東洋史特殊講義
中国近代宗教運動の諸相

担 当 者 単 位 配当年次 開講期間 曜 日 時 限
武内 房司 教授 4 2〜4 通年 1

授業の目的・内容

19世紀後半から20世紀前半期にかけて、中国においては儒・仏・道の流れを汲む多くの新興諸宗教が成立した。その影響力は今日の台湾や東南アジア華人社会にも及んでいる。この講義ではまず前半に、これらの諸宗教の胚胎期ともいえる18−19世紀を中心とした宗教運動の歴史を、各種宗教団体を創始した宗教者たちの活動の軌跡を辿りながら概観する。そのうえで、近代中国においてこれらの民間諸宗教が果たした役割について検討を加えていくことにしたい。また、講義のなかではできるだけ他の東アジア社会との比較に留意し、近代ヴェトナムの宗教運動についても言及していく予定である。

授業計画

宗教運動をどう捉えるか:先行研究の批判的検討
史料の諸相:宝巻と档案
明末諸宗教:無生老母信仰の系譜
清朝の宗教統制
カトリック宣教師の清代宗教観・宗教結社観
青蓮教諸派:近代宗教団体の源流
宗教と開発社会(1):西南非漢族社会と宗教運動
宗教と開発社会(2):ヴェトナム宝山奇香派の展開
慈善への傾斜
10 国境を越える宗教家たち:世界紅卍字会の軌跡
11 植民地体制下の民衆宗教(1):台湾鸞堂の展開
12 植民地体制下の民衆宗教(2):ヴェトナム・カオダイ教の成立
以上のトピックに沿って進める予定であるが、あくまで暫定的なものであり、変更もありうる。

成績評価の方法

第2学期(学年末試験)
学年末の試験による。

教科書

ウイン・チット・チャン近代中国における宗教の足跡金華社