美術史講義

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
第1学期 郭  在祐 講師
第2学期 金  惠信 講師
4 2~4 通年 2

郭  在祐 講師(第1学期) 韓国美術史を通して文化と歴史を知る

授業の目的・内容

隣国同士である日本と韓国の間を「韓国美術史」を手がかりに、韓国美術史への認識、歴史的なものの見方、美意識などを講述し、異文化への理解を多面的な角度から考えていくことにする。また、テ-マ毎に受講生からの声も取り入れながら講義を進めて行きますので、授業の残り時間に受講生たちからの素朴な疑問、質問や課題を歓迎します。そして、例年より美術史の専門的な用語や内容を取り入れます。

授業計画

4/15 ガイダンス
4/22 韓国の美について
5/6 韓国三国時代の絵画-高句麗・百済・新羅-と日本との関係
5/13 韓国絵画の展開-高麗王朝時代から朝鮮王朝時代へ-
5/20 韓国の屏風について
5/27 韓国の文人契会と契会図
6/3 韓国と日本の梅(梅花)について
6/10 朝鮮王朝初期の水墨山水画
6/17 朝鮮王朝中期~末期の水墨山水画
106/24 朝鮮通信使を考える
117/1 韓国の風俗画について1
127/8 韓国の風俗画について2

授業方法

スライドまたはビデオをみながら講義中心で進める。随時のプリントの配布。

成績評価の方法

レポ-トの提出

参考文献

安 輝濬-藤本幸夫・吉田宏志訳-韓国絵画史吉川弘文館1987
柳 宗悦朝鮮の美術1922
郭 在祐文清山水図考-新出・精華堂文庫山水図をめぐって-国華12041996
高崎宗司淺川 巧の生涯「朝鮮の土となった日本人」草風館1998
新版韓国の歴史 国定韓国高等学校歴史教科書赤石書店2000
さらに参考文献は講義中にも紹介する予定だが、受講生は講義の始まる前に上記の本に目を通すと参考になると思う。

金  惠信 講師(第2学期) 韓国の近現代美術

授業の目的・内容

韓国近現代期の美術の流れを辿る。まず、近代期以前における外来美術の受容について考察する。次に、韓国近現代の美術イメージを見ていく。韓国の20世紀は、1910年からの植民地時代、独立、韓国戦争、南北分断、軍事独裁、民主化運動、情報化と文化中心の国家政策などが続く時代だった。授業では、こういった時代状況を踏まえたうえで、描かれたイメージの中に絡み合っている画家と観る人々、社会のまなざしを検証することで、韓国の美術と文化に対する理解を深めてもらいたい。

授業計画

前近代期韓国における外来美術の受容
‘近代’と‘美術’
韓国の‘近代’と‘美術’のはじまり
「朝鮮美術展覧会」の美術
‘朝鮮色’の美術
戦争と視覚イメージ:戦時期の美術
文化と視覚イメージ:美術で表象される異文化
戦後の美術:現代美術のはじまり
民衆美術:視覚イメージが見つめた近現代
10クローバリズムと美術:韓国光州ビエンナーレの美術
11韓国の女性美術
12現代韓国の視覚文化:韓国映画のイメージを読む
13予備日

授業方法

毎回スライドで美術作品を見ながら、イメージ分析を行う。

成績評価の方法

出欠、学期末レポート

参考文献

姜尚中(カン・サンジュン)オリエンタリズムの彼方へ岩波書店1996
池明観(チ・ミョンクァン)ものがたり 朝鮮の歴史岩波書店1998
李成市(リ・ソンシ)東アジア文化圏の形成』(世界史ブックレット7山川出版社2000
韓洪九(ハン・ホング)著 高崎宗司監訳韓洪九の韓国現代史-韓国はどういう国か-平凡社2003
鄭于澤(チョン・ウテク)・並木誠士韓国の美術・日本の美術昭和堂2003
*日本語の韓国近現代美術論文
金惠信「韓国近代油絵の流れ―「近代を見る眼」展をめぐって―」『近代画説』7号 明治美術学会 1998
金惠信「韓国近代美術におけるジェンダー-植民地期官展の女性イメージをめぐって-」熊倉敬聡・千野香織編『女? 日本? 美?-新たなジェンダー批評に向けて』慶応義塾大学出版会 1999
金惠信「韓国の民衆美術―遅れてきた美術の近代化」北澤憲昭・木下長宏・イザベル・シャリエ・山梨俊夫編『美術のゆくえ、美術史の現在―日本・近代・美術』平凡社 1999
池田忍・金惠信「植民地「朝鮮」と帝国「日本」の女性像」小森陽一、酒井直樹、島薗進、千野香織、成田龍一、吉見俊哉編 岩波講座 近代日本の文化史 第6巻『拡大するモダニティ』2002