西洋史演習
西洋近現代史研究

担 当 者 単 位 配当年次 開講期間 曜 日 時 限
福井 憲彦 教授 4 2〜4 通年 4

授業の目的・内容

基本的には、西洋近現代史を対象として、次の諸点を参加する学生諸君に身につけてもらうよう、演習を進めたい。
第一には、参加者自身の関心のある研究対象について、それぞれが、先行研究にはどのような蓄積があり、またそのテーマにかかわる史料群がどのようなものであるか、それらを調べるにはどうしたらよいのか、そして自分でテーマを研究していくには、どのような視点から問題の構成を考えればよいのか、こうした研究上の基本について、実行を通して身につけてもらう、という点である。
第二には、近現代史にかかわる歴史のテクストを、いかに正確に読むか。行間に込められている意味をどこまで解釈できるか、こうしたテクストの批判的読解の力を養うことである。
第三には、人に対して自分の意見や報告内容をどのように的確に伝えるか、そのプレゼンテーション能力に磨きをかけてもらう、ということである。
以上のような目的であるから、西洋近現代史の諸問題を研究したいと考えている学生以外でも、比較考察のために履修したい、あるいは歴史の方法論について考えたいから履修したい、というような皆さんも履修してくださって結構。

授業計画

1  本年度のゼミに関する全体的な説明を私からした後、参加者の自己紹介
2  図書館において、インターネットを使用した文献検索の実際に関するガイダンス
3  参考図書や目録類、辞典類に関するガイダンス、ティーチング・アシスタントから学部時代の勉強の進め方に関するガイダンス、時間があれば、3年生以上の履修学生による個別報告を開始
4  3年生以上の履修学生による個別報告
5  3年生以上の履修学生による個別報告
6  2年生の履修学生による個別報告
7  2年生の履修学生による個別報告
8  ポーターのテクストの輪読(個別報告の回数は履修学生の数によって変動します。史学科1年生の研修旅行に私が参加できる場合には1回休講が入ります)
9  ポーターのテクストの輪読
10  ポーターのテクストの輪読
11  同上、および第1学期の総括
12  夏合宿の総括
13〜 第2学期は、基本的にポーターのテクスト輪読を通じて専門論文を読む訓練をする
   ポーターのテクストに関する総括討論を、できれば行う予定
   12月の2または3回は履修学生全員との個別面談にあてる予定。時間が足りなければ、昨年度同様、補講期間に一日使用して補う予定。
   1月の最終回は、「卒業論文の書き方」について講義する

履修学生数に応じて、進行状況には変動がある。履修学生は全員、各自の研究関心や勉強の進行状況について、年間最低3回の報告を義務づけられる。すなわち、年度初めの報告、夏合宿での報告、学年末リポートの合計3回。これらをクリアしないものは成績評価の対象としない。夏の合宿は、海外研修などの特別の場合を除いて、参加を原則とする。時間的な余裕との関係があり、毎年実現が難しいのではあるが、ヴィデオを皆で見て討論をするような回を、できれば設定したいと考えている。ゼミ幹事を中心に、履修している学生の勉強に関する希望はできるだけ尊重する。

授業方法

演習における各自の研究報告は、必ず報告ペーパーを用意して口頭でのプレゼンテーションをおこなう。パソコンやOHPなどを利用したい人は、それでも結構。ただしその場合でも、ハンドアウト・ペーパーは必要である。的確なペーパーを作成することも、訓練の一つである。文献輪読は、たいへん広範な対象を捉えたテクストでもあるので、人物・出来事・場所等についての事前の調査をしてもらう。あらかじめ担当者を決めずにランダム爆弾方式で行なう回と、担当者を決めて多くのページを一気に進める回とを併用したいと考えている。後者の方式をとる場合には、レジュメのペーパーを用意してもらう。実際には、参加者数や理解力を見て判断するので、過度に緊張する必要はない。しかし手抜きをすればすぐに分かるし、なにより履修者自身が後れるので要注意。

成績評価の方法

毎回の出席は当然のことである。やむを得ず欠席する場合には、事前に私のe-mailアドレスを教えておくので、欠席とその理由を報告することを義務付ける。学期末の試験はしない。報告とリポート、通常の輪読における能力、努力の姿勢、ゼミの運営に対する貢献度など、総合的に判断する。

教科書

Andrew Porter, European Imperialism, 1860-1914, (Studies in European History) MACMILLAN, 1994
このテクストは昨年度からの継続で読んでいくので、継続履修者はテクストを持参すること。2年生など新規の履修者には、こちらで用意する。昨年度すでに読んだところは、はじめに私のほうで説明し、今年度はその続き、第3章から読み始めることとする。

その他

昨年度は1学期のみで時間が取れなかったが、今年度も時間が許せば院生とも共通で、やさしいフランス語の歴史関係テクストを読むサブゼミを行なおうと考えている。フランス語を履修した(あるいは履修しつつある)学生は、遠慮せず参加してほしい。もちろん、これはゼミの履修や成績とは関係ない。また、勉学のことで相談したい学生も遠慮は無用であるので、いつでもe-mailでアポイントをとってほしい。