地域研究(南アジアI)
現代南アジアの政治を学ぶ

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
竹中 千春 講師 2 1~4 第1学期 2

授業の目的・内容

グローバリゼーションの激動の中で、南アジアはいかなる変化を遂げているか。インドを中心に考えていく。20世紀末には核保有・カシミール紛争、そして核戦争と、むしろこの地域の危機のほうが憂慮された。しかし、アフガニスタンにおける対テロ戦争を境に、インドは、米国と協力して国際政治を安定化させるアクターと見なされるようになった。急速な高度成長を続け、今や中国と並ぶほどの経済力の評価を得つつある。しかも、この国の民主主義の歴史は長い。「南アジア」では、1990年代から2000年代の南アジアの動向を検討し、その後19世紀に遡り、近現代の歴史と政治を振り返っていきたい。

授業計画

4月13日:はじめに 現代南アジアの政治
4月20日:冷戦後――グローバル市場経済の選択
4月27日:冷戦後――民主主義の流動化
5月11日:ヒンドゥー・ナショナリズムの台頭
5月18日:1998年インド人民党(BJP)政権の成立と核保有
5月25日:カシミール紛争と核戦争の危機
6月1日:9/11以後の対米協調
6月8日:グローバリゼーションの中の高度成長
6月15日:2004年インド国民会議派政権の樹立
10 6月22日:イギリスの植民地侵略
11 6月29日:盗賊とサティー(寡婦殉死)
12 7月6日:西欧帝国主義とオリエンタリズム
*授業内容は、開講後、講師の本務校の業務などにより、若干の変更がありえます。
*講義と、自由報告・議論・ビデオ、可能なら予定を変更して、外部講師を招いた英語の授業などを組み合わせます。なるべく参加型の授業を行います。(受講者数に合わせて調整します。)

授業方法

一方通行の講義ではなく、討論や希望者の報告も交えて展開するよう努力します。参考文献を使いますが、読むだけでなく、自発的に資料を調べるなど、積極的な学習態度を期待します。自分で学び、自分の頭で考えるというごく基礎的な作業を、楽しく一緒にやっていく、そういう授業にしたいと思います。

成績評価の方法

第1学期 (学期末試験) :試験を実施する
学期末試験を行います。また、可能ならば、受講者数に応じて、授業中の議論での貢献度、出欠の取り扱いなどを判断します。ただし、具体的な方法、それぞれの評価の比重と合算方法については、開講後に明示します。

教科書

竹中千春世界はなぜ仲良くできないの?暴力の連鎖を解くために阪急コミュニケーションズ2004
講師の問題関心や国際政治についての議論を知ってもらうために、是非読んでください。対テロ戦争時代の暴力の連鎖が主眼の本ですが、国際政治と中東や南アジアの地域の政治をリンクさせて議論しています。「南アジア」でも使います。

参考文献

現代南アジア(第1巻・第3巻)東京大学出版会2002
スティーヴン・P・コーエンアメリカはなぜインドに注目するのか明石書店2003
小島卓やがてインドの時代が始まる――「最後の超大国」の実力』(朝日選書朝日新聞社2002
R・グハ他サバルタンの歴史――インド史の脱構築岩波書店1998
スミット・サルカール新しいインド近代史――下からの歴史の試み研文出版1993
M・K・ガーンディー真の独立への道――ヒンド・スワラージ岩波書店2001
竹中千春「カシミール――辺境から国境へ」『アジア研究』第47巻第3号(2001年);
竹中千春「ジェンダー化する政治――近代インドの国家・法・女性」『日本政治学会年報 「性」と政治』(2003年12月)など、講師の論文も可能な限り、参考文献として使います。

その他

授業の終わった後、質問や相談を受け付けます。開講時に本務校のアドレス、オフィス・アワー、E-mailアドレスを明示しますので、積極的にコミュニケーションを図ってください。