民法判例研究1
判例の読み方・分析の仕方を学ぶ

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
岡 孝 教授 2 2 第1学期 5

授業の目的・内容

主として財産法の重要判例を素材として、最重要目標として判例の読み方を訓練する。その上で、当該判例の射程範囲、残された問題点を検討できる力を養う。さらに、学生諸君には、(当該判例の批評などの形での)学説の批判も視野に入れた上で、争点に対する一応の解決策をまとめる努力もしてもらいたい。

授業計画

開講の辞/授業の進め方について/判例評釈・参考文献について
判例の読み方1(事実関係の把握)/公序良俗:最判昭和61年11月20日民集40巻7号1167頁
判例の読み方2(法律関係の把握)/177条の「第三者」:最判昭和49年3月19日民集28巻2号325頁
判例の読み方3(準則の抽出)/被害者の素因:最判平成8年10月29日民集50巻9号2474頁
判例の読み方4(射程の限定)/生命・身体の侵害に対する損害賠償:最判昭和62年1月19日民集41巻1号1頁;最判平成9年1月28日民集51巻1号78頁
判例の分析1(評釈を読む)/盗品の即時取得:最判平成12年6月27日民集54巻5号1737頁
テーマ演習/請負契約と所有権:最判昭和54年1月25日民集33巻1号26頁;最判平成5年10月19日民集47巻8号5061頁
テーマ演習/転用物訴権:最判平成7年9月19日民集49巻8号2905頁;最判昭和45年7月16日民集24巻7号909頁
10 判例の分析2(学説との関係)/不特定物と瑕疵担保:最判昭和36年12月15日民集15巻11号2852頁;大判大正14年3月13日民集4巻217頁
11 判例変更の意義1/利息の規制:最判昭和39年11月18日民集18巻9号1868頁;最判昭和43年11月13日民集22巻12号2526頁;最判平成18年1月13日民集60巻1号1頁
12 判例変更の意義2/差押えと相殺:最判昭和39年12月23日民集18巻10号2217頁;最判昭和45年6月24日民集24巻6号587頁
13 新たな問題の考え方/契約の解除と損害賠償の範囲・額:東京地判平成7年11月6日金融法務事情1455号49頁;最判昭和47年4月20日民集26巻3号520頁
14 判例の限界/事務管理と代理:最判昭和36年11月30日民集15巻10号2629頁
15 まとめ
複数の判例が引用されている場合でも、実際にはそのうちの1つを中心に分析することになろう。しかし、予習としては全判例の検討をしておくことが求められていることに注意すること。

授業方法

問答形式で進める。とりわけ事案の整理に力を注ぎたい。予習としては、必ずメモをとり、発表のさいには、そのメモに従って答えること。予習をしてこない学生はそれだけで非常に悪い成績になることを覚悟せよ。また、時間の無駄になるので、以後は原則としてその学生には質問をしない。

成績評価の方法

第1学期 (学期末試験) :試験を実施する
平常点と定期試験によって成績を評価する。

教科書

教材の判例はあらかじめ配布する。

参考文献

授業で、その都度必要に応じて指示する。

履修上の注意

履修者数制限あり。
第一回目授業に必ず出席のこと。

その他

1.本授業は、山下氏と分担しておこなう。クラス分けについては別途掲示を参照のこと。
2.予習をするのは当然として、判例の原典に当たらず百選の類ですまそうとすることは絶対にしないこと。予習をしてこなかったり、予習をするにしてもそのような手抜きをする学生には、原則として単位を認定しない。
3.第2回目から座席を固定する。
4.ゆくゆくは判例評釈まで予習をしてもらうことになるが、時間は限られており、LSでの勉強としてどうしても読まなければならないものを精読することをお勧めしたい。何がそれに当たるかは、その都度指示する。