行政法II
  行政救済法

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
高木  光 教授 4 3〜4 通年 2

授業の目的・内容

行政活動に不満を持った市民や企業はどのような形で是正・救済を求めることができるのか。これが行政救済法のテーマである。その中核は裁判所に救済を求める訴訟であり、金銭の給付を求める国家賠償訴訟と、行政処分の取消しを求める取消訴訟がその典型である。講義では、まず、この2つの典型的な救済方法について条文の構造と判例法理を説明し、受講者の理解の程度に合わせて、その他の救済方法や現状の問題点を取り扱うことにしたい。

授業計画

導入:行政救済法の位置づけ
国家賠償法1条(1)「公権力の行使」
国家賠償法1条(2)「職務上の義務」
国家賠償法1条(3)違法の相対性
国家賠償法1条(4)違法性と過失
国家賠償法1条(5)不作為の違法
国家賠償法2条(1)「通常有すべき安全性」
国家賠償法2条(2)客観説と主観説
国家賠償法2条(3)自然公物論
10損失補償(1)特別犠牲説
11損失補償(2)財産権の内在的制約
12民事訴訟の限界:金銭賠償の原則
13取消訴訟の対象(1)行政処分の概念
14取消訴訟の対象(2)法的効果
15取消訴訟の原告適格(1)法律上保護された利益
16取消訴訟の原告適格(2)環境訴訟
17取消訴訟の訴えの利益
18無効確認訴訟
19予防訴訟及び義務付け訴訟
20行政不服審査法(1)審査請求中心主義
21行政不服審査法(2)原処分主義
22行政訴訟改革(1)行政訴訟の憲法的基礎論
23行政訴訟改革(2)行政訴訟検討会
24まとめ
25(予備)

行政救済法は行政法で扱われる「行政法総論」と表裏の関係にあり、とりわけ、行政訴訟の部分は予備知識なしでは理解が困難であると思われる。そこで、教科書とは順序を逆にして、民法の不法行為と親近性を持つ国家賠償訴訟を先に取り上げる。

授業方法

教壇で話をする講義方式でスタートするが、受講者数と進行に応じて、「双方向的」授業を適宜取り入れる予定である。

成績評価の方法

第2学期(学年末試験)
学年末試験の成績による。

教科書

山下淳・小幡純子・橋本博之行政法』(有斐閣アルマ第2版補訂版、有斐閣2003
変更の可能性があるので、第1回の授業で確認してから購入することを薦める。

参考文献

授業の進行に応じて指示する。