現代研究コース入門講義
20世紀前半のアメリカと世界

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
内田 勉 教授 4 1〜2 通年 1

授業の目的・内容

日本語の「現代」という概念は極めて曖昧で、人によってその起点が異なるだろうが、この授業ではとりあえず20世紀以降を現代として考察の対象とする。20世紀の特徴はいくらでも挙げることができるが、アメリカ合衆国(以降アメリカと略記)という国家が次第に大国、そして超大国として、世界の中で圧倒的な存在感と影響力を持つに至る時代であったことについては議論の余地はないであろう。だからこそ、20世紀はアメリカの世紀とも言われるのである。現代の国際社会の重要問題は、アメリカを抜きにしては何一つ解決の目処が立たない。それが現状である。しかし、20世紀の初めからそうだったのではない。その頃は世界の最強国はイギリスと目されていた。アメリカはむしろ、帝国主義時代の世界に遅れて参加して来たいくつかの国の一つであった。その国がどのような過程を経て、成功と挫折を繰り返しながら世界一の大国に変貌していくのか、歴史・文化・社会・文学等の様々な角度から考察し、アメリカが内包していた様々な問題を認識すると共に、そのアメリカが世界とどのような関係を築こうとしてきたかに対する理解を深めることがこの授業の目的である。
私はアメリカ現代史の専門家ではない。但し、自分の専門領域を学ぶ過程で、20世紀前半のアメリカの社会や文化や歴史等について研究することがあった。アメリカが今日我々がイメージしているようなアメリカに変貌するのがまさにこの時代なのである。この授業では、19世紀末から20世紀前半までの凡そ50年間にわたるアメリカの変貌と、アメリカと世界の関係の変貌について出来るだけ深く考察することに努めたい。

授業計画

共和党McKinley大統領の時代(1897―1901): McKinleyの帝国主義的政策。McKinley暗殺により、Theodore Rooseveltの意外な登場
共和党Theodore Roosevelt大統領(1901―1909)の革新主義的内政と棍棒外交“speak softly and carry a big stick”
共和党Taft大統領の時代(1909―13):Theodore Rooseveltとの反目。共和党の分裂。
民主党Woodrow Wilson大統領の時代(1913―21):第1次世界大戦勃発。中立から参戦へ。Wilsonの政治的敗北。アメリカ議会はヴェルサイユ条約批准せず。禁酒法発動。婦人参政権。
共和党Warren Harding大統領の時代(1921―23): Return to normalcy" 皮肉にもHardingの不審な死と汚職の横行:Harding presidency is judged among the worst in American history.しかし、この時代こそアメリカの文化が一気に躍動したJazz Ageの始まりであり、アメリカ文学においても二度目の黄金期(The Second Flowering)を迎える。
共和党Calvin Coolidge大統領の時代(1923―29): Coolidgeのpuritan的資質が共和党に一定の信頼を取り戻すことに成功。Coolidgeの仇名は“Silent Cal” 空前の経済的繁栄とバブルの時代
1929年10月24日:Black Thursday or the Great Crash 大恐慌the Great Depressionの始まり。
共和党Hoover大統領の時代 (1929―33):大恐慌の深刻化。共和党政権は大恐慌を解決出来ず。
民主党Franklin Roosevelt大統領の時代(1933―45):大恐慌と第2次世界大戦への対応。
大体、上記のラインに沿って講義をしますが、対象となる問題の歴史的重要性の大小や私の関心の度合い等によって、それぞれの項目の時間配分にはばらつきが生じます。また、ここには挙げなかった項目もたくさんあります。

授業方法

講義課目ですが、私が一方的に話すという形式にすることを望んでいません。出来れば毎回、受講者に課題を与え、受講者が調べてきたことをみんなで討論することが出来るような形を一番望んでいます。調べれば調べるほど分からないことが出てくるものなので、受講者からの質問を歓迎しますし、そのような質問は授業に大いに資すると思います。

成績評価の方法

第1学期 (学期末試験) :試験を実施する
第2学期 (学年末試験) :試験を実施する
授業に積極的に参加しているかどうかも評価基準になります。

教科書

授業時に指示する。

参考文献

授業開始後、適時指示する。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。