「美術館人の中には、大学での美術史研究が理論を重視し美術の社会的作用に注目するあまり、美術作品の美的側面を軽視している、と考える人も多い。他方、大学人は、美術館が一種の娯楽産業へと変貌し、観客と収入の増加をもっぱら追求することによって、斬新な研究成果が期待される場ではなくなりつつある、と感じている」――これは、一昨年アメリカで刊行された書物からの引用ですが、この問題は日本にも無縁ではありません。そこで、今年度の演習では、今日の美術史学の状況と美術館の活動について考え、望ましいあり方を論じたいと思います。前半はシンポジウムの成果である上記の書物(The Two Art Histories)の講読、後半は関連テーマでの参加者各人の研究発表とします。
前半は講読、後半は研究発表。詳細は開講後に参加者と相談して決めます。
講読と研究発表の成果に、出席および参加姿勢を加えて評価します。
Charles W. Haxthausen(ed.), The Two Art Histories, Yale University Press, 2002
テキストは各自注文してください。哲学科研究室の参考書の棚にも用意します。