美術史講義
イタリア、ルネサンスの芸術家像

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
高橋 朋子 講師 4 2〜4 通年 3

授業の目的・内容

15世紀初頭フィレンツェで起こった美術革新(後にこれをルネサンスと呼ぶ)は、表現上の改革と技術上の向上をもたらしたのみならず、作品制作者の意識をも大きく変えることとなった。
15世紀以前、画家や彫刻家の社会的地位は「職人」であり、「手」を使う仕事として「頭」を使う「学問」と区別して考えられてきた。ところが15世紀になって、たとえば「遠近法」という技術の導入を通じ、「手」の仕事であった「絵画」は、「数学」という「頭」を使う学問と結び付けられ、その結果として「絵画」の社会的な地位は引き上げられることになった。
今年の講座では、特にイタリアの15世紀(初期ルネサンス)から16世紀前半に焦点を当て、いかにして画家や彫刻家が、「職人」から「芸術家」としての地位を確立していったかを考察することが主たる目的であるが、加えて本講義では、「肖像画」というジャンルにも注目してみたい。というのも、肖像画を通して自身の存在に対して自覚的となったルネサンス人の姿の一端が伺えるからである。

授業計画

導入
−13、14世紀イタリア美術−
15世紀前半のイタリア美術
−都市の美術状況−
15世紀前半のイタリア美術
−宮廷の場合−
職人としての訓練と学習
−素描を通じて−
職人としての訓練と学習
−版画を通じて−
芸術家とパトロン
−15世紀の状況−
芸術家とパトロン
−16世紀の場合−
古代に対する関心(1)
−15世紀前半−
古代に対する関心(2)
−15世紀後半−
10 諸芸術比較論争(パラゴーネ)
−レオナルド・ダ・ヴィンチ−
11 イメージと古代のテクスト(1)
12 イメージと古代のテクスト(2)
−エクフラシス−
13 16世紀のエクフラシス
−ティツィアーノの場合−
14 試験
15 絵画と彫刻のパラゴーネ
−15世紀の場合−
16 絵画と彫刻のパラゴーネ
−16世紀の場合−
17 絵画と彫刻のパラゴーネ
−ティツィアーノとミケランジェロ−
18 人文主義者と画家
−カスティリオーネとラファエロ−
19 画家の自画像(1)
20 画家の自画像(2)
21 君主の肖像画
22 妻の肖像画
23 恋人の肖像画
24 人文主義者の肖像画
25 皇帝の肖像画
26 教皇の肖像画(1)
27 教皇の肖像画(2)
28 試験
授業計画は先に記した内容を予定しているが、実際講義を始めた時点で順番が入れ替わることもある。また内容によっては1度で終わらない場合も予想される。その結果計画がすべて消化できないことも重々考えられることを断わっておく。

授業方法

授業では板書はしない。その代り各テーマごとに簡単に内容をまとめたプリントを配布する。なおプリントには講義で取り上げた作品は必ずリストアップしておく。

成績評価の方法

第1学期 (学期末試験) :試験を実施する
第2学期 (学年末試験) :試験を実施する
試験は30%くらいの客観問題と論述問題によって構成する。成績は試験の結果のみにて判断する。なお試験には授業中に配布したプリントと自筆のノートのみ持ち込み可とする。ただしノートに図版のコピーを貼ることは厳禁。

参考文献

第1回目の授業の時に全体の参考文献一覧表を配布する。また個別の特化されて内容に関する参考文献は、授業で配布するプリントにて必要に応じて指示する。