SUWA HARUO 通信 1
アジア文化研究プロジェクトへようこそ。
私たちのホームページをご覧になる皆さんへ、定期的に最新の研究情報をお届けするコーナーです。
私たちの研究の目的はただ一つ、日本文化をあきらかにしようということです。
ただ、その日本文化を日本列島内で孤立させてとらえるのではなく、アジア諸国、ことに近接する東アジア諸国との関わりのなかでかんがえようというのが、このプロジェクトの特色です。
口でいうのは、かんたんですが、実行することは大変です。
そのために、これまで多額の資金をつかい、10年近くの歳月をついやし、中国、朝鮮、台湾、ベトナム、日本列島各地、などの現地調査をやってきました。
またそれらの国々から大勢の専門家をお招きして、研究会やシンポジウムもおこなってきました。その成果の一部は、当会の刊行物となっていますので、ご覧ください。
しかもその資金は、ほとんどすべて、学外からの寄付、援助にたよってまかなってきました。日本経済のバブル崩壊後の平成4年(1994)に発足したプロジェクトですから、資金が枯渇し、学習院当局から活動ストップをかけられたことも幾度かありました。
今日まで活動をつづけられたのが不思議なくらいです。
苦労話はこのくらいで。
昨日、6月23日(土曜日)、サントリー文化財団からいただいている助成金で、東南アジアの黒潮圏文化と日本との関わりについてかんがえる研究会をひらきました。
講師は、桃山学院大学名誉教授の沖浦和光先生です。いうまでもなく、東南アジア、ことにインドネシア調査では、日本の第一人者です。
日本の古代の隼人とよばれた人たちが、東南アジア系の海洋民であること、この人たちのもちこんだ竹の文化のなかに、『竹取物語』の典拠となったかぐや姫の竹取説話があったこと、海上他界、船形家屋、葬式の供犠、洞窟に遺体をそのまま放置する風葬、頭蓋信仰(仮面儀礼)などの民俗が、日本の沖縄から九州にかけての習俗の源流となっていることなどが、興味ぶかく説きあかされました。
じつは、そのあと、中華レストランで、関係する専門家7人でひらいた研究会(?)での成果のほうが、はるかに豊かなものだったのですが、その話はいずれまた後日に。
私たちは、つづけて、アジア民族舞踊の公演とシンポジウム「アジア民族舞踊交流会」(7月8日)、講演とシンポジウム「東アジアの王権と祭り」(7月28日、29日)を開催します。そのねらいや成果についても、またこの欄でご報告しましょう。
今回はこの辺で失礼します。