法理学

担 当 者 単 位 配当年次 開講期間 曜 日 時 限
森村 進 講師 2 2~3 第2学期 5

授業の目的・内容

法理学(法哲学も同義語)とは、法と法学の諸問題を根本的なレベルに遡って考察する学問である。その領域は他の法学諸分野や倫理学、政治哲学と重なりあいながら、(1)法的概念の分析、(2)法学方法論(法的議論)、(3)法価値論(正義論)にほぼ三分できるが、この講義ではそれらをすべてカバーすることはできないので、(3)を中心に取り上げ、それ以外の分野については最初の方で簡単に触れるにとどめる。講義にあたっては、実定法学との関連も重視したい。

授業計画

法理学とはどんな学問か(その歴史、他の学問との関係、主要文献案内)
法理学とはどんな学問か(前回の続き)
法と道徳(この二つの言葉の多義性。両者の相違と相互関係。「法の外面性」と「道徳の内面性」)[「権利と人格」第1章]
法と道徳(前回の続き)
権利を基礎に置く道徳(功利主義などの帰結主義と義務論との比較。人権理論のさまざま)[「権利と人格」第2章]
権利とは何か、また何のためにあるのか?(「選択説」対「利益説」)[「権利と人格」第3章]
権利の道徳だけで十分か?(「共通善」の政治。未来の世代)[「権利と人格」第4章]
人格の概念再考(人格の同一性と別個性。共同体主義対個人主義。社会的人格観)[「権利と人格」第5章]
人格の概念再考(前回の続き)
10 自己所有権と財産権(財産権と「人格的」権利。労働所有権。有体財産と無体財産)[「自由はどこまで可能か」第2章]
11 自己所有権と財産権(前回の続き)
12 権利の救済方法(刑罰否定論。私的な権利執行)[「自由はどこまで可能か」第3章]
13 「社会」とは何か? 「国家」「政府」とは何か?[「自由はどこまで可能か」第4章]
14 家族関係を法律で規制する必要はあるのか?[「自由はどこまで可能か」第5章]
15 リバタリアニズムへの批判や疑問[「自由はどこまで可能か」残りの部分]
以上はおおよその予定であり、現実に授業をする際には多少の相違がありうる。

授業方法

各回の授業は、まず私が講義を行い、(最初の二回を除き)それから前もって指導しておいたテーマについて討論を行うという形で進めたい。そのため受講希望者は開講に先立って、指定した教科書に目を通して、できるだけそれに対する意見や疑問をまとめておいてほしい。講義の際には、受講者はわからない部分・疑問を感じた部分ではなるべく遠慮せずに質問してもらいたい。それは教師にとって自分の授業方法を反省させるという点でも、また仲間の受講者の理解を助けるという点でも、大変有用だからである。

成績評価の方法

第2学期(学年末試験)
試験と平常点を半々に考慮したい。
平常点は、単なる出欠ではなく、授業への積極的な参加と貢献を重視する。

教科書

森村進権利と人格創文社
森村進自由はどこまで可能か』(講談社現代新書講談社

参考文献

森村進財産権の理論』(法哲学叢書弘文堂
バーネット自由の構造木鐸社
碧海純一法哲学概論』(法律学講座双書弘文堂