国際政治経済II

担 当 者 単 位 配当年次 開講期間 曜 日 時 限
大久保 和正 講師 2 1~4 第2学期 2

授業の目的・内容

国際政治経済学は市場と国家の相互関係を分析することを中心テーマとしています。市場は経済的な法則にしたがって動き、国家は市場の動きを見ながら政治的な意思決定を行います。しかし時として、国家は市場の経済原則を誤解して意思決定を行い、自ら国民を貧しくしてしまうことがあります。また、市場も国家による基本的な制度があってはじめて成立するものなので、開かれた市場がいつでも保証されているものではありません。
本講義は、市場と国家のせめぎ合いとして近年特に注目されている「グローバリゼーション」、とくに「金融のグローバル化」に焦点を当て、それに関連して世界で起こっているさまざまな問題を取り扱います。そして、具体的な事例を通じて政治経済思想をより深く理解することを目的とします。

授業計画

オリエンテーション
共産主義経済と資本主義経済、古典派経済学とケインズ経済学
マクロ経済学の基礎(国民所得、金融制度)と貿易収支
比較優位の原則
為替レート、金利、裁定と投機
金融の不安定性、バブルのメカニズム
金本位制
世界大恐慌の進展
世界大恐慌の原因とその後の政策(ニューディール政策は成功したか)
10 日本の昭和金融恐慌とその後の政策
11 ブレトン・ウッズ体制の成立と崩壊
12 固定相場制と変動相場制、自由貿易体制と国家の安全保障
13 政治経済思想(重商主義、自由主義)
14 政治経済思想(共産主義、サッチャー・レーガン革命と新保守主義)
15 オフショア市場の発展と金融自由化の影響(日本・北欧諸国の資産バブル)
16 ラテンアメリカ諸国の国際金融危機
17 輸入代替政策と輸出促進政策(ラテンアメリカ、インド、東南アジア)
18 アジア通貨危機
19 香港のカレンシー・ボード制とヘッジファンド
20 東欧、ロシアの移行経済
21 IMFとワシントン・コンセンサス
22 国際通貨体制のあり方と欧州通貨統合
23 中国の経済発展
24 現代日本の政治経済体制(1940年体制、平成不況)
25 グローバリゼーションの光と影、政治と経済、国家とは何か
第1学期(国際政治経済)は上記の12までを予定しています。今後の分析に必要な経済学を説明したあと、先進国における国際金融システムの歴史を紹介する予定です。第2学期(国際政治経済)は13以降で、具体的な問題に入っていきます。国際政治経済思想を一通り紹介したあと、金融のグローバル化に関連して発展途上国に発生した諸問題を扱いながら、「グローバリゼーション」の問題の本質を明らかにしていきたいと思います。
国際政治経済は相互に関連していますので、極力通年で履修するようにしてください。

授業方法

講義形式。毎回レジュメを配布します。質問や意見表明は積極的に行ってください。

成績評価の方法

第2学期(学年末試験)
学年末テスト50%、課題図書についての書評30%、出席・授業への貢献20%、とします。具体的な課題図書は講義の際に紹介します。学期中に新書版2冊程度の分量を読むことをめどとします。

教科書

教科書はありません。毎回レジュメを配布します。なお、レジュメの作成にあたって参考としているのは主として以下の文献です。
David N. Balaam, Michael Veseth “Introduction to International Political Economy (3rd Edition)” Prentice Hall 2004
Paul R. Krugman, Maurice Obstfeld “International Economics: Theory and Policy (6th Edition)” Addison Wesley 2002
竹森俊平『世界経済の謎―経済学のおもしろさを学ぶ』東洋経済新報社1999
侘美光彦『世界大恐慌 1929年恐慌の過程と原因』御茶の水書房1994

参考文献

課題図書とともに、授業の中で適宜紹介します。

その他

講義のテーマは各回ばらばらのように見えますが、実はそうではなく、全体が一貫したストーリーになっていますので、すべて出席できる学生が受講してください。
また、国際政治経済は準備、は本論と相互に関連していますので極力通年で履修してください。どうしてもだけを履修したい学生は、で配布したレジュメ(当方で用意します)と上記にあげた竹森俊平『世界経済の謎―経済学のおもしろさを学ぶ』東洋経済新報社1999を事前に読んできてください。