国際経済論

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
椋 寛 助教授 4 2~4 通年 4

授業の目的・内容

国際経済取引は「実物的取引」と「金融取引」とに大別されるが、本講義では財・サービスの貿易に代表される実物的取引に焦点を当てる国際貿易論を取り扱う。基礎理論の理解とその応用を通じて、現実の国際経済に関わる緒問題を分析する能力を育成することを目的とする。前半は貿易が発生するメカニズムや貿易の利益、海外直接投資について講義する。後半は関税や数量制限、アンチダンピング、セーフガード等の貿易政策の効果やWTOやFTA等の貿易協定とそれに関わる諸制度を取り扱う。国家間の金融取引を取り扱う「国際金融論」は本講義と補完的な関係にあり、履修を強く薦める。

授業計画

ガイダンス
国際貿易理論の基礎(1):貿易利益
国際貿易理論の基礎(2):貿易パターンの決定
交易条件の変化と窮乏化成長
リカード・モデル(1):絶対優位と比較優位
リカード・モデル(2):多数財モデル
ヘクシャー=オリーン・モデル(1):要素賦存とリプチンスキー定理
ヘクシャー=オリーン・モデル(2):貿易パターンの決定とヘクシャー・オリーン定理
ヘクシャー=オリーン・モデル(3):要素価格均等化定理とストルパー・サムエルソン定理
10 規模の経済と産業内貿易(1):マーシャルの外部性と貿易パターンの「不」決定
11 規模の経済と産業内貿易(2):製品差別化と国際寡占競争
12 資本移動と海外直接投資
13 完全競争下の小国の輸入政策(1):輸入税と輸入補助金
14 完全競争下の小国の輸入政策(2):輸入数量制限
15 完全競争下の小国の輸出政策とラーナーの対称性定理
16 大国の貿易政策と最適関税
17 幼稚産業保護政策
18 不完全競争下の貿易政策(1):独占と貿易政策
19 不完全競争下の貿易政策(2):戦略的貿易政策
20 GATT・WTOの歴史と制度
21 アンチダンピングとセーフガード
22 特恵的貿易協定(1):貿易創出効果と貿易転換効果
23 特恵的貿易協定(2):原産地規則と動学的時間経路分析
24 まとめ

授業方法

毎回自作のレジュメを配布し、プレゼンテーションソフトを用いたスライドのプロジェクター投影により講義を進める。

成績評価の方法

第1学期 (学期末試験) :試験を実施する
第2学期 (学年末試験) :試験を実施する
各学期末の試験(第1学期50%・第2学期50%)により評価する。講義中の発言によりボーナス点を与える場合がある。

参考文献

浦田秀次郎国際経済学入門』(日経文庫経済学入門シリーズ日本経済新聞社1997
竹森俊平国際経済学』(プログレッシブ経済学シリーズ東洋経済新報社1995
若杉隆平国際経済学第2版、岩波書店2001
伊藤元重ゼミナール国際経済入門第2版、日本経済新聞社1996
澤田康幸基礎コース 国際経済学新世社2003
講義を包括的にカバーする参考書は無いが、予習・復習のために少なくとも一つは手に入れておくことを勧める。

その他

ミクロ経済学とゲーム理論の基礎知識を前提とする為、学部の講義や自習を通じて事前に習得しておくことが望ましい。特に、他学部生はミクロ経済学・ゲーム理論のうち「消費者余剰」「生産者余剰」「無差別曲線」「生産可能性フロンティア」「独占」「ナッシュ均衡」というキーワードについて予習しておくと良い。