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美術史講義
―日本古代中世美術史と絵巻の研究―
| 担 当 者 |
単 位 数 |
配当年次 |
学 期 |
曜 日 |
時 限 |
| 亀井 若菜 講師 |
4 |
2〜4 |
通年 |
金 |
3 |

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美術史は、美術作品というモノを対象とする研究のように思えるが、何をいかに語るのか、その「語り」がなければ成り立たない「言説」の体系である。「日本美術史」という言説の体系は明治期に国家の要請のもとに作られ、今日に至るまで語り続けられ、語り直されてきている。何百年も前の過去の作品を対象とする美術史ではあっても、「美術史」言説は今日の社会に流通し発信されており、そこで何が語られるかは、その折々の社会状況と無縁ではありえない。
このような前提のもとに、前期には、室町時代までの美術史のなかから、1時間ごとに、ある作品やテーマをとりあげる。これまでに、それらが、どのような根拠に基づいて、どう語られてきたのかを紹介し、今後の研究の方向や可能性を探りたい。
後期の授業では、絵巻作品を丁寧に見ていく。作家の側からだけでなく、誰が何のためにその作品を作らせたのか(注文主)、その作品は誰にどのようにはたらきかけ、どのように受容されたのか(観者)、などについて、考えていきたい。取り上げる作品は、女性に焦点があてられ描かれたものとする。絵巻のなかで、女性は「美しく」も「醜く」も「性的」にも描かれている。社会の中で男性に比べ力を持たず「他者」と位置づけられる女性を、そのように描いて見ようとしたのは誰なのか、と考えると、どのような社会の力関係を背景にその絵巻が作られたのかを解明する糸口がつかめるだろう。授業では、スライド等を使って、絵巻の全体から細部までをじっくり丁寧に見、絵そのものが見せようとしているものを探り、文字資料を使って、絵の制作事情や受容のあり方を考えていく。

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| 1 |
「日本美術史」という言説の成り立ち |
| 2 |
縄文時代の土偶・土器の語られ方 |
| 3 |
高松塚古墳壁画、正倉院宝物 |
| 4 |
平安時代の障壁画にみる唐絵・やまと絵 |
| 5 |
平安・鎌倉時代の物語絵画 |
| 6 |
〃 |
| 7 |
平安・鎌倉時代の仏教美術 |
| 8 |
似絵・頂相 |
| 9 |
名所・聖地を描く絵 |
| 10 |
室町時代の障壁画 |
| 11 |
室町時代のやまと絵 |
| 12 |
室町時代の水墨画 |
| 13 |
「粉河寺縁起絵巻」 |
| 14 |
〃 |
| 15 |
「男衾三郎絵巻」 |
| 16 |
〃 |
| 17 |
「華厳宗祖師絵伝」「道成寺縁起絵巻」 |
| 18 |
〃 |
| 19 |
「信貴山縁起絵巻」 |
| 20 |
〃 |
| 21 |
「酒伝童子絵巻」 |
| 22 |
〃 |
| 23 |
「うたたね草紙絵巻」 |
| 24 |
その他 |

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授業では、スライドやパワーポイントでいろいろな作品を映しながら説明をしていく。履修者は、授業に出席してそれらをよく見、作品が何を見せようとしているのかを自分でも考えていくことが、求められる。

- 第2学期 (学年末試験) :試験を実施する
- 夏休みにレポートを課する。詳細は夏休み前の授業で指示する。

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鈴木杜幾子、馬渕明子、池田忍、金惠信編『交差する視線 美術とジェンダー2』ブリュッケ、2005年
亀井若菜『表象としての美術、言説としての美術史─室町将軍足利義晴と土佐光茂の絵画』ブリュッケ、2003年
イメージ&ジェンダー研究会編『イメージ&ジェンダー 1〜7号』彩樹社、1999〜2007年
池田忍『日本絵画の女性像─ジェンダー美術史の視点から』筑摩書房、1998年