過去のセミナー

未来店舗の本質研究会 店舗実験報告セミナー
  学習院マネジメント・スクールがコープさっぽろで実証実験
  -生活者の希望を生み出す「未来店舗」とは?-

2013年7月23日

◇主催
学習院マネジメントスクール

◇共催
生活協同組合 コープさっぽろ

◇講演者 (登壇順)
大見 英明 氏 (生活協同組合コープさっぽろ 理事長)
上田 隆穂 教授 (学習院マネジメントスクール 所長/学習院大学経済学部)
大前 嘉騰 氏 (生活協同組合コープさっぽろ 西宮の沢店店長)
米田 敬太朗 氏 (生活協同組合コープさっぽろ マーケティング室室長)

◇未来店舗産学協同プロジェクト 座長
上田 隆穂 教授(学習院マネジメントスクール 所長/学習院大学経済学部)



『これからの小売のあり方』
大見 英明 氏


未来店舗研究会と個人的理解ということで、現在の小売(スーパー)は生活者の本質的なニーズを満たしていないため、今後消費者の潜在的ニーズを先取りした新しい小売業態開発をする必要がある。
生活者の現状としては、未来に向けて明るい兆しがあるとはいいがたく、未来に希望がないと消費心理さえ喚起されない。そのため、小売業の課題として、ライフステージごとに消費者の希望を喚起・アシストすることが必要になるだろう。
日本・海外の小売業の現状を踏まえながら、『コープの好きな人をふやす』という継続テーマのもと、「関係性のマーケティングを強化する」取組みをご紹介いただき、店舗事業、宅配事業、共済事業、灯油事業など全ての事業を重層化し、それぞれ顧客接点を強めることで単なるスーパーマーケットチェーンとは異なる、北海道におけるお役立ちプラットフォームとなる展望をお話いただいた。



『コープさっぽろ店舗実験に至る考え方』
上田 隆穂 教授


スーパーマーケットを中心とする小売業の本質は、顧客の日常のサポートである。そして小売のみならず、これからの企業は、長きにわたって存続するためにポーターの共通価値「収益性と社会性の両立」を目指すべきである。一方、消費者については、購買が活発化するのは、希望が湧くときである。子供の進学、友人たちとの集まり、地域での祭りなど期待が色々できて、あれもこれもしようとなり購買が発生する。ただし、企業は消費者の潜在的あるいは無意識のニーズに対応する必要がある。本人も気が付いている顕在的ニーズへの対応では、時すでに遅しである。これゆえ、企業は消費者インサイトから希望を生み出すコア意識を探り対応せねばならない。この消費者インサイトは、消費者のライフステージごとにかなり異なる。
本研究会では、デプス・インタビューやウェブモチベーションリサーチの実施から、多様な仮説が浮かび、一部にフォーカスして、コープさっぽろ西宮の沢店で2012年11月3日~27日にて店舗実験を行った。

『コープさっぽろ店舗実験概要、効果検証』
上田 隆穂 教授


生活者における希望活性化の店舗実験は実行可能な範囲に絞られ、店内での実行が中心となった。
実験の中心となったのが、「明るいくらし応援隊」と名づけられたライフステージコーナーである。その他に、顧客と店の絆を強化するための売らない場の創造、店長・社員と顧客との絆強化のための顔写真付き黒板型POP、社員登場ビデオの提示・放送、オープン型コミュニティの実施、そして一部実験を行った旬・鮮度の活用がある。
効果検証として、POSデータ分析、ID-POSデータ分析、アンケート分析を行った。 POSデータ分析では、実験期間の前後1ヶ月を含めて分析対象期間とし、実験前、実験中、実験後を比較して効果を測定。4つのライフステージともに、実験中に大きく値を伸ばし、実験後も実験中と比較すると値は下がるものの、全ライフステージでの実験前の値を上回った。また、アンケート調査では、「店舗に親しみを感じた」「明るい雰囲気になった」「店舗に安心感を持った」など、非常にポジティブな意見が多かった。 今後、実験した一つひとつについてさらに丁寧な考察を重ねつつ実行すれば、さらなる効果が期待できるだろう。



『未来店舗の本質研究 成果と感想』
大前 嘉騰 氏


コープさっぽろ西宮の沢店をご紹介いただいた後、競合店の出店と合わせた実験報告(競合対策から学んだこと)をご報告していただいた。2012年に新規競合店2店が出店したが、結果的には打ち勝ったといっていいだろう。今回の未来店舗の本質研究会の実験がなければ、「値下げ合戦」の土俵に参戦し、今でもギリギリの戦いをしていたのかも知れない。実験の全てが「価値」を上げる(本来持っている商品の価値知ってもらう)結果に繋がり、今後も無くなる事がない「競合店対策」の基本をしっかり学び取ったとお話いただいた。

『未来店舗の本質研究 西宮の沢店実験の水平展開』
米田 敬太朗 氏


今回の実験において、価格ではなく、『従業員との顔の見える関係性』や、『商品との出会いの場』をライフステージごとに演出するなど、“価値”をお勧めする売場展開は間違いなく組合員の購買行動に変化をもたらしたとFSPデータを使ってレビューしていただき、他店舗への実験成果の水平展開として、『黒板型スタッフボード(黒板型顔写真付きPOP)』の採用を決定し、いくつか展開事例をご紹介いただいた。
まとめとして、黒板型スタッフボードを導入したことによる大きな効果は“売り方”を工夫するようになったということ、そしてバックヤードの作業に追われていたこれまでと異なり、買われていく様子を観察し、組合員視点で描いた自分の思いを売場に込めることで、売場に出る機会、商品を介して組合員との接点が増えたということをお話いただいた。