歴史の中の数学
数学史の流れの中で微積分を学ぶ

担 当 者 単 位 配当年次 開講期間 曜 日 時 限
中村 滋 講師 4   通年 5

授業の目的・内容

学問としての数学の誕生から始めて、文明史の流れの中で微分積分学の偉大さを改めて再認識する。ニュートンやライプニッツ達が取り上げた問題とその解法も紹介する。今の微分積分がいかに使いやすくなったかがよく分かる。天才達のエピソードもたくさん紹介して理系の人にも興味を持てる内容とすると共に、文系でも使われる基本的なテクニックについては例題をたくさん取り上げて、微分積分学がしっかり使えるようになることを目指す。

授業計画

オリエンテーション、H1学問としての数学の誕生
H2ギリシア数学からインド・アラビアの数学へ
H3数学の再生、そして微分積分学の発見
関数、極限値、連続関数
微分法
問題練習1、付・ライプニッツが解いた問題
微分法の応用、接線、極値
テイラー展開、ロピタルの定理
問題練習2、付・ニュートンの円周率計算
10 不定積分
11 不定積分のテクニック
12 問題練習3、付・オイラーの偉業
13 H4解析学の発展
14 定積分
15 定積分の応用
16 問題練習4、付・アルキメデスのやったこと
17 多変数関数、偏導関数
18 偏微分の公式たち
19 問題練習5、付・曲面
20 2変数関数の極値
21 陰関数定理、様々な曲線たち
22 問題練習6、付・定円に内接する面積最大の三角形
23 重積分
24 重積分の応用
25 問題練習7、付・アルキメデス再論
26 H5解析学の危機と厳密な解析学の完成
27 総復習と問題練習8
頭にHとあるところは数学史の話になる。微分積分学の話では3回目毎に問題練習が入り、そこでは学生諸君に問題を解いてもらうと共に、歴史上興味のある問題を取り上げて私が解説を加える。
12月20日は予備日とする。

授業方法

問題練習以外は講義形式で進めて行く。教科書にない歴史部分についてはプリントを配布する。
問題練習は歴史的な問題を解説した後、学生に問題を解いてもらう。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験)、第2学期(学年末試験)
毎回簡単なチェックテストを行い、これを出席票とする。普段のチェックテストは成績に加えないが、問題練習のときのチェックテストは小テストと称し、出席回数とあわせて平常時の評価に加える。レポートは2種類提出する。一つは締め切りつきの必修レポートで、各期2回出題する。またもう一つは小レポートと称して、随時出題され、自分でいくつかを選んで提出する。いずれも平常時の評価に加える。成績は期末試験の成績(60%)、レポート点合計(30%)、小テスト・出席点(10%)で決める。

教科書

三宅敏恒微分と積分版、培風館2004

その他

最近は文系の各分野、特に経済学、においても微分積分学を使えるだけの力が要求されるようになっている。そこでその人たちに対する計算力の涵養を目的の一つとする。ただし、科目名からしてもそれだけでは不十分なので、人類文化史上最高の達成の一つである微分積分学の発展の跡をたどりながら、その意義を再認識するものとしたい。その中で、歴史上の大天才達が解いた問題を取り上げたり、彼らにまつわる様々なエピソードもたくさん取り上げて、理系の人たち、特に数学の人たちにも興味の持てる内容とし、ユニークな講義を目指す。
予習はいらない。授業に集中し問題練習を含めた復習をしっかりしてほしい。文系・理系を問わない「教養人としての微分積分学の基本」プラス「アルファ」の講義で、このアルファを大きくふくらませたい。
非常勤なので連絡はなるべく講義の前後にしてもらい、緊急時はe−mailで。snakamur@e.kaiyodai.ac.jp