日本文学演習
『伽婢子』の世界を読む

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
湯浅 佳子 講師 4 2~4 通年 2

授業の目的・内容

日本近世怪異小説の一源流とされる『伽婢子』(おとぎぼうこ、十三巻十三冊、寛文六年(1666)刊、浅井了意著)を読み、怪異物語の構造・世界観を分析する。『伽婢子』は、中国・朝鮮の怪異小説『五朝小説』『剪灯新話』『金鰲新話』等に取材しつつ、それを室町・戦国時代を中心とするわが国の物語として新たに創作した作品である。中でも「牡丹灯籠」は現在でも映画化され、また「遊女宮城野」は上田秋成の読本『雨月物語』「浅茅が宿」の典拠となるなど、後世に大きな影響を与えた。授業では、作品の背景・趣向に関わる典拠を明らかにし、また昔話や現代の怪談等との関わりにも視野を広げつつ、物語の主題と世界観について考察する。また、『伽婢子』の周辺の怪異物語との関連付けも行っていく。

授業計画

『伽婢子』の文学史的説明1、発表と日程の決定、演習についての説明(講義)。
『伽婢子』の文学史的説明2(講義)
『伽婢子』第一回発表「真紅撃帯」
第二回発表「狐の妖怪」
第三回発表「牡丹灯籠」
第四回発表「梅花屏風」
第五回発表「遊女宮木野」
第六回発表「長髭国」
第七回発表「金閣寺の幽霊に契る」
10 第八回発表「守宮の妖」
11 第九回発表「鎌鼬」
12 第十回発表「隠里」
13 第十一回発表「易生契」
14 第十二回発表「和銅銭」
15 第十三回発表「長生の道士」
16 第十四回発表「蜘蛛の鏡」「白骨の妖怪」
17 第十五回発表「絵馬の妬」「飛加藤」
18 第十六回発表「死亦契」
19 第十七回発表「雪白明神」
20 第十八回発表「狐偽て人に契る」
21 第十九回発表「人面瘡」「妬婦水神となる」
22 第二十回発表「山中の鬼魅」「怪を話ば怪至」
23 第二十一回発表「土佐の狗神」「七歩蛇の妖」
24 『伽婢子』の作品分析のまとめ・文学史的位置づけの再検討(講義)。
テキストは新日本古典文学大系『伽婢子』(岩波書店)を使用する。

授業方法

初め・終わりの授業には作品の文学史的位置づけについての講義を行うが、作品の内容分析については発表者を決めて演習形式で行う。

成績評価の方法

授業時の積極性、発表内容、期末のレポート。