大阪行きと名古屋行きの各社のバス料金・座席数・オプションを7週間観察し、売り切れていく様子についてサバイバル分析。
結果:女性未利用者は安全性への不安が強いが、実際には女性専用車や専用席が設けられている路線がある。それら女性専用車・専用席は需要が高く、売り切れやすい。今後の需要の伸びが期待できる。

「医薬品MR数が変動する要因」(インタビュー、統計分析)多田早里奈/時女美玖
問題:MRの総数自体は減少傾向にあるが、企業ごとMR数を見るとMR数を減らさずに増やしている企業もある。何が要因か。
手法:MRインタビュー、企業ごとMR数パネルデータ分析
結果:がん薬など新薬効果が期待されたが有意ではなかった。従業員総数は有意にプラスだった。

「DIY可不可による賃貸物件への影響」(webデータ、統計分析)谷澤智行
問題:賃貸物件過剰の世の中になってきているがDIY可能な賃貸は賃料に対して影響を及ぼしているか(DIYを許すと高い賃貸価値をもたらすか)
手法:賃貸情報サイトR-STORE・DIYP掲載物件300件弱をサンプルとしてDIY可能かどうかプロペンシティスコア・マッチング。DIYの賃料に対する平均処置効果を求める。実際に売れた物件のみについて限定しても検証。
結果:実際に売れた物件だけに限定するとDIY可能な場合は賃料が有意に高くなった。

「乗馬クラブの経営」(インタビュー実地調査、統計分析)松嶋由貴子
問題:乗馬クラブ経営は、クレインのような大規模経営から小規模なクラブまで多岐にわたる。競技成績を含めて強いクラブの理由は何か。
手法:個別ケースの詳細調査、全国電話インタビュー、関東クラブ統計分析。
結果:全国各地に支所を持つ大規模経営には、馬の輸送・健康管理など競技に重要な意味を持つ合併効果がある。上級者ライダー割合の高い小規模クラブもあり、規模すなわち競技の強さとは単純にはいえない。

教員の役割としては、何を明らかにしたいのか、と、どうやってそれが明らかに出来るのか(出来ているのか)を問い続け、研究手法やデータ源や、あるいは外部へのインタビューのお願いの仕方や研究のまとめ方などアシストできるところをアシストする、ということに尽きます。教員は自分でゴールは直接目指せませんが、ゼミ生と一緒に考える過程で非常に面白い経験をさせてもらっています。

引き続き、様々な方面の方々にインタビュー等で所属学生がお世話になっており、深く感謝申し上げます。


継続深化(April 30, 2016)

ゼミweb開始後15年目に入りましたが直近2013-2015年度の3年間更新をしていませんでした。最大の理由はゼミ現役・卒業生の情報共有がFacebookで活発になり、一般公開ページの必要が薄れたためです。以前より画像情報公開には慎重にならざるを得ないのも理由です。

さて、ゼミ生活動は変わらず活発で、年々変化しながら進歩もみられるのに、新入生に伝わりづらい、ということを感じ、最近の上級生からも指摘されました。自主的でバラエティに富んだテーマがあり、多方面に調査に行く、とか、とても楽しい、とか、目立つ学生さんがいる、とか言うイメージ(すべて本当)は伝わるらしいです。しかし、よく勉強し調査し、きっちりした分析をやっている、といった詳細な内容や手法は口コミには載りづらいようです。

そういうわけで、新ゼミ生希望者向け、それから学外情報提供として、ややお堅い部分を中心にゼミ生達のやったきた内容紹介を書いておきます。現状、3年生がグループ研究活動の主体となっているので、3年生の他大学との合同発表会での発表案件が中心となります。最小限の説明にしようと思いましたが、それでもかなり長くなるので、直近2年間だけ、しかもテーマ抜粋になります。

当ゼミは、自由発想を標榜しています。仮説検証・事実発見型の研究から新商品提案の色合いが強いものまで、本当に幅広いテーマが含まれます。仮説検証・事実発見型研究だと、いろいろな方面でのインタビュー調査やアンケート調査などフィールドワークと、公開データの分析、で大きく二つアプローチが分かれますが、それら組み合わせ方法にも毎年工夫や変化があって個性が出ます。会計・ファイナンス系データや知財データを用いたものが複数みられ、事業分野でみると金融・不動産・交通・アパレル・食品・情報メディアなど広がりがあります。いずれのテーマも、独自性・新規性に重点をおいていて、担当者も自信を持てたはず。概してフィールドワークに力を入れ発見をなしえたという自信を持つ人が多いはずです。

これを勉強しなさい、から始めるのではなくて、明らかにしたい問題は何か?何がわかったか?どうやって裏付けているか?ということを繰り返し教員としては尋ね続けてきています。なので問題・手法・結果の要点3つに分けて下にメモしました。提案・担当者アイウエオ順です。

