特別演習
代議制の理論的・歴史的基礎I

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
南谷 和範 講師 2 2〜4 第1学期 5

授業の目的・内容

現代の日本政治を含む代議制(議会政治)の動態を理解するための基礎的な知見を獲得することを目標とします。
そのための作業として、代議制成立前夜のイギリス(1860年代)で著された著作について、分析・討論を行います。
取り上げる著作は、ジョン・ステュアート・ミルの『代議制統治論』です。代議制を理想の政治体制と考える同書では、どんな代議制がどういう理由で望ましいのかを具体的な制度に即して論じています。その議論の中には、なるほどと納得させられるものとともに、現代のわれわれにはいまいちしっくりこないものもかなり含まれています。
こうしたいろいろな主張を一つ一つ取り上げて、妥当性を吟味しながら、われわれの常識的な政治観を問い直したいと思います。
授業進度に余裕があれば、最後に
George Cornewall Lewis, "A Dialogue on the Best Form of Government"を簡単に取り上げます。同書は西洋政治思想史の遺産を踏まえつつ、代議制の理念的意義を洞察した作品であり、ミルの議論との比較を試みます。

授業計画

第1回の授業で参加者の興味・関心と近代史についての知識を簡単に確認します。第2回の授業で著作を読解する上での予備知識となる歴史的背景を概説します。第3回以後の授業で1章ないし2章分を参加者に分担し、報告していただきます。

授業方法

1)その回の担当者に口頭で約40分間、報告していただきます(内容の要約、史料の分析、および自由な考察)。報告担当者には、配布資料を準備していただきます。この資料は前日午後6時までに講義者(南谷)に電子メールなど電子的な手段で送付してください。
2)報告をふまえて自由討論を行います。
手堅い分析と独創的で刺激的な議論を期待します。

成績評価の方法

平常点で評価します。報告の内容と日々の発言を重視します。レポートを提出した場合(電子メールなど電子的手段の利用を期待します)、これを評価します。授業中レポートを討論の題材として取り上げる場合がありますが、この場合には特に提出者への積極的な評価となります。
代議制の運営にとって、国民の自発性と自己抑制がきわめて重要です。本授業でもこの二つの美徳の発揮を期待します。

教科書

J.S.ミル代議制統治論』(岩波文庫岩波書店1997年、ISBN:4003411692

参考文献

代議制の理論やイギリス政治史、現代の日本政治に関連するものを、適宜紹介します。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。