民法入門2

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
山下 純司 准教授 3 1 第1学期
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授業の目的・内容

本講義は、法学未修者を対象に、民法総則と物権法について、受講者と質疑応答を繰り返す形で知識と理解を徹底させることを目的とする。受講者は、あらかじめ民法入門編の講義を履修し、民法(財産法)の骨格を理解していることが要求される。本講義ではそのことを前提としたうえで、自然人、法律行為、代理、法人、時効、物権的請求権、不動産の物権変動、占有権、動産の物権変動、所有権、民法の基本原則に関する各論点を取り扱う。

授業計画

自然人:権利能力 意思能力 成年後見制度 失踪宣告
法律行為:法律行為の意義、意思表示の構造 法律行為の解釈 公序良俗理論、強行規定概念
意思表示・その1:心裡留保 虚偽表示 94条2項の類推適用
意思表示・その2:錯誤――表示錯誤と動機錯誤とを区別すべきか 詐欺――取消前後の第三者の扱いを中心に
意思表示・その3:電子消費者特例法、消費者契約法 無効と取消という観点から第5回までを復習
代理・その1:代理の意義 代理権の制限 無権代理――制度の概要
代理・その2:無権代理と相続 代理権授与表示による表見代理
代理・その3:権限踰越による表見代理 表見代理規定の重畳適用 代理権の濫用
法人・その1:法人の意義と基本的な制度枠組み 法人の権利能力と不法行為能力
10 法人・その2:権利能力なき社団
11 時効・その1:時効制度の意義 時効の援用と援用権の喪失 時効の中断
12 時効・その2:消滅時効 取得時効
13 物権的請求権、物権変動総説:動産と不動産 物権的請求権――費用負担の問題 意思主義、物権行為の独自性
14 不動産の物権変動・その1:公示の原則と公信の原則、二重譲渡の法的構成(第3回の復習を兼ねて)登記を要する物権変動・総説――制限説と無制限説 法律行為の取消と登記(第4回の復習を兼ねて)
15 不動産の物権変動・その2:取得時効と登記 解除と登記 相続と登記
16 不動産の物権変動・その3:登記がなければ物権変動を対抗できない第三者 登記の推定力、登記請求権
17 占有権:占有の意義 自主占有と他主占有 占有の承継 占有訴権――交互侵奪、本権の訴えとの関係
18 動産の物権変動:対抗要件 即時取得制度の意義、盗品・遺失物の特則 占有改定と即時取得
19 所有権:添付 金銭の所有権 共同所有、建物区分所有
20 民法の基本原則:私権行使の原則――信義則と権利濫用の禁止 私権の実現方法
毎回取り扱う内容はかなりのボリュームになり、しかもいずれも重要論点に関わるので、受講者は周到な予習が必須となる。

授業方法

質疑応答方式の授業を行う。重要論点については別にレジュメも配布しつつ、多角的な検討を行う予定である。

成績評価の方法

第1学期 (学期末試験) :試験を実施する
教室での質疑応答の様子、さらに学期末に行う試験の結果を合わせて評価する。

教科書

内田貴民法(第3版)東京大学出版会
遠藤浩・川井健編民法基本判例集第1版、勁草書房2004)
星野英一他編民法判例百選 総則・物権』(別冊ジュリスト5新法対応補正版、有斐閣2005
教材については、今後の出版状況によっては変更もありうる。

参考文献

参考文献については、授業の中で、必要に応じて指示する。

その他

取り上げる項目については、必要に応じて、年度ごとに見直しを図る予定である。