それから、新たな事業・商品提案をしよう、という人の中には、ときどき実際に企業協力を得て商品企画をさせていただいた、というような例も出て、昨年度は一つアパレルでデザイン実績が出ました。

2015年度3年生

「競馬の法則」(秋田谷康平)
問題:法則として言われている競馬の勝ち方はデータで裏付けられるか?
研究手法:JRAが公開している大量の勝敗データを用いて統計分析
結果:複数検証したが、例えば「夏競馬は牝馬が強い」と俗にいわれている点について、2年間の全結果を通じて統計的にみると、牡馬は年間を通して成績が安定しているのに対して牝馬は夏に良い成績を残す。牝馬は寒い時期にパフォーマンスが落ちる。

「植物工場の可能性」(臼井大悟・久保七星)
問題:農業も工業化され効率生産できる余地が増えてきているのではないか。
研究データと手法:3年前の公的機関の報告書でまとめられた植物工場など高度制御された農業施設330カ所の事業継続状況を電話等で調査。生き残っているものとそうでないものの差を見いだす。現地調査、製品ユーザ(レストラン等)へのインタビュー。
結果:東京卸売市場での価格変動が大きい野菜を対象にした方が少ない場合より野菜工場は生き残りにくかった。大きな工場投資が必要な完全制御工場も生き残りにくく、それほど資本集約的とはいえない高度制御ビニールハウスの方が事業継続に有利だった。

「JRが持つ商業施設と駅周辺地価」(小林裕太/吉田智)
問題:ルミネ・駅ナカなどJRが自ら不動産投資を積極的に行っているが、駅周辺の地価にも影響が及んでいるか?
研究データと手法:JR駅施設ができる前後を観測できる2000-2014年の首都圏サンプルについて、周辺公示地価変動をパネルデータとして分析。固定効果モデル採用。
結果:ルミネに関しては、駅から400m圏内の地価にプラスの影響を与えた。

「アニメ聖地の成功と失敗」(長谷川優樹/橋谷寛子)
問題:秩父や久喜のようにアニメ聖地が観光資源となる事例が出てきているが、自治体等がアニメ聖地を創出し利用しようとした場合の成功・失敗要因は何か?
研究手法:『聖地巡礼マップ』などウェブサイト・書籍からアニメ聖地を特定、126シリーズの関連アニメについてDVD売上などで成功度を計測。アニメを実際に見直し、実際の土地名の明確性、また事前協力、事後のスタンプラリー等の現地協力の有無をチェック。平均値の差の検定。アニメ・プロデューサや自治体へのインタビュー。
発見内容:事前のアニメ企画段階から自治体が積極的に関わり明示的に特定地域を登場させアピールした場合は、アニメは商業的には失敗しやすくなる。オタクには、あからさまな観光アピールはマイナスにしかならない。

「ファッションブランド成功におけるInstagramの影響力」(本多胡桃)
問題:アパレル商品を企画し販売する際にインスタグラムが効果を発揮するか?
手法:株式会社フェイバリットのワンピースをデザインし実際に販売する際に、フォロワー数の多いモデル3名から各種SNSで拡散を図る。各種ファッションブランドの経営者等にインタビュー。
結果:フォロワー数とアクセス数には相関があるが、実際に購入に至る数にはモデル自身がデザインしたことの影響が強くみられる。

「自然災害リスクが不動産価格にもたらす影響」(前田大輝)
問題:土地の液状化リスクを震災後になって人々が気にするようになったのではないか?
研究データと手法:国土交通省土地総合情報システムから得た不動産取引データと東京湾岸自治体のハザードマップを手作業で照合し、震災前後1年の約1900取引事例を得て、取引価格に影響する説明変数を並べ(ヘドニック)、大震災前後で分けて差の差(difference-in-difference)の検定を適用。他に鎌倉など津波危険のある地域の不動産企業インタビュー。
結果:液状化リスクが不動産価格の低下要因として大震災により顕在化したとはいえなかった。むしろマンション取引事例だと液状化危険がある地域では震災後に価格にプラスの影響があったと解釈できる結果が得られた。液状化地域ではマンションより一戸建てに被害が及びやすかった影響が出たのかもしれない。また、震災直後は取引頻度がかなり低下したようなので、難しい条件で取引が成立したサンプル選択の影響があったかもしれない。

2014年度3年生

「余暇価格の変動理由」(青山薫)

問題:お金で時間を買えるとしたら、1時間にいくら出すか?社会人の中では、拘束時間の長い方が高く払うか?所得の高い人は高く払うか?
データと手法:余暇選択について個人アンケート、学生と社会人合わせて73名
結果:学生は余暇に払いたい時間より安い時間単価でバイトしていて非合理的。社会人は所得が高いほど余暇支払い意思も高いが、拘束時間が長いからと言って支払い意思が高いわけではない。

