経済学史

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
水田 健 講師 4 2~4 通年 1

授業の目的・内容

この講義では、現代までの経済学の発展を学んでもらうことで、経済学のさまざまな考え方を身につけてもらう。とくに産業革命前の重商主義の経済学、18-19世紀の古典派の経済学、および新古典派経済学の発展と両大戦間のケインズ革命に焦点をあてていく。近代の経済理論を歴史的視点から探求することで、われわれはより深い経済的考え方と広範な経済知識をえることができる。

授業計画

【0】経済学の歴史概観:重商主義から現代までの経済学を概観
<経済学の古典的世界>
 【1】重商主義と開発主義あるいは貨幣【1-1】重商主義の思想と理論:トマス・マンからステュアートまで
【1-2】重商主義と開発主義あるいは後発国:重商主義と開発主義、市場の失敗か政府の失敗か
【1-3】重商主義とその後の貨幣経済学:重商主義と貨幣数量説・ケインズの貨幣経済学、貨幣数量説と銀行学派
【2】自由競争と自由貿易の経済学 【2-1】スミス道徳哲学と「見えざる手」の理論:自由放任思想は無政府資本主義か?
【2-2】スミス「自然的自由の制度」と重商主義批判-自由競争の経済学-:分業と資本蓄積による経済成長、自然的投資順序による産業構造の変化
【2-3】経済的自由主義と所有・市場・政府:古典派経済学、新古典派経済学、ケインズ、マルクス、べヴァリッジ、ハイエク
【2-4】リカードウの資本蓄積と経済成長-発展的社会像-:資本蓄積と人口増加、農業の収穫逓減、賃金と利潤の相反関係
【2-5】比較生産費説とリストの保護主義-自由貿易の経済学-:比較生産費説と自由貿易、リスト発展段階論と保護主義
10 【3】搾取と資本主義批判-マルクスは死んだか- 【3-1】マルクスの資本主義観:マルクス商品・貨幣論、ポランニーの擬制商品論
11 【3-2】マルクスの資本主義批判と反批判:剰余価値論による資本主義批判、ベームによる搾取利子説批判、資本主義と階級格差
12 【4】歴史と制度の経済学―経済学における歴史と制度再考―:ドイツ歴史学派、制度学派、新制度学派と取引費用理論、制度は外生的か?
13 <経済学の現代的世界>
 【5】効用と稀少性の経済学-新しい経済学の誕生-【5-1】限界革命とはなにか:限界効用理論と限界分析、一般均衡理論
14 【5-2】価値・価格分析の歴史と限界効用理論:価値・価格分析の歴史、水とダイヤモンドの逆説と限界分析による効用理論の洗練化
15 【5-3】ジェヴォンズ限界効用理論と交換の理論:ジェヴォンズの限界効用理論、交換の理論と効用の極大化
16 【5-4】メンガーにおける経済と経済財-欲望と支配可能量-:メンガーによる経済の定義と経済財、メンガー交換の理論
17 【5-5】ワルラス一般均衡理論―経済学における相互依存性の発見―:社会的富の分類、生産の理論における一般均衡理論の展開
18 【5-6】限界効用分析から無差別曲線分析へ―ミクロ経済学の洗練化―:基数的効用から序数的効用へ、無差別曲線分析の発展
19 【6】ケインズと古典派体系【6-1】大不況下のケインズとシュムペーター 有効需要理論か景気循環論か
20 【6-2】古典派体系と完全雇用理論:労働市場での完全雇用、セー法則、貨幣数量説と古典派的二分法
21 【6-3】貨幣経済論とケインズ有効需要理論―マクロ経済学の誕生―:ヴィクセル貨幣経済論とケインズ、有効需要理論と不完全雇用均衡
22 【6-4】ケインズ経済学の受容とその批判:ケインズ経済学の受容と新古典派総合、マネタリズムと合理的期待形成仮説
23 【7】古典派経済学の復興とポスト・ケインジアンそしてマルクス:スラッファ、ポスト・ケインジアン、レギュラシオン理論、アナリティカル・マルクシズ
24 【8】経済学の現代的世界とその可能性:あらためて20世紀の経済学を概観
基本的には上記計画どおり行なうが、若干の短縮あるいは延長はありうる。

成績評価の方法

夏休み明けにレポートを提出してもらい、さらに学年末に試験を行なう。レポート評価は30点、学年末試験は70点。

参考文献

根岸隆 著改訂版 経済学史入門』(放送大学教材放送大学教育振興会2001
太田一廣、鈴木信雄、高哲男、八木紀一郎 編経済思想史―社会認識の諸類型―名古屋大学出版会1995
馬渡尚憲 著経済学史有斐閣1997
三土修平 著経済学史新世社1993
中村達也、八木紀一郎、新村聡、井上義朗経済学の歴史-市場経済を読み解く-』(有斐閣アルマ有斐閣2001

その他

事前にミクロ経済学とマクロ経済学の基礎、および一般経済史を学んでいることが望ましい。