アーカイブズ・マネジメント論研究III
記録史料保存論

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
安江 明夫 講師 4 D/M 通年 6

授業の目的・内容

アーカイブズが成立するためには、収集され受け入れられた紙資料、デジタル記録等のコレクション(所蔵資料)を維持・管理し、その継続的な利用を保障することが必要である。これらアーカイブズが基盤とする様々な記録史料のコンサベーション(維持管理、補修等の手当て)とプリザベーション(保存管理)について、その理論と実践を学ぶ。
講義内容は、1)記録史料保存の歴史的発展、2)種々の記録史料の特性とそれらの劣化要因、3)記録資料保存のための予防と治療(保存対策)、4)コレクション調査・環境調査と保存ニーズの把握、5)保存計画の立案と実行、6)防災計画、7)国内外の関連文献・情報源、専門機関、関係学協会等の案内、を柱とする。これらの講義により受講生が、記録史料保存に関し、アーキビストとしての基本的知識と実践的素養を身につけることを目標とする。 

授業計画

序論 歴史的発展
コンサベーションとプリザベーション
記録史料の構成:書写材料と記録材料
書写材料:紙及び紙以外の材料
紙資料劣化の内的要因:酸とリグニン
紙資料劣化の外的要因(1):保管環境
紙資料劣化の外的要因(2):生物被害
記録材料の種類と劣化
紙資料の保存(1):ケアと容器
10 紙資料の保存(2):資料の取扱い、展示
11 紙資料の保存(3):環境管理とIPM(総合的有害生物管理)
12 紙資料の保存(4):パーマネント・ペーパーと脱酸
13 紙資料の保存(5):補修
14 紙資料の保存(6):代替(マイクロ化とデジタル化)
15 非紙資料の保存(1):マイクロフィルムの劣化と保存対策
16 非紙資料の保存(2):デジタル情報の長期保存の課題
17 保存処置の時期と方法の合理的な選択
18 保存アセスメント(1):コレクションの状態調査
19 保存アセスメント(2):施設点検、環境調査、業務点検
20 災害、防災計画、ブルーシールド
21 保存計画(1):計画の要素と立案
22 保存計画(2):事例研究
23 保存管理の実践 まとめ

授業方法

講義形式を中心とする。学内補修ワークショップと学外保存関係機関見学を予定している。

成績評価の方法

レポート、発表、受講態度により評価する。

参考文献

国文学研究資料館史料館アーカイブズの科学 下巻柏書房2003
エドワード・アドコック(編集)IFLA図書館資料の予防的保存対策の原則日本図書館協会2003
安江明夫(監修)資料保存の調査と計画日本図書館協会2009
Helen Forde, Preserving archives, facet publishing, 2007
G.E.Gorman and Sydney J.Shep, Ed., Preservation manegement for libraries, archives and musuems, facet publishing, 2006