「若者とスパークリング日本酒」(秋元清正・伊東歩)
問題:若者のアルコール離れ、日本酒離れの中で好まれそうな新市場はあるか、好まれる特徴は何か
手法:試飲アンケート(ゼミ生約40名)、酒造所インタビュー
結果:10種類の試飲では日本酒らしさを残したスパークリング日本酒よりも、甘くてジュースのような味・香りを若者は好むことが明確にわかる。古典的な日本酒ファンと重ならない。マス広告の影響も大。

「オープン・イノベーション」(大木賢治/沢井優太/割田圭介)
問題:企業の壁を越えた協力によって、より優れた研究開発成果が生まるのではないか。研究データと手法:カーボン・ナノテク関連企業が共同出願開始後には、その企業の出願した特許の技術価値が上がったかを特許データで検証。技術価値について特許被引用数を使って測定。差の差の検定を適用。
結果:共同開発前後での有意な被引用増加は、一般には検出できなかった。ただ上場企業だけに限ると、共同研究開発後に被引用数の増加がみられた。

「クロスボーダーM&Aの成功要因」(小澤賢也)
問題:日本企業は外国で買収を多くするようになっているが、成功するのはどういうときか?
研究データと手法:55件の対外M&A属性についてゼファーDBで調べ、株式市場データから株式超過収益の変化をイベントスタディ手法を用いて検証。
結果:先進国での買収について株式市場は懐疑的で、途上国での買収の方は有意にポジティブに評価している。

「意匠権登録のインセンティブ」(鈴木淑美)
問題:メーカーは工業製品の意匠権をなぜ取ろうとするのか?特許に比べて最終製品に近い知的財産権の取り方の傾向とは?
手法:ゲーム機の意匠権について過去約20年さかのぼり、世代や企業名について分類して意匠権の数を数えた
結果:任天堂は携帯ゲーム機で独占的な地位にあった間はほとんど意匠権出願・登録をしておらず、携帯ゲーム機市場に競合参入がみられるようになってから多数の出願をしていた。先進的な技術開発とともに出願される特許と異なり、ゲーム機の意匠権は市場防衛に力点がある。

「選ばれるファッション誌の条件」(片山あず・諸角彩花)
問題:数多く存在する女性ファッション雑誌の購入に至る条件は何か?特に店頭において表紙の特徴により手に取らせられたかどうかが購入に強く影響しているのではないか?
手法:若い64名の女性に5種類の雑誌を見せて、表紙だけで店頭で手に取りたくなるか、購入したくなるか、を尋ね、さらに中身をみてもらったあとの購入決意変化をデータ取得、分析。表紙のモデルなど画像情報と文字情報を分類して関連を見る。
結果:表紙だけでも購入決断に大きな影響がある。かつ、表紙の小さな文字に現れているタイトル情報が意外なほど手に取りたくなるかどうかに強く影響していた。


長くなりましたが、この2年間だけでも他に色々と実験的な追究をしている人達がいて、書き切れていませんし、3年前の年も面白いアプローチや発見がたくさんありました。

経営学の分野としてみると、経営戦略、組織論、起業者論、マーケティング、会計、ファイナンス、国際経営など、関わらない分野を挙げる方が困難に思います。自分で学ぶ気になれば、学部講義で教えている程度のことは学生は普通に自力突破してしまう、と私は感じますから、こういった経営学分野を限定して学問の入口をラベル付けする意味はない、と私は考えます。どうせいずれ全部勉強する必要がありますし。ただ、自分に必要な基礎知識は何か、に探求途上で気づいてもらう価値はあります。また、統計的分析といっても因果関係をきちんと明らかにする手法とか、ネットワークを計量的に分析するとか、ここ最近で学界でも進歩が早いところは、初級・中級向けの書籍が少なく、授業も充実していないのが正直なところなので、学生さん達は研究者のアシストを受けて学ぶ意味があると思っています。

なお上に書いたのは3年生で、2年生はグループではなく単独で自由な発想からスタートしよう、という3年生の前段階となっています。4年生も、再度また個人単位が多くなって学生ならではの実験的・野心的なこと、逆に実用的なこと(資格試験など)どちらかに取り組む、という人が多くなっています。

教員の役割としては、何を明らかにしたいのか、と、どうやってそれが明らかに出来るのか(出来ているのか)を問い続け、既存研究手法やデータ源や、あるいは外部へのインタビューのお願いの仕方や研究のまとめ方などアシストできるところをアシストする、ということに尽きます。教員は自分でゴールは直接目指せませんが、ゼミ生と一緒に考える過程で非常に面白い経験をさせてもらっています。

引き続き、様々な方面の方々にインタビュー等で所属学生がお世話になっており、深く感謝申し上げます。


Roaming around. (March 2, 2013)

