○政治学演習
現代米国政治英文論説講読

担 当 者 単 位 配当年次 開講期間 曜 日 時 限
福元 健太郎 助教授 4 3~4 第2学期週2回
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授業の目的・内容

本演習では、最近に発表された10頁前後の英文論説を読むことを通じて、現代米国における政治問題についての理解を深めることを主目的とする。また政治に関する英文読解力を高めることをも狙っている。

授業計画

扱う政治問題としては、主に3つに焦点を当てる。1つはキリスト教と性の関係である。同性婚、幹細胞研究、古くは中絶の問題は、2004年大統領選挙における大きな争点の1つであったが、これらは今後も燻り続けると思われる。聖職者の幼児虐待も同根である。次に、社会経済的な不平等である。富裕層対貧困層、人種・民族の違いが、福祉、教育、治安、都市などの諸政策に大きな影を投げ落としている。最後に世界秩序構想である。やはり大きな焦点は中東と極東になる。これらの問題について、なるべく2つ(以上)の見方を紹介することで、受講生の思考力を刺激したい。いずれにしても、時事にとらわれず、今後十年は通用するような大きな流れを掴むことを目指す。
実際に扱う論説は、いくつかの雑誌、例えば、The Atlantic Monthly, Business Week, Commentary, Economist, Foreign Policy, The Nation, The New Republic, New Yorker, The New York Times Magazine, The Public Interest, The Weekly Standardなどから選ぶ予定である(Foreign Affairs とNewsweekは邦訳があるので取り上げない)。また下記教科書欄にある書籍などからも適宜抄録する。

授業方法

授業時間を3分割する。第1部では、英文読解それ自体に集中する。単語レヴェルに始まって、文、段落単位で、ゼミ生の質問を受ける形で、講読を進める。第2部では、論説全体の論旨を的確に理解することを目指す。第3部では、教材を踏まえて、ゼミ生が当該政治問題について自分の意見を述べ、議論する。ゼミ生は、各部で発言する予定のことを、事前メモ(A4)に記して提出する。いずれの部も、発言が出なくなったら、時間が余っても次の部に移行する。

成績評価の方法

単位取得要件は、欠席が3日以下であることである。出席は事前メモの提出および授業中の議論によって確認する。成績は、出欠状況(1日欠席で5点引く)、メモに基づく発言(5割)及び議論における発言(5割)の内容、によって評価する。試験は実施しない。

教科書

National Commission on Terrorist Attacks, 9/11 Commission Report: Final Report of the National Commission on Terrorist Attacks Upon the United States, W.W. Norton & Company, 2004
Samuel P. Huntington, Who Are We: The Challenges to America's National Identity, Simon & Schuster, 2004
Joseph S. Nye, Soft Power: The Means to Success in World Politics, PublicAffairs, 2004
Morris P. Fiorina, Culture War? The Myth of a Polarized America, Longman, 2005
Zbigniew Brzezinski, The Choice: Global Domination or Global Leadership, Basic Books, 2004
Royce Flippin (ed.), The Best American Political Writing 2004, Thunder's Mouth Press, 2004
これらはいずれもシラバス執筆時点(2005年1月)での予定であり、変更があり得る。教材は当方で用意する。

その他

履修にあたっては、別途配布される『政治学科の演習案内』を参照すること。
担当教員は2005年7月まで2年間、米国で長期研修中である。本演習はその成果を還元する一環として実施される。そのため第2学期のみの開講である。また2006年度は米国政治や英文を扱わない予定である。