日本政治思想史演習
伊藤仁斎『童子問』講読

担 当 者 単 位 配当年次 開講期間 曜 日 時 限
中田 喜万 助教授 4 3~4 通年 5

授業の目的・内容

近世前期の京都で独特の儒学を構築した伊藤仁斎(およびその長男、東涯)の思想を、その代表的著述の一つを精密に読解してたどることをめざす。あわせて仁斎・東涯の他の作品、また同時代の他者の思想との関連をも考慮する。その際、初歩的な漢文の知識(漢和辞典は手離せない)は勿論のこと、中国からもたらされた程朱学(または宋学、理学)の基本を理解しなければならない。その上で、解釈上の対立を生み出すことができれば、歓迎する。
参加者の関心に応じて、全く文脈を異にする古今東西の様々な思想ないし考え方との比較を厭わない。テキストから離れた参加者の自由な討論も、時間の許す限り、むしろ推奨する。
これによって、日本思想史、儒学史、政治思想史などへの認識を新たにすることが第一の目的であるが、その反射として、自分らが当然視してきた人間関係論を根底から洗いなおすことも、目的のもう一つである。

授業計画

趣旨説明・担当割り当て
全員で
所定の範囲を担当者が報告する。以下同様
毎週一回、少しずつ読み進める。読む分量が少ない分、より精密な読解が求められるので、負担は決して軽くない。進行予定と各回担当者については、初回に決定する。
すべて読み終わったあとで時間があれば、参加者の関心を考慮しつつ何らかの関連文献をとりあげる。

授業方法

1)最初の約30分間は、所定の範囲を全員の中から順番に指名された者が朗読する。その際、読解に関して予備知識を確認する。
2)次に、その回の担当者が口頭で約30分間、報告する(内容の要約と分析)。
3)報告をふまえて自由討論。場合によって時間が延長する。
  各回の担当者は、担当範囲について詳細に調べた上で、制限時間内で自由に報告する。事前に中田と報告内容について簡単に相談する機会をつくる。
  担当者以外も、各回の範囲を相当に予習することが期待される。

成績評価の方法

平常時および報告内容の評価による。毎回出欠席を確認する。

教科書

伊藤仁斎童子問』(清水茂・校注、岩波文庫岩波書店1970

参考文献

相良亨伊藤仁斎ぺりかん社1998
子安宣邦伊藤仁斎の世界ぺりかん社2004
渡辺浩近世日本社会と宋学東京大学出版会1985
黒住真近世日本社会と儒教ぺりかん社2003
三宅正彦京都町衆伊藤仁斎の思想形成思文閣出版1987
陳淳朱子学の基本用語』(佐藤仁・訳研文出版1996
その他、辞書、索引等、演習時に指示する。

その他

連絡は原則的に学習院の電子メイルを用いる。
他学部生の参加も認めるが、事前に問い合わせること(単位取得は不知)。
〔E-mail〕yoshikazu.nakada@gakushuin.ac.jp