美学講義
  --現代芸術論--

担 当 者 単 位 配当年次 開講期間 曜 日 時 限
松井 勝正 講師 4 2~4 通年 3

現代芸術(特に美術)を3つのテーマに従ってまずは概観する。第1は自然との関わり(自然との乖離、自然との親近性、自然の再生)、第2は芸術家のあり方(自己の記録、自己超越、自己の抹消、自己犠牲、自己の神聖化)、第3は複数のアイデンティティをもつ自我の問題(アフリカ系アメリカ男性、日系アメリカ女性、etc.)。その上で、更に、製作過程、メディア、製作目的といった様々な観点から、多様な現代芸術の動向を読み解いていく。近年に注目されるようになった社会活動としてのアート・プロジェクト(越後妻有、灰塚、田川、福岡、秋葉原、横浜etc.)についても論じる。また開催中の展覧会や催事・公演についても随時検討を加える。

授業概要の紹介
自然との乖離:ローリー・シモンズ
自然との親近性:ヴォルフガング・ライブ
自然を元に戻す:メル・チン
自己の記録:河原温
自己の超越:マリーナ・アブラモヴィッチ
自己の抹消:ソフィ・カル
自己犠牲:ギルバート&ジョージ
自己の神聖化:オーラン
10 アフリカ系アメリカ男性:ディヴィド・ヘモンズ
11 日系アメリカ女性:トミエ・アライ
12 ラテンアメリカ系ホモセクシュアル男性:フェリクス・ゴンザレス=トレス
13 白人異性愛男性:ディヴィド・サーレ
14 メキシコ系アメリカ女性:アマリア・メサ=ベインズ
15 越後妻有アート・トリエンナーレ
16 横浜トリエンナーレ
17 灰塚アート・プロジェクト:岡崎乾二郎
18 柿の木プロジェクト:宮島達男
19 田川コールマイン・プロジェクト:川俣正
20 目黒川プロジェクト:日比野克彦
21 アート・ママ・プロジェクト:折元立身
22 現代建築の諸問題1
23 現代建築の諸問題2
24 現代建築の諸問題3
25 現代建築の諸問題4
26 展覧会の現在1
27 展覧会の現在2
28 展覧会の現在3
現代芸術論は進行中の現象を対象とするので、随時、様々なジャンルの展覧会や催事・公演の紹介を行う。従って授業計画が厳密に守られるわけではない。おおよそのテーマの提示として考えてもらいたい。

スライドやビデオで現代芸術の様々な作品を見ながら、それにコメントを加える。参加者の学生も毎回コメントを加えたり、作品についてのレポートを提出する。

第1学期(学期末試験)、第2学期(学年末試験)
第1学期・第2学期の試験、随時提出のレポート、出席率(最低で80%以上)の総合で決定

現代芸術論に参加する学生は、幅広く芸術に関心を持ち、種々の展覧会や公演などに自ら出掛けるだけの熱意を持ってもらいたい。フィールドワークがなければ、観念的な理解にとどまってしまう。また具体的な作品やものにこだわる姿勢が重要なので、ボロ市、フリマ、骨董市、リサイクル・ショップなどで、ものを収集する感性と鑑識眼を養う必要がある。そうした熱意のある人に参加してもらいたい。出席を厳密にチェックするので、単位だけを目指す人は来ないで欲しい。またレポートを頻繁に課するので覚悟が必要。