2012年度の主力3年生の活動は、幅広い地理・業界にわたってインタビューを展開した点に特徴がありました。福岡、鹿児島、名古屋など遠方にも調査に出かけていったところ当ゼミの今までを超える努力があったと思います。取り組んだ10テーマのほとんどで企業インタビューを実施、またアンケートもほぼ全グループが行い、見ず知らずの人への突撃アンケートも複数回あってご迷惑おかけした方もおられるかもしれません。

何より学生のお願いに快く応えて下さった多数の企業人の方々に深く感謝の念を持っています。下に今年度応じていただいた企業のお名前をリストしてあります。就活でもない学部学生訪問に貴重な時間と手間をかけて下さり誠に有り難うございました。様々な形でお世話になり本来であれば個々に詳しく謝辞を書くべきところこのような形で恐縮です。

調査してきた内容を一般外部の方にもみられるようにしよう、という試みは、海外食品展開チームの坂本・古家組が行いました。ビジネス提案を目指したアイラン・チームの前年例に習っていますが、比べると事実から一般則を導けるか、の考察に少し力を入れています。こういう分野を勉強する学生には、対消費者ローカライゼーションに関わるゲマワットとか、もっと一般的な枠組みならDunningやCavesなど、大学教員としては先ず紹介し読みなさい、と言うべきなのかもしれません。ただ、抽象的な枠組みから先に勉強を始めると往々にして足が動きづらくなります。会って感動して、それから経営学文献にあたる、抽象的にも考え議論する、という勉強順序も(時間的には厳しいけれど)あっていいのでは、と考えています。マスコミはおろかネットのどこを探しても出てこない新鮮な事実をみんなが大量に掘り起こしてくるのを聞くのは本当に面白いものです。面白ければ、より頭も使おうという気になりませんか。

その他のゼミ状況としては、Facebookで卒業生のカバー率がだいぶ上がって6割を超えてきました。ゼミ卒業生が在学生の活動にコメントしてくれたり会ってもらったり、内部的なことですがとても有り難い。ゼミ出身卒業生の中で、Facebookアカウントがあるのにゼミ非公開グループに入っていない方を知っていたら和田まで教えて下さい。

SNSの利用は学生によるアンケートでも増えてきており、2年生が初めて一人で短期に取り組むテーマでも50人〜100人を当たり前のように集めて発表するので時代を感じます。社会調査法でいう「雪だるま」サンプリング方式の問題点など、教員も勉強して行く必要があるな、とは思います。SNSが企業組織を変えているか、自分は懐疑的ですが、個人で行う調査方法と、同窓会組織の意味は間違いなく変えました。

(直接インタビューに応じてくださった企業様 五十音順 敬称略 2012年度のみ)

株式会社 アサヒ緑健
株式会社 アサツーディ・ケイ
株式会社 アーツテック
WILLER ALLIANCE 株式会社(WILLER EXPRESS, WILLER TRAVEL株式会社)
栄光商事株式会社
カフェトリエスティーノ 目白店(株式会社 アール・ティー・コーポレーション)
株式会社 サークルKサンクス
ジースターインターナショナル株式会社
株式会社 志むら菓子店
株式会社 ジモティー
株式会社 下堂園
Xinc(上野アメ横)
株式会社 ジンコーポレーション
株式会社 セプティーニ・ベンチャーズ
大明化学工業株式会社
株式会社DHC
常磐薬品工業株式会社
日本製粉株式会社
日本調剤株式会社
株式会社 博報堂
株式会社 ビーワークス
株式会社 不二家
フリュー株式会社
株式会社 毎日コムネット
株式会社 まるや八丁味噌
ミニストップ株式会社
株式会社 メイクソフトウエア
株式会社 メイクイースト
宮坂醸造株式会社
株式会社 ライトオン
株式会社 ローソン
ロート製薬株式会社
株式会社 ユーキャンパス
株式会社 和田久

Hands-on experience. (Jan 31, 2012)

2011年度もゼミは非常に面白かったです。過去最多の24名が活動した3年生では、多数のテーマに展開しつつ大きく3つの方向性がありました。

第一に、ビジネス上の新提案志向がありました。サマンサ・タバサの新ブランド・プロジェクトが一番目立ち、レア・チャンスを生かして成果物に持って行く過程には全員が瞠目しつつ間接体験しました。新商品企画において市場調査には力も限界も両方あること、理屈に落とし込みがたい芸術的な洞察の含意も学べたと思います。

