言語と文化
ことわざの世界

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
北村 孝一 講師 4   通年 5

授業の目的・内容

ことわざは民衆の暮らしのなかで重要な役割を果たしており、その世界は広大であるが、近代の学問研究からはほとんど無視されてきた。この授業は、大学の正規の授業で通年で“ことわざ”を取り上げる日本で最初のものであり(通算3年目)、おそらく世界的にもあまり例のないものと思われる。ここでは、言語学や民俗学、比較文学など、さまざまな視点から、ことわざの世界を探索し、その特色や論理、日常生活における役割などを明らかにしていきたい。 

授業計画

ガイダンス(授業の概要と考え方)
ことわざとは何か−定義という呪縛から脱し、ことわざ研究の必要性を考える−
学問・知の母胎としてのことわざ−俗信とことわざ−
ことわざは規範か−法・道徳とことわざ−
時を超えることわざ−シュメールのことわざ、世俗諺文、北条氏直時分諺留−
いろはかるたのことわざ(1)−発生と展開−
いろはかるたのことわざ(2)−庶民の生き方と教育−
芸能とことわざ
日本文学とことわざ
10 外国文学とことわざ
11 方言とことわざ(1)−ウチナーグチを中心に−
12 ことわざ研究の方法(1)−文献とフィールドワーク−
13 ことわざ研究の方法(2)−比較・対照・構造−
14 海を越えてきたことわざ(1)−二兎を追う者は一兎も得ず、一石二鳥−
15 海を越えてきたことわざ(2)−艱難汝を玉にす、時は金なり、天は自ら助くる者を助く−
16 海を越えてきたことわざ(3)−溺れる者は藁をもつかむ、一桃腐りて百桃を損ず−
17 海を越えてきたことわざ(4)−鉄は熱いうちに打て、木を見て森を見ず−
18 韓国・中国のことわざと日本のことわざ
19 方言とことわざ(2)−共通性と地域性−
20 ことわざのなかの数−数の民俗学−
21 ことわざの図像学
22 ことわざの批評性−見立ていろはたとえ−
23 ことわざとユーモア
24 創作ことわざの展開
25 ことわざ研究の現状と未来(1)
26 ことわざ研究の現状と未来(2)

授業方法

講義を主とするが、一方的な講義ではなく、学生もアンケートやレポートなど通じて参加し、ことわざの“現在”を共に探求してゆく。また、音声や図像を重視し、実際にふれる機会をなくべく多くしたい。

成績評価の方法

第2学期 (学年末試験) :試験を実施する
レポート
参加型の授業なので、出席を前提とし、レポートも重視する。 

教科書

北村孝一ことわざの謎──歴史に埋もれたルーツ』(光文社新書光文社2003
授業時に指示する。

参考文献

北村孝一世界ことわざ辞典第3版、東京堂出版1993
Mieder, W., Proverbs -A Handbook-, (Folklore Handbooks) Greenwood Press, 2004
Honeck, R.P., A Proverb in Mind, Lawrence Erlbaum Associates, 1997
Permyakov, G.L., From Proverb to Folk-tale, “Nauka” Publishing House, 1979
加藤定彦・外村展子俚諺大成』(日本書誌学大系青裳堂書店1988
授業時に指示する。

その他

留学生や社会人など、多様な学生を歓迎する。