※思想史特殊研究
力の形而上学研究:スピノザとライプニッツ

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
鈴木 泉 講師 4 D/M 通年 5

授業の目的・内容

スピノザ・ライプニッツというポスト・デカルトの二人の哲学者の思索の意味と射程を、<力の形而上学>の観点から検討する。自然的世界から基本的には力の概念を排除したデカルトに対し、スピノザとライプニッツは力の概念を自然的世界に再導入することによってダイナミックな形而上学を形成した。そこで、スピノザ形而上学とそれに対するライプニッツの批判の内実を論点毎に詳細に検討することを通して、近世大合理主義哲学の射程を測定すると共に、これら二人の哲学者の思索から大きな影響を受けて形成された現代フランスにおける形而上学の新たな展開の意義についても考察したい。

授業計画

イントロダクション:近世大合理主義哲学の概観と<力の形而上学>への導入
デカルト哲学と力の問題(1)
デカルト哲学と力の問題(2)
スピノザ哲学への導入
『エチカ』概観
スピノザと力の存在論(1):『エチカ』第一部
スピノザと力の存在論(2):力能概念
スピノザと力の存在論(3):力能概念(続き)
スピノザと力動的観念論(1):『エチカ』第二部
10 スピノザと力動的観念論(2):共通概念
11 スピノザと力動的観念論(3):共通概念(続き)
12 スピノザと個体化の問題(1):『エチカ』第二部・第三部
13 スピノザと個体化の問題(2):コナトゥス概念
14 スピノザと個体化の問題(3):第三種認識
15 スピノザと実践の哲学(1):『エチカ』第四部・第五部
16 スピノザと実践の哲学(2):永遠性と必然性
17 ライプニッツ哲学への導入
18 ライプニッツのスピノザ批判(1):実体・属性概念
19 ライプニッツのスピノザ批判(2):実体・属性概念(続き)
20 ライプニッツのスピノザ批判(3):観念の問題
21 ライプニッツのスピノザ批判(4):観念の問題(続き)
22 ライプニッツのスピノザ批判(5):個体化の問題
23 ライプニッツのスピノザ批判(6):個体化の問題(続き)
24 ライプニッツのスピノザ批判(7):様相の問題
25 ライプニッツのスピノザ批判(8):エチカとモラル
26 力の形而上学と現代哲学(1):ドゥルーズ
27 力の形而上学と現代哲学(2):ドゥルーズとセール
28 力の形而上学と現代哲学(3):ドゥルーズとネグリ

授業方法

講義形式による。必要に応じてテクストのコピーを配布する。

成績評価の方法

学年末レポートによって評価する。

教科書

特に用いない。講義中に必要なテクストのコピーを配布する。

参考文献

多岐にわたるので、講義中に適宜指示する。

その他

近世哲学を、大陸合理論とイギリス経験論とからなる、カント哲学への露払いとするような哲学史像は既に賞味期限が切れている。近世哲学は、古代ギリシア哲学と並ぶ、西洋形而上学における頂点の一つである。その豊かさを、<力の形而上学>という切り口でもって出来る限り浮き彫りにしてみたい。
なお、検討する資料はラテン語・フランス語が多いが、邦訳もつけるので、特にそれらの語学に関する予備知識は必要としない。