第二に、正確なデータを自ら集め分析する一群の努力も評価できるものでした。例えば複数コーヒーチェーン・複数店舗のメニュー単位でオーダー状況を記録し、店舗属性や顧客属性・滞在時間との関係を分析する、あるいはカーシェアリングの複数スポットでの稼働状況をデータ収集し部分・全体の収益性を推定する、など。びっくりするような低収入セグメントがあり、各企業とも苦労しているんだなあという実感が、抽象的な戦略概念を考えるための「背中へのキック」ともなりました。新しいデータ収集方法をいち早く取り入れる学生もいます。また、分析の深さの点でも、単純トレンドや平均だけでなく、変化率と積分、分散・相関・回帰、ネットワーク上の次数や距離などの応用概念に柔軟に対応できる学生は(多数派ではないけれど)いるもので、今後も潜在機会を実現してゆきたいと考えています。

第三に、どのテーマにもある程度いえますが「そのお仕事をしている方への直接インタビュー」を大事にしました。たとえばモンドセレクションを実際に受賞し、また目指している(失礼ながら無名の)企業の方から、あるいは新潟のヨーグルト製造会社の方、東京近辺の美容師の方、アパレルの企画担当者、などなどから、広くお客さんに商品の良さを伝えたいという熱い思いがゼミ全体にも伝わってきました。対消費者でなく、企業間取引での顧客関係では「思い」は複雑になりますが、そこまで考えつつ感じ取れるようになってほしいと願っています。

ネット検索である程度わかってしまう時代ですが、会ってみて、話してみて、感じ取ることから来る情報の貴重さがむしろ際立ってきています。新しい情報手段のおかげで友達どうしの理解度は上がってきているのですが、若者らしい豊かな「感じ取る能力」を、自分の友達の輪を超え、外に向けて使ってみよう、いままでにないリンクを張ろう、という方向で、これからも一生懸命あと押しを続けるつもりです。輪の外から新しく感じた非言語情報が表現につながり、議論を呼び、深く考える力を生むからです。

このほか、4年生のゼミ論執筆では、以前よりも理論概念も持ち込むよう少し注意喚起しました。理論概念の適用、数値分析、論理的な推論、長文の文章表現、あたりに以前から学生の課題がありますが、3年生で本気で取り組んだ現実問題には、より深く考えるモチベーションがあるので、来年度も一歩の高度化をトライしてみたいと考えています。

最後に、4月は多数の先輩たちと学生の交流の機会を持つことができ、また年末は富士フイルムなどからゼミ卒業生が2人話をしにきてくれました。教員個人的にも一番うれしかったことですが、現役の学生にも幸せなことだなと思います。

January 21, 2011 また2年ぶりですが。

過去2カ年程度の活動の要点です。

2009年度は他大学との交流発表を1回から2回に増やしました。一回あたりけっこう大変ですが、それだけ得るものがありました。

2010年度は、株式会社オールアバウトのご協力をいただき、企業との合同プロジェクトへ貴重な挑戦体験をさせていただくことができました。

試行錯誤の結果、東急ハンズのオンラインショップ「ハンズネット」で女子大生ギフトアイディアのページに成果を載せてもらえたチームも出ました。一応とはいえ商業ベースにのった形で成果を出せたのは当ゼミ初めてのことで、ゼミ卒業生、オールアバウトの方々、東急ハンズの方々の暖かい支援に深く感謝しています。

この他、2010年度は米国からの留学生の参加を得たり、新2年生には通常の2倍近くの人数を採用したり、など今までになかった出来事がいくつかあります。新たな前提が与えられたら、それで可能になることは何か、考えてやってみたい、提案が欲しい、と願っています。

以下余談。

知的なツールが多すぎる時代です。有用な知識がありすぎて一生ではとても学びきれない。

学校で学べる知識は、卒業後10年で必要となる知識のうち量で言えば半分にも満たない、多くの場合はるかに足りない。

知識量で言えばそうなりますが、考える材料や既存知識のありかを突き止め、自分(達)で新しい知識を作り出していく姿勢を学ぶには、少なくとも当ゼミ教員にとっては、通った学校の役割は巨大でした。とくに自分が信じる方向に努力して思いっきり失敗した、っていう経験が一番よかったかもしれません。もっと本気になりますから。

経営を学問対象にする、というのは、広すぎる分野です。有用な知的ツールを全部わかっている人など一人もいません。ならば、どうせ知的な異種格闘戦だ、アンフェアでなければ技は何でもアリ、という場もたまにあっていいだろう、という開き直りがゼミ運営の基本にあります。失敗上等。いわれたとおりなぞった成功体験より自分で工夫して得た失敗は100倍価値がある。

私とリティシェフ先生の師であるウイリアムソン先生が昨年秋に本学で講演してくださいましたが、彼がバークレーで90年代にやっていたことにならいたい、ということでもあります。先生のおっしゃる"Be disciplined. Be interdisciplinary."の後半だけ強調しそうになるのが難点ですが、前半は別の授業科目で、ないし個別学生にそれぞれ、提供したいと考えています。

