バクテリアが糸を出して、コミックヒーローのように自在に動き回る…そんなことってあるのでしょうか?
学習院大学の2人の研究者が、最先端の顕微鏡を使って、その不思議な姿を捉えることに成功しました。
大きさがわずか1000分の1ミリの生き物が、さらに細い10万分の1ミリの糸をたぐり寄せて、水の中を自在に動くのです。顕微鏡の中でしか見ることのできない、ミクロの世界での生命の神秘が、また1つ、明らかになりました。
この新しい発見は、アメリカの有名な科学論文である「米科学アカデミー紀要」に、2017年6月に掲載されました。自然科学の研究において最高峰の論文誌の1つとされています。中根さんはこれまでに、3つの研究をここで発表しており、今回は4回目の快挙となりました。学習院大学の研究のレベルの高さは広く知られていますが、またそこに新しい歴史が加わったのです。
このバクテリアは光を感じて、糸を自由自在に制御します。画像の左側から強い青色光をあてると、細胞の右側からたくさんの糸が生えてきます。
このバクテリアは「目」がなくても、光の向きを認識することができます。画像の左側から強い青色光をあてると、バクテリアは光から逃げるように右側へと動きます。
- 蛋白質1分子の構造や機能をリアルタイムで画像化できる光学顕微鏡を開発する
- バクテリアやアーキアといった微小生物における未知の運動機構を解明する
- ポンプやトランスポーターといった膜蛋白質を精密な装置「膜デバイス」と捉え、それらの機構を分子解剖する
- 人工生命反応器において膜デバイスのダイナミクスを可視化するための方法論を検討する
これから学習院を目指す皆さんは、私にもこんな研究ができるの?と不安に感じるかもしれません。でも大丈夫です。
目白キャンパスの一角には、世界に誇る研究環境が整っています。
例えば西坂研究室には、毎年5人くらいの大学4年生が新メンバーとして入ってきます。卒業研究を始めて、助教と教授の丁寧な指導を受けながら、実験に熱中するうち、気がつけば世界の最先端の研究に加わっている・・・そんな奇跡が、当たり前のように起こっています。
生物、化学、そして物理。科学の世界に憧れている高校生の皆さん、ぜひ、学習院の扉をたたいてください。
伝統を忘れず、しかし時代のトップを目指す大学の気風が、皆さんを次のステージへと必ず高めてくれるはずです。