政治学III
計量政治学(政治現象の統計分析)

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
福元 健太郎 教授 2 3〜4 第1学期 2

授業の目的・内容

計量政治学とは、実際の政治現象を、数量化した上で統計分析により解明する学問である。統計といっても、単に集計したり平均値や割合を出したりするのではない。回帰分析という手法を用い、因果関係(例えば「与党得票率が多い選挙区ほど公共事業が多い」「野党寄りのテレビを見る人ほど野党に投票する」といった仮説)を明らかにする(どちらの仮説も自明に見えるかもしれないが、事実ではない)。統計分析は、今後ますます重要となるであろう政策評価の根幹を成す。
本講義では、計量政治学の面白さを体験してもらい、実際に自分で数量政治データを統計分析できるようになることを目的とする。Rという無料の統計分析ソフトウェアを用いる。敷居を低くするため、数学(特に確率論)を極力使わず、扱う手法も基本的には重回帰分析一つに絞る(これさえ学べば、他の初歩的な統計手法の相当部分は不要になる)。

授業計画

序章 まずやってみる
第1章 仮説
  第1節 質的変数:クロス表と平均値の比較
  第2節 量的変数:単回帰分析
  第3節 独立変数間の関係(1)制御:重回帰分析
  第4節 独立変数間の関係(2):多重共線性
  第5節 独立変数と従属変数の関係:因果関係
第2章 データ
  第1節 事例選択
  第2節 指標と操作化
  第3節 データ・ハンドリング
10   第4節 Excelによる整理
11 第3章 より高度な分析
  第1節 ロジスティック回帰分析
12   第2節 時系列分析
13   第3節 パネル分析

授業方法

講義及び実習。実際にパソコンを使用して無料統計ソフトRを動かし、本物のデータを分析してもらう。データは例えば、選挙、議員プロフィール、内閣支持率、法案数、財政、治安、福祉政策、健康政策、少子化政策、民主化度評価などである。パワーポイントを用い、スライドを配布する。

成績評価の方法

試験は実施しない。実際の政治データを統計分析したレポートにより成績を評価する。データは、自分で作るか、もしくはこちらが提供するものを用いる。基準は、別掲されている政治学科の「成績評価のガイドライン」の通りである。

教科書

福元健太郎『計量政治学 初級編』木鐸社、2009年(予定)

参考文献

増山幹高・山田真裕計量政治分析入門東京大学出版会2004
政策評価研究会編政策評価の現状と課題木鐸社1999
G.キング・R.O.コヘイン・Sヴァーバ社会科学のリサーチ・デザイン:定性的研究における科学的推論勁草書房2004

その他

必須ではないが、社会統計学を履修すると、双方の授業の理解が進むと思われるので、履修を薦める。