学校にいるうちの大失敗など失敗のうちに入らないので、知的なリスクは、学校にいるうちに目一杯しょってもらったらいいのではないか。目一杯に頑張ってみて、その場では手ひどく恥ずかしい知的アウトプットを出してみるのは、とりあえず格好だけつけるよりよほどいいことだ(ていうか学校にいるうちじゃないとできないよ)、と思います。

Leveling off. (March 21, 2009)

昨日卒業式があり、当ゼミが再スタートした2006年度に新2年生として入った方々が元気に巣立って行きました。この3年間で、ゼミ活動は順調にペースアップして巡航高度に達した観があります。ただ、安定航行ということは、単なる繰り返しに陥る危険とも隣り合わせでもあります。

単純ループに抗し、直近の1年間で新たに試みたこととして、株式会社ローソンの本社にて、学生からのプレゼンテーションを行う機会にチャレンジしました。ビジネス提案という形式は教員も初めてであり、反省点も多かったものの、米山先生始め関係者の方々のお陰様で大変貴重な経験をさせていただけました。

その他、この1年間の主な活動として、例年どおりの合宿や、例年より大型化した4大学合同発表会などがありました。3年生による対外発表は、化粧品のノープリントプライスに関する実地検証と、企業財務からみたCSR活動の2テーマが選ばれました。実証的な材料・論拠が手堅く準備されていた点を担当教員としては高く評価しています。

このような分析手法や実証材料について深める以前に、当ゼミの多くの2年生は問題設定で最初に苦労します。高校生以前から問題の解き方は沢山習ってきますが、そもそも解答が存在することが保障された問題を解くのは、材料が洗って切ってある鍋セットを調理するようなもの。これに対し、最初から自分で問題設定するのは、生の材料から食べられるものをより分け、作れる料理を考案する位に次元の異なる難しさがあります。一般に、自由に研究問題を設定してもらうと、漠然とした大きすぎる問題に取り組む傾向があります。

それでも、まずは自由に試してみたい、という本能を皆持っています。あまり口出しせずに取り組んでもらうと、ユニークな材料を見つけ、うまく調理する人が毎年でてきます。また、最初はグループを組まずに各人が各方面を色々と探し回った結果、出そろった課題にはいくつか関連する軸がみつかります。これらを手がかりに、大きな漠とした問題を分析が可能な範囲へ、興味深いものへ、と絞り込みつつ、広い範囲に分散した個人単位から集中したグループワークに移行してゆく、という過程を2年生から3年生にかけて踏んでゆきます。今のところ、これが探索経験を形にしていく最良方法のように感じます。最初はいろいろな種が蒔かれた花壇が、剪定や植替えを経て美しいお花畑になっていくようにみえます。

新しいテーマを掘り起こすという学生の活動が効いている限り、マンネリは感じません。が、学生の考えつく世界だけに固執していようというわけでもありません。普遍的な分析手法を深く学習してもらいたい、とか、複合的な問題(例えば国際経営とか知的財産管理)も考えてもらいたい、というような欲求も教員としては持っています。お仕着せにならないことを最優先し、しかし余地があるときには材料をなるべく沢山提供できるよう、来年度も注意深く観察的でありたい、変化やチャンスにはすぐ反応できるようにしたい、と考えています。

リスタートの完了。 (April 30, 2007)

一年と少し前、和田&水永ゼミからの卒業生を送り出し、当ゼミは新しく12名の3年生で再スタートしました。秋からは17名の新人を追加し、順調に軌道に乗ることができています。昨日4月29日は、2006年卒業生、現4年生に水永先生も迎えてタテのつながりを確認する再会ができ、教員冥利に尽きる思いでした。

現役ゼミの経過報告ですが、昨年2学期からは徐々に活動水準を上げ、10月にはネットコンテンツ制作やリゾート開発業の先輩を招き、講話や懇親会を開催しました。この他にも食品・金融など卒業生が訪ねて来てくれており、感謝しています。

11月は箱根合宿でみっちりと議論をしました。同月末には、久しぶりに武蔵大学米山ゼミ、法政大学吉田ゼミとの合同研究会に参加させていただきました。当ゼミから出た格安航空券の利用割合の実証研究は、地道なデータ収集労力と分析内容を評価され全体の2位評価を得ました。

12月は10名以上の高校生にゼミ傍聴をしてもらう機会がありました。学内でのオープンゼミは別として、学外からの受け入れは初めての経験でしたが、お互い新鮮だったようです。

1月からは、過去の例にならって就職活動への支援も少しだけしましたが、就職活動はおおむね学生に有利な状況のようで、あまり必要でなかったかもしれません。

ところで、ゼミ活動に再び戻って改めて感じましたが、社会の変わりゆく方向に対して学生が持っている感度には、あとになって「なるほどこれに気づいていたのか」と教えられることが多々あります。体系的知識、資料の分析、推論・演繹、といった訓練の余地は大きいけれど、そのようなロジックの力を習得してもらうためには、真剣に考え追求している学生が、他人の見えていない何に気づき始めているか、に対する教員の感度を高くしなければならないと思います。担当教員は昨年度から大学共通部門の仕事も行っているため、ゼミ活動報告の更新が遅れましたが、これを今年度の教員の課題とするつもりです。

