哲学演習I
道徳判断の性格

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
下川 潔 教授 4 2~4 通年 1

授業の目的・内容

主として2、3年生向けの演習である。近現代の英米の哲学文献に依拠しつつ哲学の特定分野の基本問題を考察する。今年度は、倫理学の分野における基本問題をとりあげる。17世紀から18世紀までの、ホッブズからトマス・リードに至るまでの西洋倫理思想史を素材として、道徳判断がいかなる性質をもち、それが人間の知や行為といかに関連し、この世界においていかなる位置を占めるか、という(いわゆる)メタ倫理学の問題を考察する。考察の対象とするのは、道徳判断が理性にもとづくと主張する合理主義者と、それは感情にもとづくものであると主張する経験主義者の間の論争である。この論争を検討することによって道徳判断の性格を解明するのが、この演習の狙いである。ただし、思想内容を解説する際には、リード以降のカントの合理主義や、現代のメタ倫理学的考察にも少し言及し、理論的考察の幅を広げるようにしたい。
英文アンソロジーD.D. Raphael, British Moralistsからの抜粋をコピーしたものをテクストとして使用する予定である。このテクストの精読はかなりの労力を要するが、これは歴史的のみならず理論的にも大変充実した内容をもっている。内容理解を助けるために、読みやすい他のプリント教材も併用する。

授業計画

導入-倫理学(道徳哲学)の輪郭、その基本問題、ゼミの方針説明、テクスト、役割分担
ホッブズ
カドワース
ロック
シャフツベリ
クラーク
マンデヴィル
ウォラストン
10 ハチソン
11
12 バトラー
13
14 バルガイ
15 ヒューム
16
17
18 プライス
19 スミス
20
21 リード
22
23 まとめ1
24 まとめ2
上記のような思想家を扱うが、参加者の人数によっては、扱う思想家をもっと限定することもありうる。

授業方法

(1)英文テクストの精読にあたっては、各人が担当箇所の論点を整理したレジュメを作成し、演習時にそれを配布して発表する。(2)テクストと関連する調査と報告についても、担当者は責任をもって課題を遂行してほしい。(3)学期末課題と学年末課題としては、小論文を書いてもらう予定である。

成績評価の方法

学期末と学年末に小論文を書いてもらう。そのほか出席と発表を重視する。

教科書

プリント教材を使用する。

参考文献

授業中に紹介する。