※フランス文学演習
デカダンスと歴史認識

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
中条 省平 教授 4 D/M 通年 2

授業の目的・内容

バルベー・ドールヴィイはほぼ19世紀全体を生きたフランス文壇の大立者で、ボードレールの『悪の華』に的確な文学的評価をあたえた最初の批評家として知られるが、ボードレールはむしろバルベーの小説家としての才能を高く買っていた。小説家バルベーの代表作としては、フランス・デカダンス文学の最高峰としてファム・ファタルの種々相を描いた『悪魔のような女たち』が有名だが、本演習で取りあげる『デ・トゥーシュの騎士』は、フランス革命の特異な英雄を主人公にした歴史小説である。その意味で、同じ反革命党派の戦いを題材とするバルザックの『ふくろう党』と対をなす作品といえよう。この『デ・トゥーシュの騎士』を、バルザックとの比較も含めて、あらゆる角度から検討しつつ読み解くことが本演習の課題となる。その結果、バルベー・ドールヴィイという作家の個性をこえて、19世紀フランスの文学と社会の関係、デカダン作家の歴史認識と小説創造といった主題が浮かびあがってくるだろう。

授業計画

作家、作品内容に関する概論
学生の研究担当範囲の決定
学生の研究発表
教師のコメントおよび解説
質疑応答
問題となった主題に基づくレポートもしくは翻訳の提出
その後は、以上の3〜6のサイクルを繰り返す
小説全体に仕掛けられた<叙述トリック>を理解するためには、1年で全巻を通読する必要があるので、1章を2〜3週で読んでいくというハイペースになる。

授業方法

フランス語の深く確実な読解力を養成するための訓練をあらゆる面から実践し、同時に、さまざまなテーマに基づく発表やレポートを随時課題とする。とくに夏季休暇には、学生が個々に自分の研究課題を設定して、それへの解答を論文にまとめることを義務づける。

成績評価の方法

第2学期 (学年末試験) :試験を実施する

教科書

Barbey d'Aurevilly:Le Chevalier des Touches (Gallimard)
詳細は教室で指示する。

参考文献

必要に応じて教室で指示する。

履修上の注意

履修者数制限あり。
第1回目の授業に必ず出席のこと。