新体制移行準備その2 (April 20, 2006)

水永政志先生の指導の下で1年半学んだ4年生が無事卒業し、以前卒業のOBも含めて、もうすぐ飲み会で再会できそうです。元気なOBに会うのがこんな楽しみなものだとは教員になるまで知りませんでした。
当ゼミでは、3年ゼミの新しいメンバーが決まり、2年生もこれから募集に入ります。前回も書きましたが、これまでどおり笑顔に満ちた充実した学びの場にできるよう細心の注意を払って行きたいと思います。楽しみにしておりますのでよろしくお願いします。

新体制移行準備(Jan.15 2006)

水永政志先生の指導の下で1年半学んだ4年生がまもなく卒業の時を迎えようとしています。それぞれ大きな変化とチャレンジをうまく乗り越え飛躍されんことを心から祈る次第です。当ゼミでは、4月に再び教員バトンを交換して、やはり新しい出発の年になります。これまでどおり、笑顔に満ちた充実した学びの場にできるよう細心の注意を払って行きたいと考えておりますのでよろしくお願いします。 

とっくに出発(Oct.15,2004)。

今学期から和田ゼミは水永政志先生に引き継がれました(和田の米国長期研修のため)。我が学科の先輩OBの方が経営されるレストランでのキックオフ・ディナー、金融・通信などのエグゼクティブのお話を聞く機会など、学期始めから盛りだくさんの内容で走り始めた模様です。遠くにいても熱気が伝わってきます。

ところで、米国に来て気がついたこと、いくつかありますが、身近なところで経営の変化を実感した一例はイクスペディア(Expedia, Inc.)でした。有名なオンライン旅行予約の最大手ですが、直接電話しても予約がとれないホテルが予約できたり、キャンセル保証をExpediaが別料金をとって提供していたり、と単なる仲介業の範囲を超えてしまっていました。以前は安い航空券・ホテルを検索予約できるところ、位に思っていましたが、取り扱い量が増えるにしたがって発言力を強め、旅行のパーツを提供するホテルや航空会社を越えるパワーを持ち始めたと感じた次第。

そういえば昨年、航空会社のUSエアウェイズが、我が社だけ手数料一人あたり約9ドル(他の航空会社は5ドル)に値上げするのはけしからん、とExpedia取引打ち切りを決めた後、やはりExpediaなしではやっていけないと方向転換したのを思い出しました。日本ではプロ野球参入で一般の知名度を高めている企業、その知名度をパワーに変え、下手すると公取委が目をつけるほどになる日はもしかしたら遠い話ではないのかも、と思ったことでした(text by Wada)。


年度明け (Apr. 5, 2004)

 2003年度後半も怒濤のようにいろいろな活動が行われました。ゼミでの研究発表、事前準備と議論、学外でのインタビューなど情報収集活動、合宿、などなど、活発にみんなが動いていて、しかも見ていても安心できるようなスマートさも兼ね備えていたと思いました。もちろん個々人ではいろいろ壁にぶつかったりしているのでしょうが、納得して正面から取り組み、その結果を素直に受け止め、また次を考えられる人が多いと感じます。
 さて2004年度は、水永政志先生との共同ゼミという初めての試みになります。今年は2年生募集をお休みしますが、在籍者とともにまた新しい形に取り組むことを楽しみにしています。

近況 (Sep. 19, 2003)

2学期は今週から公式に授業スタートしたわけですが、我がゼミに関しては2年生・3年生が今月初め合宿で共同創作活動を開始できました。何をやったかっていうと、バーべーキューですごい煙を出して上の階の別なお客さんが「何だ何だ!!」と偵察にやってきたり、カレー作ったりおにぎり作ったり、つまりはそういうことですが、おいしい成果だったことは保証します。ちなみに夜中3時まで飲んでいても、翌朝招集なしでぴたり時間通り全員勉強のために集まっていたってことも少しだけ胸はって書き添えておきます。

今年度一次募集終了時点 (June 11, 2003)

今年度も多数の2年生諸君から申し込みを頂き、誠に有難うございました。採用したい人をそのまま選ぶと予定の倍以上の人数になってしまうため、無理矢理に半数以下に人数合わせせざるを得なかったのですが、このことを大変申し訳なく感じています。入ってなかった人、ごめんなさい。

演習募集全体については、一次募集34ゼミに約520人の申込みがあり、そのうち約三分の二が合格し、残りが二次募集に回る点、昨年とほとんど同じ進行状況になっています。二次募集でも20ゼミが受け入れ準備があり、さらに三次募集や春の再募集までチャンスがありますので、うまく行くよう心から祈っています。

