● 日本政治思想史演習
―近世日本の外交と対外観―
担 当 者
単 位 数
配当年次
学 期
曜 日
時 限
中田 喜万 教授
4
3〜4
通年
月
5
本年度は「近世日本の外交と対外観」について考える。
江戸時代をいわゆる「鎖国」として理解することについては、近年の研究によって重要な修正が加えられてきた。江戸前期の対外政策の変遷、朝鮮通信使、琉球使節、オランダ風説書、江戸後期の対外政策の形成(特に実務官僚における)などである。この研究動向を、予備知識がなくてもよいように初歩的なところから概観する。
また、対外政策の前提として、その当時の日本の人々がどのように世界地理(とその中における日本の位置)を認識していたのか、情報源の問題と、既存の世界観との衝突の問題とを考える。
史料を扱う訓練として、第1学期には新井白石『西洋紀聞』を、第2学期には田辺太一『幕末外交談』を輪読する予定である。
活発な討議が期待される。
初回の趣旨説明のあと、第2回に年間進行予定と各回の担当者を決定する。
夏合宿を行う。そのほか博物館の見学などを企画することがある。
テキストについて、
1)所定の範囲を任意に指名された者が朗読する。その際、読解にかかわる予備知識を確認する。
2)その回の担当者が口頭で約30分間、報告する(語句しらべ、内容の要約、および自由な考察)。
3)報告をふまえて自由討論(できるだけ参加者全員が発言する)。場合によって時間が延長する。
各回の担当者は、担当範囲について詳細に調べた上で、与えられた時間内で自由に報告する。事前に配布資料(A3用紙両面コピー)を用意する。
あらかじめ報告内容について担当教員と簡単に相談する機会をつくる。
平常時および報告内容によって評価する。毎回出欠席を確認する。
希望者は、演習での報告を発展させるなどして、年度末に小論文を提出することができる。これも評価の対象に含める。
新井白石 (宮崎道生 校注)『西洋紀聞』(東洋文庫)新訂版、平凡社、1968年、ISBN:9784582801132
田辺太一 (坂田精一 訳・校注)『幕末外交談(1)』(東洋文庫)平凡社、1966年、ISBN:9784582800692
田辺太一 (坂田精一 訳・校注)『幕末外交談(2)』(東洋文庫)平凡社、1966年、ISBN:9784582800722
ロナルド・トビ『「鎖国」という外交』(全集 日本の歴史9)小学館、2008年、ISBN:9784096221099
仲尾宏『朝鮮通信使 〜江戸時代の誠信外交』(岩波新書)岩波書店、2007年、ISBN:9784004310938
片桐一男『それでも江戸は鎖国だったのか』(歴史文化ライブラリー)吉川弘文館、2008年、ISBN:9784642056625
梅澤秀夫『早すぎた幕府御儒者の外交論』(肥前佐賀文庫)出門堂、2008年、ISBN:9784903157078
平川新『開国への道』(全集 日本の歴史12)小学館、2008年、ISBN:9784096221129
井上勝生『幕末・維新』(岩波新書(シリーズ日本近現代史1))岩波書店、2006年、ISBN:9784004310426
上記のほか適宜追加する。可能なかぎり当方で用意する。
姜
(朴鐘鳴 訳注)『看羊録 〜朝鮮儒者の日本抑留記』(東洋文庫)平凡社、1984年、ISBN:9784582804409
申 維翰 (姜在彦 訳注)『海游録 〜朝鮮通信使の日本紀行』(東洋文庫)平凡社、1974年、ISBN:9784582802528
松方冬子『オランダ風説書と近世日本』東京大学出版会、2007年、ISBN:9784130262156
眞壁仁『徳川後期の学問と政治 〜昌平坂学問所儒者と幕末外交変容』名古屋大学出版会、2007年、ISBN:9784815805593
園田英弘・浜名篤・広田照幸『士族の歴史社会学的研究 〜武士の近代』名古屋大学出版会、1995年、ISBN:9784815802509
辞書、索引、個別の問題に関連する文献等は、そのつど指示する。
履修者数制限あり。(20名)
第1回目の授業に必ず出席のこと。
連絡は原則的に学習院の電子メールを用いる。
法学部生以外の参加も認めるが、前もって中田に問い合わせること(単位取得は各学科履修規定による)。