日本史特殊研究
  戦国期室町幕府・将軍の研究

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
山田 康弘 講師 4 D/M 通年 5

授業の目的・内容

戦国時代の室町幕府・足利将軍に関する記録である『蜷川親俊日記』を講読する。
現在、戦国史研究は、日本列島社会をいかにしてトータルな形で理解するか、ということが重要な課題のひとつとなっているが、この課題克服に欠かせないのが戦国期の幕府・将軍の実像の究明である。なぜならば、将軍は、全国経済の中心地である京都を根拠地としていたうえ、戦国期にいたっても西日本を中心とする広範囲な地域に対してなお一定の影響力を保持していた可能性が指摘されているからである。戦国期における幕府・将軍の研究は、列島全体像を十分に描き出せずにいる戦国史研究の現状を打破する重要な作業として、今後一層注目されることであろう。
ところで、戦国時代の幕府・将軍に関する史料は、意外なほど多く現存している。そうした史料のひとつが『蜷川親俊日記』である。戦国期幕府「政所方」の記録であるこの史料には、幕府に提起された洛中洛外の売買・金銭貸借関係の訴訟が政所方内部においていかなる人物によって、そしてどのような手続によって処理されていたのかが克明に筆録されている。本講義では、この史料を検討することによって、戦国期における幕府政所方の実像、および洛中洛外における寺社権門から百姓層にいたる諸階層のさまざまな経済活動について、考察していく予定である。

授業計画

天文七年より逐次検討していく。

授業方法

毎回、参加者が分担分を報告し、他の参加者とともに討議していく。

成績評価の方法

出席状況と分担分の報告内容、討論の姿勢などで判定する。

教科書

『増補続史料大成 親俊日記』臨川書店

参考文献

関連史料としては『大日本古文書 蜷川家文書』、『大館常興日記』、『天文日記』、『言継卿記』、『鹿苑日録』、『室町幕府引付史料集成』(桑山浩然校訂。近藤出版社)などがある。また参考文献としては、山田康弘『戦国期室町幕府と将軍』(吉川弘文館、二〇〇〇年)などがある。なお、詳細は講義のなかで指示する。