民法I
  民法総則・物権

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
岡   孝 教授 4 1〜4 通年 1

学籍番号が奇数の学生向け

授業の目的・内容

本講義は、カリキュラムの改革に伴い、新1年生を対象として、民法総則と物権法を対象とする。教科書を指定するので、特に予習を期待したい。授業では、予習していることを前提に、重要な問題を説明することに主眼をおきたい。テーマによっては、制度の趣旨から始まって基本的な事柄の説明もおこなうが、毎回そうする時間的余裕はないことに注意してもらいたい。

授業計画

開講の辞/教科書等の説明/六法の選び方・使い方/民法とは
胎児/意思能力/未成年者(高校生がキャッチセールで高額な商品を買ってしまったらどうする)
成年後見制度1(法定後見/痴呆症の老人の財産管理はどうする)
成年後見制度2(任意後見/あらかじめ財産管理を依頼する契約はどうやっておこなうのか)
物(建物売買の場合、土地も買主のものになるのか)
法律行為(食肉を購入した買主が無免許業者の場合には、代金支払義務はないのか)
意思表示1(売るつもりがないのに売るといったらどうなる)
意思表示2(なくしたと誤解して手袋を買った。後に誤解を理由に返品は可能か)
第三者の保護(仮装売買の買主が心変わりをして転売してしまったらどうなる)
10無効と取消(未成年者が受領代金を浪費した後、親の不同意を理由に売買を取消したら、代金返還は不要?)
11条件と期限/期間(期限の利益の喪失とはどういうことか)
12代理1(代理人の私利目的を相手方が知って契約を結んだ場合でも、有効な契約か)
13代理2(代理人が権限を越えて代理行為をした場合、それを代理権限内と信じた相手方の保護は)
14時効1(時効完成を知らずに支払いの延期を求めた場合、あらためて時効を援用できるか)
15時効2(中断と停止とはどこが違う)
16時効3(除斥期間と消滅時効との区別は)
17法人1(法人格を取得する目的はなに)
18法人2(中間法人法とはどういうものか)
19民法総論(信義則/権利濫用/有名な宇奈月温泉事件とはどういう事件か)
20物権的請求権(洗濯物が隣家の庭に落ちた場合、洗濯物が隣人の所有権を侵害している?)
21所有権移転の方法と時期(土地を売買した場合、いつどうすれば買主の所有物になるのか)
22不動産物権変動の対抗要件(登記/背信的悪意者とはどういう人?)
23登記を要する物権変動(取消と登記/解除と登記/相続と登記)
24動産物権変動の対抗要件(引き渡し/取引の安全はどうなる:即時取得)
25占有(取得時効もここで扱う)
26所有権(魚を釣ったら、釣り人の所有物になるのはなぜ)
27地上権(借地をするのに賃借権と地上権とではどういう違いがあるか)
28永小作権/地役権(今でも利用されているのか)/入会権/まとめ

授業方法

講義形式。できるだけ学生諸君に質問をしたい。例えば、売主と買主の双方から代理権を与えられて売買契約をまとめることは許されないが(双方代理の禁止)、それはなぜだと思うか、といった具合である。

成績評価の方法

第2学期(学年末試験)
学年末の定期試験で評価する。また、授業中の質問にきちんと答えてくれた学生には、加点する。

教科書

開講時に教科書を指定する。民法総則と物権法の2冊になる予定である。

参考文献

川井健民法概論1総則第2版、有斐閣2000
内田貴民法I(総則・物権総論)第2版補訂版、東京大学出版会2000
淡路剛久ほか編目で見る民法教材第2版補訂版、有斐閣2000
川井健民法概論2物権有斐閣1997
広中俊雄物権法』(現代法律学全集第2版、青林書院1982
開講時までに米倉明『民法の聴きどころ』(成文堂、2003年、1600円)をぜひ一読することをお勧めしたい。高校までの勉強とまったく違う点を知ることができよう。

その他

民法Iは、2人の教員がクラスを分けて講義をする。今年度の私のクラスは、学籍番号が奇数の学生しか履修できないので、注意をすること。
毎回授業開始(5分〜10分)前までには教室に行くので、質問はできるだけそのさいにお願いしたい。
出席するかどうかは受講生諸君の自由だが(出欠はとらない)、授業の流れの妨げになるので、途中での教室の出入りはしないこと。