哲学演習
  マルブランシュにおけるsentiment

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
伊藤 泰雄 講師 4 D/M 通年 3

授業の目的・内容

マルブランシュにおいて、真理は、「事象性の関係」にかかわる「思弁的真理」(vrit spculative)と、「完全性の関係」にかかわる「実践的真理」(vrit pratique)とに区別される。デカルトと異なり、マルブランシュは前者に後者を依存させることはなく、人間知性によって見出される思弁的真理がいかにして法としての力を持つ完全性の秩序に関わるのかを問題にした。この問題に関するマルブランシュの議論を正しく理解するべく、『自然と恩寵』における魂(me)に対する実践的真理の現れ方をとりあげる 。「思弁的真理」においてと同様に、「実践的真理」においても、内的感覚または魂の闇という認識上の事実が介在し、そのことによって実践的真理の現出の仕方に関するマルブランシュの理解は独特の性格を示している。その際、sensationと区別される(知的な)sentimentの理解が鍵となる。

授業計画

授業開始当初は、出席者の顔ぶれにもよるが、マルブランシュの思想について少し話をする予定である。
ある程度マルブランシュの思想の概要について出席者の理解が得られたところで、マルブランシュ『自然と恩寵』の検討に入る。

出席者に各自の哲学的関心を披瀝してもらい、それを念頭に置きながら、テキストを出来る限り丁寧に読み、考察する。

授業方法

出席者によるテキスト読解と議論

成績評価の方法

授業に対する貢献度とレポート

教科書

Malebranche, Trait de la Nature et de la Grace, (Bibliotque de la Pliade) Gallimard, 1992
Malebranche, Trait de la Nature et de la Grace, (Oeuvres Compltes de Malebranche) 2nd Edition, Vrin, 1976
マルブランシュ全集からのテキストは哲学科図書室のものを必要に応じて用意する予定。
英訳 Treatise on Nature and Grace, tr.by Patrick Riley, Clarendon Press Oxford.も参照する。これについても必要に応じて用意する。

参考文献

参考文献については、授業の進行に沿って紹介する。

その他

yyito@cc.musashi.ac.jp