憲法訴訟2
憲法訴訟の実体論と機能論

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
野坂 泰司 教授 2 2 第2学期 2

授業の目的・内容

憲法訴訟1で扱った実体論につづく考察を行った上で、憲法訴訟の機能について目を向けることが本授業の目的である。
手続論については、憲法訴訟の性格上特に注目すべき事項のみに焦点をあてて考察し、それからさらに発展させて考えるべき問題については、公法演習において扱うこととしている。そこで、この授業では、実体論と機能論に時間を割いて、憲法訴訟とそれに対する裁判を通して展開される憲法価値の具体的実現過程を考察し、憲法秩序の形成の様相を観察するとともに、そこに存在する課題の把握と分析に努める。

授業計画

本授業の趣旨・目的、および、授業進行上の方針・方法について説明
3.憲法訴訟の実体論比較衡量法[議員定数不均衡訴訟判決、一連の公務員労働基本権制限事件等]
3.(つづき)[大分県屋外広告物条例事件判決、泉佐野市民会館使用不許可事件判決、博多駅事件決定等]
3.(つづき)憲法訴訟の実体論公共の福祉論[チャタレー事件判決、全逓東京中郵事件判決等]
3.(つづき)〔薬事法判決、森林法共有林分割制限規定違憲判決等〕
4.憲法裁判の方法:審査基準――厳格な基準、中間の基準、緩やかな基準
4.(つづき)合憲・違憲の裁判――多様な方法、憲法判例、憲法判断、傍論等
4.(つづき)違憲の裁判の方法――通常の方法、特殊な方法、新たな方法の可能性
4.(つづき)憲法判例の変更[尊属殺重罰規定違憲判決、一連の公務員労働基本権制限事件判決等]
10 5.憲法裁判の機能:憲法裁判の効果――効力、拘束力、インパクト
11 5.(つづき)司法の積極主義・消極主義――司法審査のあり方論、司法哲学論、最高裁判所の動向
12 5.(つづき)司法の政策形成機能――不介入政策、政策的介入、政策的配慮等
13 5.(つづき)最高裁判所の役割――「終審裁判所」、組織機構、最高裁裁判官、民主的統制
14 憲法訴訟の軌跡と課題
15 まとめ:全体に関する質問と応答
憲法訴訟にかかわる問題のうち、重要なもの、いろいろな角度から検討する必要のあるものを選んで、教室で考察することにしている。網羅的・体系的な把握は、本授業の履修とともに、行政法、公法演習、さらには他の民事法、刑事法等の諸領域についての履修と合わせて学生各自が行うことを期待するものである。

授業方法

教科書とは別にあらかじめ用意した教材について予習がなされていることを前提に、対話方式で行う。

成績評価の方法

第2学期 (学年末試験) :試験を実施する
教室での質疑・応答の様子と、学期末に行う試験の結果を合わせて評価する。

教科書

戸松秀典憲法訴訟有斐閣
高橋和之・長谷部恭男・石川健治 編憲法判例百選第5版、有斐閣
戸松秀典・初宿正典編憲法判例4版補訂
これらは、自学、自習、予習のためのものであり、教室では別に配布する教材資料によって授業をする。教室で扱いきれなかったところについて、教科書の特定箇所を読むように示すことにする。

参考文献

授業でその都度、必要に応じて示すこととする。