現代の日本政治を含む代議制(議会政治)の動態を理解するための基礎的な知見を獲得することを目標とします。 そのための作業として、代議制成立前夜のイギリス(1860年代)で著された著作について、分析・討論を行います。 取り上げる著作は、ジョン・ステュアート・ミルの『代議制統治論』です。代議制を理想の政治体制と考える同書では、どんな代議制がどういう理由で望ましいのかを具体的な制度に即して論じています。その議論の中には、なるほどと納得させられるものとともに、現代のわれわれにはいまいちしっくりこないものもかなり含まれています。 こうしたいろいろな主張を一つ一つ取り上げて、妥当性を吟味しながら、われわれの常識的な政治観を問い直したいと思います。 授業進度に余裕があれば、最後に George Cornewall Lewis, "A Dialogue on the Best Form of Government"を簡単に取り上げます。同書は西洋政治思想史の遺産を踏まえつつ、代議制の理念的意義を洞察した作品であり、ミルの議論との比較を試みます。