新年度に向けて。 (Mar. 7, 2003)

2,3,4年生が平行してゼミ活動を行う秋・冬学期は、今年もとても忙しく充実した学期となりました。2年生は開始早々あっという間に仲が良くなり、よく勉強する学年ともなりました。3年生は、新入生説明に始まって大人数の合宿とりまとめや発表会など難しい仕事をこなし、元気に就職活動に出撃していきました。4年生は、多少の紆余曲折のあと、とても面白いゼミ論集を完成させ、卒業して行こうとしています。教員にとっていくつか反省点はあるものの、それぞれに大きく成長していく姿は励みになるものです。

4月に入ればすぐに新年度の演習再募集(3年生以上に対する追加募集)、それにまもなく新2年生全員に対する募集が始まります。学部教務委員の一人として、制度の手直しも少しずつ進めています。昨年までは既登録科目がある時間帯はいっさいゼミ登録を認めていませんでしたが、2次・3次募集で合格したゼミに限って既登録科目の取り消し、ゼミ優先の登録変更を行うよう、本日の教授会で承認してもらいました。全学生の希望ができるだけ反映できるよう、募集手続きが円滑に進むよう少しでも助けになればと思っています。

二学期(秋〜冬学期)のゼミ。 (Oct. 28, 2002)

本学経済学部のゼミは、一昨年度の新ゼミ生から「2年後半+3年+4年後半」でトータル2年間という制度に移行しました。当時の新ゼミ生が今年度4年生ですから、今年がその移行完了年度ということになります。4年次前半は今年も就職活動の影響を大きく受けています。したがって、ゼミ活動が秋〜冬に重点を置かざるを得なくなったのは致し方ないところでしょう。

結果として、秋〜冬は3学年が平行してゼミ活動を行うことになり、各教員ともに週3コマのゼミということになります。顔を合わせる学生の数が増えて忙しくなるわけですが、これを逆手にとって当ゼミでは近々全学年合同ゼミ合宿をする計画です。学年間の交流が少ないという点が弱点だったので、一つの改善になれば、と思っています。

一学期を終えて。 (July, 2002)

一学期が無事終了しました。当ゼミの今学期は、3年生ゼミが「くじ引きによる班分け」と「学期に二回研究発表する」というやり方を学生自らの意思で選び、意義ある経験ができたようです。

その他、株式会社光彩工芸・代表取締役社長・深沢栄二氏による特別講師のお話と飲み会(4月)、募集説明会(5月)、新人歓迎会(6月)、就職活動を終了した4年生4人による体験談(7月)などを加えることができ、これらも大変有意義だったと思います。関係者の方々ご協力ありがとうございました。

経済学部全体の2年生新ゼミ生募集も終了しました。

経営学科全体でも、ゼミ履修希望者の90%以上を収容することができ、これはマンモス大学にはできないことですので胸を張れるとは思います。しかし、それでもすべての人を収容できたわけではありません。学部教務委員の和田は、募集全体の裏方としてつらいところです。

募集手続きを担当してみてわかったことですが、ゼミに応募したが入れなかった人のほとんどは、実際は3次募集までチャレンジせず、自分から応募を途中で取りやめた人です。やりたいことができないならいいや、という気持ちもわかりますが、それでもやはりゼミは入った方がいいと思います。参加者からの提案でできてくることや予期せぬ出会いがあるからです。2年生には、いくつかのゼミで来年4月に再募集がありますから、まだ入っていない人には是非もう一度考え直してみることをおすすめします。

2002年度。 (June 27, 2002)

経済学部の2年生新ゼミ生募集も終盤に入りました。

本学部では大半の学生がゼミ履修できますが、それでもすべての人を収容できるわけではありません。学部教務委員の和田は、募集全体の裏方として胸を痛めています。

当ゼミに一次募集で予定の倍以上の申し込みをもらったことは素直にうれしかったです。しかし同時に、2クラスできるところを1クラスに絞らなければいけないわけで、魅力ある人を無理に断らければいけないのはつらかったです。見かねたゼミ生が、来年は選ぶつらさを味わわないように悪評を流してあげようか、といってくれています。う〜ん・・・みんなありがとうね(^^;;)

ご挨拶。 (Febrary 22, 2002)

昨年4月、"Now under construction."という和田ゼミページの表示を「公開コンテンツは準備中です。」に変えました。

で、はや10ヶ月。さすがに重い腰を上げてやっと少し内容を入れました。とりあえずゼミ選びを考える方々に参考になるものにしたいと思っています。
ですが、本当にゼミ選びを考えている人がここに見に来たなら、直接私の研究室に一度来てみて話してみるのが良いと思います。

このへんの日時はどうか、というメールをあらかじめもらえると有り難いです。
和田研究室は東2号館11階にあります。