心理学D
他者理解と人間関係の心理学

担 当 者 単 位 配当年次 開講期間 曜 日 時 限
濱村 良久 講師 4   通年 4

授業の目的・内容

本講義は、専門科目の基礎を広く浅く学ぶのではなく、「人間らしく生きていくための教養」としての心理学を目指します。授業では(主として日常生活における他者理解や人間関係についての学生の問題提起を取りあげながら)「心理学とは何か」を心理学専攻以外の学生にも理解してもらえるよう、講義を展開します。従って、紹介する研究も、心理学理論の歴史的発展よりも応用面を重視します。学生が授業において積極的に問題を提起してくれることを望みます。(勿論、心理学科の学生も大歓迎します)。

授業計画

心理学とは何か 
簡単な心理学実験を織り交ぜながら、「実験や調査によって心を考える」心理学的なものの考え方の世界を紹介します。なぜ、わざわざ実験や調査が必要なのでしょうか?どうやったら「心」を実験できるのでしょうか?
学習理論1 
生まれたばかりの赤ん坊は、さまざまな経験を積んで大人になります。では、その経験の正体って何でしょう?経験を積むとどこが変わるのでしょう?なぜ変わるのでしょう?
学習理論2
学習理論3
学習理論4
個人差と人間関係1 
性格とは何でしょう?本物の心理テストはどうやって作るのでしょう?人間関係において、内気な人と社交的な人は学習理論から見てどう違うのでしょう?
個人差と人間関係2
外界の認知 
人はどうして他人をこのように見るのでしょう?
催眠 
催眠術って、信じてますか?本当にかかるのでしょうか?誰でもかけられるようになるのでしょうか?催眠にかかった状態とはどういう状態なのでしょう?リラックス催眠と自己暗示をマスターしましょう
10 他者理解とカウンセリング1 
人の心を知ることはできるのでしょうか?でも、僕らは人の心の何を知りたいのでしょう?
11 他者理解とカウンセリング2 
君は俺のことを分かってくれる、と言われると嬉しいよね!人の心を掴む方法というのはあるのでしょうか?
12 他者理解とカウンセリング3 
内側からの理解は人間的成長への入り口です。
13 感情と人間関係1 
感情は何のためにあるのでしょう?なぜ、いつから、恐がるようになったのでしょう?私にも恐怖は克服できるのでしょうか?学習理論から恐怖の形成と克服について考えます。
14 感情と人間関係2
15 感情と人間関係3
16 学習と人間関係(ほめ、叱り)1 
うまくほめ、うまく叱ることができれば人を動かすことができるかもしれません。学習理論からほめ方、叱り方、上手な人間関係について考えます。
17 学習と人間関係(ほめ、叱り)2
18 対人認知、魅力と恋愛1 
愛するって、何?愛されるって、何?好かれる人とは?一目惚れ、美しさの秘密、恋の始まりと終わり、嫉妬、浮気、惚れ直し、失恋などなど。恋愛も大切な人間関係です。
19 対人認知、魅力と恋愛2 
進化心理学から魅力の男女差を考えます。
20 対人認知、魅力と恋愛3
21 説得と対人行動1 
弁論上手は説得下手?さまざまな説得技法と洗脳技法があります。しかし究極の説得術は好かれること?
22 説得と対人行動2
23 説得と対人行動3
24 親和欲求と友情1 
人はなぜ友達を求めるのでしょう?どんな友達を求めるのでしょう?友達を求めないときとは?本当の友情とは?友達の多い人はどこが違うのでしょう?
25 親和欲求と友情2
26 怒りと攻撃欲求 
なぜ人は人を傷つけるのでしょうか?攻撃の個人差はどこからくるのでしょうか?攻撃をするように、またはしないようになれるのでしょうか?学習理論から考えてみます
27 人間関係の病理
28 まとめ
心理学全体を見渡すために、まず認知と学習理論を取りあげ、人間関係のさまざまな問題につなげていこうと思います。他者理解と自己理解、他者の性格、感情、人間関係の欲求、恋愛、説得、学習(ほめること、叱ること)、人間関係の発達、集団、異常、カウンセリングなど、様々な面から「他者理解と人間関係」を見ていきます。
上記の授業計画はあくまで計画であり、具体的なテーマは4月初めに履修者と相談して決めます。従って、具体的なトピックスは年毎に多少変わります。一年の終わりに、学生が他者理解と人間関係について自分なりの結論を出すことができれば、そして人間として成長できたと感じることができればベストだと思っています(これはあくまで私の願いなんですが…)。詳しくは前年度履修者に相談するか、電子メール(hamamura@nda.ac.jp)で私に直接問い合わせてください。

授業方法

講義中心で行ないますが、適宜、心理学実験や心理テスト実習も織り交ぜていきます。毎回、出席調査を兼ねて質問・意見を書いてもらいます(問題提起のための10分間小レポート)。出された問題提起については次回の授業の冒頭に取りあげます。質問・意見は上記の電子メールでも受け付けます。
知識よりも、体験や自分で考えることを重視したいと思います。初めからあまり出席する気のない学生は、得るところが少ないと思うので、遠慮してください。レポート、テストの負荷は重い方だと思います(心配な人は心理学D既修者の上級生に相談してみて下さい)。私としては「とにかく人間が好きな人」がたくさん来てくれることを望みます。人間関係が苦手で克服したいと思っている人も大歓迎します。逆に、手っ取り早く多くの心理学的知識を得たい学生(この授業の情報量はやや少な目です)、友情・恋愛・他者理解・説得などの人間関係に興味がない学生(きっと飽きてしまうでしょう)や、基本的に他者を理解することには関心がないという学生(レポートがとても辛いと思います)は、他の先生の心理学を取るのを勧めます。他の先生の心理学も面白い講義がたくさんあります。

成績評価の方法

第2学期(学年末試験)
第1学期はレポート(実験報告・考察)、第2学期はテスト(出題されたテーマについて論述、および用語説明。持ち込み不可)を予定しています…合計70%
授業時に行なう小レポート(または小テスト)…30% 問題提起をした小レポートを高く評価します。
(ただし、第1学期レポート未提出者は第2学期テストの採点対象としません)

教科書

教科書の代わりに、適宜プリントを配布しますが、その他の部分はしっかりノートを取って下さい。

参考文献

重野純キーワードコレクション心理学新曜社1994
個々の項目をもう少し詳しく知りたい人向けです。

その他

授業、その他についての質問は、授業期間中は金曜日の授業終了後5〜6時ごろまで(西1号館1F講師控室)、授業期間中のその他の曜日や休暇期間中は電子メール(hamamura@nda.ac.jp)で受け付けます。必ず返事を出します。自由にどうぞ。メールには必ず題名に「学習院学生○○」と本名を入れて下さい。携帯からの人は返信文字数制限を記入し、パソコンメールの受信拒否を設定している場合は一時的に解除のこと。ただし、匿名のメールおよび添付ファイルはウィルス対策のため読まずに削除しますので、注意して下さい。